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猫カフェ ~ブバルディアの花影~  作者: ことの。
~スポーツ少女~
152/167

12-7=気泡

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


無数の泡の1つ。

その中に映し出されたものを見てミキは悲鳴を上げる。


「こんなものを見せて私をどうするつもりよ!!」


ミキの発狂は更に度を越していく。


「やめて!

やめろ!!

やめろって言ってるだろ!!

そんなものを見せるな!!」


手をブンブンと振り、泡を消そうとするが

泡は一瞬、形を歪めるだけですぐに元に戻る。


「やめろ・・・こんなのを見せるな!!」


無数の泡に映し出されていたもの。

それはミキの過去だった。


そこには幼い頃の楽しかった記憶。

両親の離婚。再婚。

馴染めない家庭。

荒んでいく心。

崩壊していく感情。

作り出された気持ち。

今のミキを作り上げた全てが映し出されていた。


「それが君の記憶。

過去と今の記憶。

そして、今ここにいるのが本心の君。

ありのままの君だ。

ほら、それが最後の記憶だよ。


いや、願望と言ってもいいかな」



ふわりとミキの目の前に漂ってきた泡。

その中にあったもの。


“ 転校 ”


父親の仕事の都合で転校しなければならなくなったこと。

それは決定事項で変えられないもの。


親の再婚から“ いい子 ”を演じてきたミキには否定できなかったこと。


だからこそ、この大会で優勝し思い出を残したかったこと。

試合に勝って、自分はなんでも出来ると認めたかった。

認められたかった。

自己満足かもしれないが、全てを忘れて没頭できるものがミキにはそれしか無かった。


そんな思いが映し出されていた。

しかし、自分で決めたことのはずだが、

それすらもミキを圧迫していた。


「どうだい?自分の記憶は」


「こんなの見てどうなる!

こんなの見せてどうする!

私の心を弄んで、壊して楽しいか!!」


「君は何か勘違いしてないかい?

ここまでは前座。

試合で言うなら前哨戦。

ここからが本線だよ!」


再び眉間に皺を寄せるミキ。

その表情は更に険しいものとなっていた。

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