2-4=一服
カランカラン
乾いてるがどこか懐かしいドアベルが、鳴り響き私は裏口から正面口、そして店内へと案内された。
「どこに座っても大丈夫ですよ」
店内をぐるっと一目見渡してカウンター席に座ることにした。
「ここでも?」
「もちろん」
「まずはお水と・・・こちらがメニューでございます」
コトっとカウンターに置かれた1杯の水
それとメニュー
汗だくでへばっていた私はお水のグラスを掴むと一気に飲み干した
一息ついたところでメニューを見てみる。
そこまで厚みはないメニューだが、数がすごく多い。
全てのメニューを把握している人なんていないのではないかと思えるくらいに
パラパラと流し読みながらページをめくる
めくる
めくる
めくる
数ページを眺めたところでひとつのメニューに目が止まった。
【ローズヒップティー】
じっと動かずに見入っていると
「ご注文はローズヒップティーでございますか?」
青年が訪ねてくる。
私はコクコクと頷く。
「ローズヒップティーでしたらシフォンケーキなども合うかと思いますが、お付けいたしますか?」
再度、青年が問いかけてくる。
それに対しても私はコクコクと頷く。
別に声が出ないという訳では無いのだが、
初めての場所、決してイケメンとは言わないが清楚な感じで年上の青年が接客をしてくれている。
しかも、普段1人では絶対に入らないような古風なカフェで。
その不思議な状況で緊張して頷くことしかできなかった。
青年はニコリと笑って「かしこまりました」と一言。
その笑顔は目を細め、まるで狐のようだった。
猫は定位置なのだろうか・・・カウンターの端の方で丸くなっている。
一瞬、こっちを見て笑ったように感じたが・・・
猫が意識的に笑うわけがない。
気の所為
そう思って驚きを飲み込むことにした