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猫カフェ ~ブバルディアの花影~  作者: ことの。
~タイムリープ~
103/167

8-12=宝貝

「そうですね・・・まずはルル。

これがどういうものかは知っていますか?」


「知ってるよ!バカにしないでくれる?

クロノアの力が宿ったナイフで、

刺された人は同じ一日をグルグル繰り返すんでしょ?

そこにいた男みたいに!」


どうだ!と言わんばかりにフフンと鼻を鳴らすルル。

それを見て八雲は残念そうに首を左右に降る。


「それでは30点です・・・もう少し、自分の世界のことを勉強してください」


「なにをー!いいんだよ!僕は!

勉強なんかしなくても十分に強いんだから!!」


毛を逆立て、威嚇をする。


「じゃあ、一体それはなんだってんだ!

そこまで言うなら八雲は説明できるんだよね??」


怒りを全面に押し出し、反抗する。

それをニヤニヤと笑いながら話を続ける。


「これはクロノア。

大まかな力はルルの言った通りです・・・

しかし、このクロノアには違う力もあるんですよ・・・」


「・・・?というと?」


「そうですね~・・・ルル。

あなたは神であった頃のクロノア・・・その名前を知っていますか?」


「なにそれ?」


「ま、そうでしょうね・・・ほとんど知られていないことですから。

彼はクロノア=ヒュブリスといいます」


「ヒュブリス!

ヒュブリスってあのヒュブリス??」


驚愕の声を上げるルル。


「そう、あのヒュブリスです。

彼は時を司る以外に“ 傲慢 ”の名を受け継いでいます」


「傲慢!

まさか七つの大罪とはね!

でも、七つの大罪って遠い昔に駆逐されたって聞いたけど?」


「そうですね・・・言い伝えではもう、七つの大罪は存在しないことになってます。

でもね、ルル。

七つの大罪は元々人間の欲から生まれたもの。

人間の欲というのはそう簡単には無くならないんですよ。

そして、その大罪を身に受けた神々がいたのです。

それがクロノア・・・」


「へぇ~!それで、その大罪を手に入れて八雲はどうするのさ?」


「さっきもいいましたよね?

わたしは別にどうするつもりもありませんよ?

これが危険なものなのは間違いありません。

わたしが保存しておこうかと・・・。

それに、葬って欲しいという依頼もありましたし」


「依頼・・・?」


ジトーと八雲を見る。

その眼は疑いに満ち溢れていた。


「そう、依頼です」


「葬るってどういうこと?」


「わたしも細かいことは分かりません。

しかし、わたしの元に現れた時、彼はボロボロの甲冑に刃のこぼれた剣を杖の代わりに使い、辛うじて立っているような状況でした。


クロノアのことを知っていることからも・・・

きっとその争いに巻き込まれたんでしょうね」


「その人はその後どうなったの??」


「彼はその後、息絶えましたよ・・・

わたしに全てを託し、その場で倒れました。

あれが最後の力だったんでしょうね・・・」


「でも、それを壊すことはしないんでしょ?」


「・・・・・・しませんね」


「それはどうして??」


「これはクロノア・・・彼の魂が宿った宝具ですよ?

神を殺して祟られたくはありませんし・・・それに」


「それに・・・?」


「勿体ないじゃないですか」


「勿体ないって!それだけ?」


「それだけですよ?」


「そんな理由でいいの?」


「いいんじゃないでしょうか?

それに、これは使い方を間違えなければただのナイフですよ?

刃こぼれもしなければ切れ味も損なわない。

これほど最高の道具はありません。

大罪の力も7つ全て揃わなければ発揮されませんし、問題はありません」


使い方・・・いや、神の扱い方に長けた八雲だからこそ言える言葉であり、自信だった。

その自信。

その力強さ。

ルルが末恐ろしと感じるほどに・・・。


「さて、ルル。

目標は達しましたし、フォルギネの食事も終わりました。

帰りましょう」


パッと向き直すとそのまま扉を出現させ帰路に着く。



「そういえば、今回は食事出来ませんでしたね・・・ルルとしては残念な結果なのでは?」


「残念も残念だよ!

でも、あんなの食べたらお腹壊すのは必死だろうし・・・結果としては“ まぁいいかな ”って感じだよ!」


「そうでしたか。

じゃあ、帰ったら高級猫缶でも開けてさしあげましょうかね」


「猫缶!!高級!!

八雲!それ、絶対だからね!!」


「はいはい。

分かってますとも。

ほんと、段々と猫である事が板に着いてきてるのではないですか?」


「そんなこと!

ない・・・と・・・思う・・・」


クスクスと笑う八雲に対し、自分の姿がしっくり来ているルルは困惑している。


今回のお話はここで終わり。

男に未来は存在しない。

結果として彼もクロノアの争いに巻き込まれただけかもしれない。


願わくば・・・クロノアを巡る争いが再び起きないことを祈ろう。

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