9-6=相愛
「ねぇ、お姉ちゃん・・・」
「どうしたの?フライヤ」
「気付いてる?」
「えぇ、気付いてるわ」
「お姉ちゃん・・・私、怖い・・・」
「大丈夫よ・・・私たちの生活を脅かすものは存在しないわ」
「お姉ちゃん・・・」
「大丈夫よ。フライヤのことは私が絶対に守ってあげるから」
「お姉ちゃん・・・ありがとう」
ぎゅっと抱き合う姉妹。
お互いがお互いの体温を感じる。
そう、気づかれていた。
どこからだろうか・・・山に入った瞬間?
それとも途中からだろうか・・・双子には八雲、そしてルルが来た瞬間からふたりの存在を認識しており、最早、逃げることも隠れることも意味を成さない。
「・・・・・・お姉ちゃん?」
「大丈夫よフライヤ・・・少しだけ待っててね」
「・・・・・・うん」
ぎゅっと握っていた裾を手放す妹。
それに応えるようにしっかりと2本の足で立ち上がる姉。
「それじゃあ、行ってくるね。
ちゃんといい子で待ってるのよ」
小さい子供に言い聞かせるように・・・
優しく。しかし、力強く頭を撫でる。
「ったく!私達は平和に暮らしたいだけなのに!」
「ねぇ!八雲!
八雲ったら!!!
ほんとに何も考えてないの?
少しも?
ちょっとも??
ねぇ!八雲ったら!!」
尚も無視して歩き続ける八雲。
ルルの言葉をかき消すように雪が吹く強さを増す。
「ルルは気付いていないのですか?」
「え?なんのこと?」
八雲の質問に大声で返す。
「そんなに大声を出してはいけませんよ。
ここは雪が何層にもなっている雪山・・・
そんな所で大声を出したらどうなるか分かりますか?」
「・・・・・・?
何が起きるって言うのさ!!」
尚も大声を出し続ける。
「雪崩ます」
「え?」
ルルが気付くのが早いかゴゴゴゴゴゴという地響きと共に足元が崩れ、
ふたりを巻き込んでいく。