とりあえず衝撃の事実が判明する
昨日は2話投稿しています。ご注意下さい。
ついでに投稿時間を変更しました。
ポリポリ、ポリポリ。
沢庵を噛むような音を響かせながらカヤノが歩いていく。もちろんその手に持っているのは齧りかけのウィード。なぜなら彼女もまた特別な存在だからです。
うん、無理がある。ウェルター〇オリジナル風にしてみたがやっぱり無理があるぞ、カヤノ。
あれからカヤノは自分の服で適当にウィードを拭うとその球根の根っこ部分をワイルドに噛んで吐き出して捨てた。そして球根部分を美味しそうに食べ始めたのだ。野生児、そんな言葉が俺の頭をちらつくが、いやカヤノが悪いわけじゃない。お金が無いから仕方がないんだ。
しかし・・・カヤノは本当に美味しそうにウィードの球根を食べている。本当は美味しいのか?ほらゲテモノはうまいの法則ってあるだろ?俺は顔のついた球根なんて食べたくはねえが。
球根を食べ終えたカヤノは萎れた葉の部分をぽいっと捨てた。どうも葉は食べるものでは無いようだ。
と思ったらさっそくまた同じような草の前で止まる。抜いてみたがやっぱりウィードだった。カヤノは同じようにしてまたウィードを食べ始める。スナック感覚かよ!
食べ終わったらまた抜くを繰り返しながら進む。と言うかウィードは本当に多い。ちょっと探せばすぐに見つかるのだ。カヤノが食べているのは夕食しか見たことが無いし、外に出かけるときはもちろん弁当なんて持っていないから昼とかどうしているんだと思っていたが、これは予想外だ。
しばらく歩き続け、ついに薬草を発見した。薬草は木の根のそばに数本生えている。周りには全くないのに密集して生えているのでマツタケみたいなものなのか?
カヤノがしゃがみこんでブチブチと薬草を抜いていく。ドクダミみたいな葉っぱなのでてっきり蔦に生えているのかと思ったが、ハート形の葉っぱが直接地面から生えているのはちょっと面白い。カヤノに習って俺も葉っぱを傷つけないようにブチブチと抜いていく。
採取が終わるとまたカヤノが目を閉じ集中し始め、今度は別の方向へと進んでいく。薬草の採取はこれを繰り返すらしい。足場の悪い森の中をずっと歩き続ける薬草採取は思ったよりも重労働だ。とは言えカヤノが疲れるような様子はない。本当に慣れているんだろう。
「ちょっと休憩します。」
カヤノがそう言ったのは森に入ってから3時間は過ぎたころだった。もちろん途中でちょっとした休憩は挟んでいるが、それ以外は動き続けていたのだ。頭が下がる。
それはそうと俺の範囲外の稼働時間も4時間を超えた。薬草を採ったりウィードを抜く以外はほとんど動いていないからだろうが、この分なら最後までもつかもしれねえな。
袋にはすでに7割くらいの薬草が集まっている。この分ならちょっと早く帰れるかもしれない。カヤノが森に流れる小川から水を飲むのを見ながらそんなことを考えていた。
薬草の生えている場所ははっきり言って法則性がわからなかった。木のそばに生えていることもあれば、逆に森の中にぽっかりと空いた広場のような空間に群生していたりする。日の光が必要なのかと思えば倒れた木の洞の中にこっそり生えていたりとそんなんわかるか!と言いたくなるほどの場所にも生えるのだ。
俺には見つけられなくてもカヤノはすぐに見つけた。何となく場所がわかるそうだ。薬草探しのプロ。略してヤクプロだな。うん、なんかヤクチュウを彷彿とさせるからやっぱ無しだ。
カヤノは自分が採った薬草の袋から数枚の葉っぱを取り出しそのまま食べている。うん、俺はもう何も言わねえ。今まで散々ウィード食べたじゃねえかとか、採った薬草を食っちまうのかよとか、生のまま何の味付けも無しかよとか思うがもう言わねえよ。
全部お金が無いのが悪いんだ。
「あっ、そうだ。リク先生。ちょっと離れてくれる?」
なんだ?
とりあえず良くわからんがカヤノが言うならその通りにしようとゴーレムボディをカヤノから離していく。カヤノから剥がれた俺の義手型ゴーレムはとても異様だ。右腕だけはしっかりとしてるがそれ以外は全部紐みたいなもんだからな。
カヤノがいないと動けない。紐人間とは俺のことだ。違うか、紐地面だわ。
まあそんな馬鹿なことを考えながらカヤノが何をするのかを見ているとカヤノはローブを脱ぎ、それどころか履いていたパンツまでスポッと脱ぐとそのままじゃぶじゃぶと小川へと入って行く。カヤノの真っ白な雪のような肌が晒される。
人前で脱ぐなんて慎みが足らんぞ!!
「うわっ、冷た。」
そりゃそうだろう。そろそろ秋も深まって来る季節だ。川の水も冷たくなってきているだろう。しかし冷たさに驚きながらもカヤノは水浴びをし始め、そして一通り体を洗い終えると今度はローブとパンツをじゃぶじゃぶと洗い始めた。洗剤なんてものは当然ないので水洗いだ。汚れは・・・うん、ほとんど落ちてねえな。
しばらく洗って満足したのかカヤノが小川から戻ってくる。その表情は心なしか気持ちよさそうで、寒さのせいか顔は紅潮している。着ている物はすべて洗ってしまっているので当然カヤノはすっぽんぽんだ。うむ、野生児だな。
まあこの森の中なら誰かに見られることも無いだろうし、だからこそカヤノもこんな風に水浴びとかしてるんだろう。そうだよな、そうだと言ってくれよ。
若干思考が現実逃避気味になっていたがそれには理由がある。目の前の事実に俺は動揺を隠せないからだ。
真っ裸でこちらに歩いてくるカヤノの二本の足の付け根の中央、そこに前世で見慣れた物が揺れていた。今の俺にとっては懐かしさすら感じる象徴。
お前、男だったのかよ!!
いやー、びっくりだわ。髪もぼさぼさだけど長いし、顔の造りも女性っぽかったから完全に女の子だと思っていた。声も高かったしな。
ローブを脱いで、パンツまで脱ぎ始めた時、俺は自分が眠ってしまうことになったとしてもカヤノを止めるべきか迷ったんだ。もちろん俺はロリコンじゃねえからそっちの意味じゃないんだが、子供でも女性のそういう姿は見ちゃいけない気がするんだよな。もちろん恋人とか家族は除くぞ。
あっ、ちなみに風俗はたまたまその場で出会って一時の恋に落ちるだけだから問題なしだ。
だがカヤノがパンツを少し下ろした瞬間に見慣れた物が俺の目に入ったことで動く気は全くなくなった。男子がちんちんを見せるなんてどうでも良いしな。大人になってそれを人前でやったら問題だがカヤノくらいの年齢の男子なら可愛らしいもんだ。
実際カヤノが男だとわかって心の中のどこかでほっとした気持ちがあるのは確かだ。俺は結婚してねえし、もちろん子供もいねえ。だから同性の男の子については何となく理解できるが、女の子を見守り育てられるかは少し心配だったのだ。カヤノを僕に下さいと言ってきた婚約者にちゃぶ台をひっくり返すくらいしか具体的なプランは無かったしな。
「んっ、どうかしましたか?」
何でも無い、とカヤノに唯一見やすい右手を振って答える。カヤノは首を傾げながらも洗ったローブを木の枝に掛けて干していた。パンツは濡れたまま履くらしい。風邪ひくぞ。
ちょっと寒そうにしながら、日の当たる岩の上でカヤノは休んでいる。いつもローブで全身を覆っているためかその肌は真っ白で、ちょっと鳥肌が立っているがとても滑らかそうだった。あれだな、若さゆえの肌ってやつだな。
うむ、パンツを履いてしまうと本当に女の子にしか見えなくなってしまう。真っ裸よりパンツを履いた方がカヤノは危険そうだ。どんだけ業を背負うつもりだよ、お前。
カヤノはしばらく日向ぼっこした後、乾ききっていないローブを再び羽織り薬草採取を再開した。2時間半ほどで袋を満杯にしたカヤノの顔は満足そうだ。
衝撃の事実がわかったカヤノとの初外出だったが得る物は多かった。自分からあまり動かなければ長時間、範囲外にいることも出来ることがわかったし、それに・・・
「リク先生、何をするつもりですか?」
カヤノが俺に訝しげに聞いてくるがそれは後日のお楽しみだ。俺は自分の手の中の確かな存在にウキウキしながら街への道をカヤノと進んでいくのだった。
女子高にある事情により女として入学することになってしまったカヤノ。そして始まるドキドキの寮生活。果たしてカヤノは男であるという秘密を守りきれるのか!?
次回:転校生は女の子?
お楽しみに。
あくまで予告です。実際の内容とは異なる場合があります。




