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猫カフェ ~ブバルディアの花影~  作者: ことの。
~スポーツ少女~
159/167

12-14=結末

「いやはや、今回はほとんど出てこなかったね!」


「えぇ、ルルがやり過ぎなければ傍観者でいられたのですが・・・。

残念です」


「それはごめんって~!

僕もまさかあそこで暴走されるなんて思ってなかったからさ!」


「ルル?分かってるとは思いますがわたし達の扱っているものは・・・」


「分かってるよ!」


「なら、いいのですが・・・」


ここはリナリア。

八雲の城であり、住居だ。

いつも通り客はおらず、まったりとした時間が流れている。


「あら?なんの話をしているのかしら?」


いや、1人だけいた。

リナリア唯一の常連であり、可愛らしい女神。

エリスだ。


「なんでもありませんよ」


「む~・・・ふたりだけで秘密のお話はズルいですわよ!」


「しかたありませんわ、エリス様。

この2人はいつもこうですもの・・・。

まったく、私のルルを取らないでいただきたいものです」


もう1人いたのを忘れていた。

お店の専属メイドであるシャルだ。


普段はおつかいやら留守番やらで八雲たちと一緒に行動することはほとんどないが、行動が重なる時は大抵リナリアでまったりと過ごしている。


「そういえば、手紙が届いていましたわ」


「手紙?」


「ええ、こちらに」


シャルは八雲に手紙を手渡す。


“ rezultato ”


手紙には小さくこう書かれていた。


「結末・・・ですか」

「結末・・・ですね」

「結末・・・ですの?」

「エリス様はもうちょっと言葉の勉強をした方がいいと思うな!」


「う・・・うるさいですわよ!」


よく見る光景。

よく見る小競り合い。

ルルとエリスは今日も通常運転だ。


「さて、なにが書かれているのでしょう」


手紙を開け、ふむふむと読み出す八雲を他の面々はじっと見ている。


「シャル?これはどこで?」


「さあ?分かりませんわ」


「分からない?」


「ええ、分かりません。気がついた時には制服のポケットに入っていたもので」


「なるほど・・・」


「なになに?何が書いてあったのさー!」


「あのミキという少女・・・よい結末になったと・・・その知らせでした」


八雲は話し始めた。

ミキの行く末、そして、たどり着いた結末を・・・。

その結末がミキが望んだものか、そうでないかはミキにしか分からない。

しかし、八雲が言うように“ よい結末 ”になったというのならば全てが丸く収まったのだろう。


それはミキ本人にしか分からない。


「良かったじゃん!無事に自分の気持ちを打ち明けられたなら!」


「そうですね・・・いえ、そうなのでしょうか・・・それをわたしたちが決めるのは度が過ぎているようにも思います・・・」


「八雲ってたまにネガティブだよね?」


「ネガティブではなく、傍観者としての立ち位置を探しているだけです」


「ま、いいけど!

そういえば、あのミキって子に食べさせたピンク色の粒!

あれの正体を教えてくれてもいいんじゃない?」


「まだ覚えていたのですか・・・」


「そりゃもちろん!」


「ん~・・・なんといいますか・・・」


「もー!歯切れが悪いな!

言っちゃいなよ!

言うまで僕は引かないよ!」


「・・・ま、いいでしょう。

あれはフォルギネの種から作られているのですよ」


「え?あの食人植物の?」


「ええ、いわゆる人を食した栄養から生み出された種・・・それを加工して作ったものです」


「それって・・・倫理的にどうなの?」


「どうでしょう?

それは人による気もします。

少なくともわたしは

生の為に他人の臓器やら血液やらを移植するのと同じ様に考えてはいますが、人によっては嫌がるでしょうね」


「だよね~・・・僕だって、あの植物から作られたものって知ったら嫌だもん」


「ま、唯一の救いはフォルギネという植物を彼女が知らないということですね」


「ちなみに副作用は?」


「ないと思われます・・・たぶん」


「「「うわぁ~」」」


全員が全員、同じ反応をした。

それは全員がフォルギネを知っており、あの植物から出来たものを口にしたくない。

そう思ったからである。


「何わともあれ!一応、一件落着なんでしょ!」


「まぁ、そういうことです」


「それなら良いじゃない!」


ルルが締めくくり、全員が納得したところで今回のお話はおしまい。


フォルギネの種を接種したミキに不思議な力が生まれるのはずっと先。

また別のお話。


それは、またの機会に・・・。

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