11-11=通路
八雲とルルは二人を追う。
細い道を通り、曲がり、下り、歩いて行く。
道の最後は水路へと繋がっていた。
「ありゃりゃ・・・どうする?」
「どうするもなにも追いますよ」
「けど、どうやって?」
「こんな状況、ルルならなんとか出来るのでは?」
「水の上を歩けとでもいうの!?
さすがの僕でも出来ることと出来ないことがあるよ!」
「できないのですか?」
「出来ないよ!」
「それなら仕方ありませんね」
「まさか・・・」
「ルル、よろしくお願いしますね」
「・・・マジ?」
「マジです」
冷や汗を垂らすルルに反してどこか楽しそうな八雲。
「やらないっていう選択肢は・・・?」
「ありません」
「やだーーーーー!!!」
「全部終わったら甘いお菓子に暖かいミルクを用意しますから。それともキャットフードの方がいいですか?」
「僕を猫扱いしないでくれる!?
ちゃんと極上のやつじゃないと嫌だよ!」
「チョロい・・・前にも増して猫に近づきましたね・・・」
「何か言った?」
「いえ、なにも・・・では、よろしくお願いしますよ」
「む~・・・」
渋々と同意するルル。
一瞬、ルルが光輝くと辺りは煙に包まれた。
次の瞬間、ルルは獣の姿へと変わっていた。
前に見た時ほど大きくはないが、八雲を乗せて水路を進むには十分な大きさだ。
「ありがとうございます」
「この水汚い・・・なんか、下の方がヌルヌルする・・・」
「ありがとうございます」
八雲は言葉で圧力をかけ、ルルに乗る。
ルルはそのまま八雲を背中に乗せたまま歩き出す。
水路を二人が進んだと思われる方向へと。
水路を進み
進み
進み続ける
水路の終着点には大きな空洞が現れた。
空洞には様々な物が置かれていた。
しかし、どこからか拾ってきたのだろうか・・・。
ヒビの入った姿見や折れた足が修復されているベッド。
傷だらけのピアノなど、どれもこれも新品には程遠いものだらけだ。