12-9=標的
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
息切れするまで投げ続け、グラウンドがボロボロになり見るも無残な姿になった頃、ミキの手はようやく止まった。
「気は済んだかい?」
そんなボロボロのグラウンドを背景にルルがミキへ問う。
「いいえ、まだよ!」
「まだやり足りないと言うのかい?君も飽きない・・・!!」
言い切る前に目の前に投げられた手榴弾を目視したルル。
気付くやすぐさまその場を離れ回避行動を取る。
「危ないじゃないか!」
「そう?危ないかしら?
まだ終わってないわよ!
最後にあなたを爆砕してあげる!!」
ミキの目は狂気に満ちていた。
その目に映っているもの。
映し出しているもの。
狂気
殺意
怨み
妬み
最早、友達に呼ばれてニコニコと笑っていた面影はそこにはなかった。
息切れをするも尚、投げ続けるミキ。
それを避け続けるルル。
いくら投げようがルルには当たらない。
「そろそろかな・・・」
「なにがよ!!」
ルルの言葉に反応するも投げ続ける。
ドーン
ドーン
ドーン
「そこまでです」
更に投げようとするミキの手は阻止された。
「今度は何よ!」
手の方へ振り向くミキ。
そこには黒髪にベスト、白いベストをきた細目の男が立っていた。
「わたしは八雲といいます。
それ以上はダメです」
「はぁ?何言ってんの?」
「それ以上はあなたがあなたを殺してしまいます」
そんな八雲の声に耳を貸さず、手榴弾を投げようと手をバタつかせるミキ。
その息はあがりきっており、バタつかせている手も震えている。
「死にたいのですか?」
「死にたい訳ないじゃん!」
「なら、やめましょう」
手をさらに強く握られ、痛みで手榴弾から手を離す。
「やっと大人しくなりましたね」