100話記念番外編:先生が望むなら
いつの間にか100話になっておりましたので番外編です。
微妙に特殊な性癖のお話になっており、幾分それが強めです。だから深夜に投稿と言うことで。
本編には関係ないので読み飛ばしていただいても構いません。18禁では無いはず!
「ちょっといいかカヤノ?」
「何ですか、リク先生?」
「この状況について説明してくれ。」
「この状況とは?」
カヤノが小首をかしげながらリクを見下ろしている。リクはそんなカヤノを見上げながら冷静に聞いているように見せて内心ではかなり動揺していた。
「いや、なんで俺が縛られてんだよ。」
リクは今床の上に寝転がっている。いや、寝転がっているというのは正確ではない。全身を蔦のロープで縛られ身動きが取れないようになっているのだ。宿屋なので薄い肌着しか着ていなかったリクの胸などの体の女性の部分が強調されるいわゆる亀甲縛りと言う奴だ。
ちなみに亀甲縛りは形から難しいと思われがちであるが練習すればだれでもそれなりの形にすることは出来る。もっとも、血が止まらず、かつ身動きが取れない程度の強さに縛るのには熟練を要するのだが。良い子はマネしちゃだめだ。
芋虫のようにゴロゴロと転がるリクを見てカヤノがうっすらと笑う。いつもと違うカヤノの様子にリクの顔がだんだんと青くなっていく。
「先生が望んだんですよ。だって先生好きなんですよね。」
「なに・・むがっ。」
意味が分からずに聞こうとしたリクの口にカヤノが取り出した瓶を突っこむ。リクの目が大きく見開かれ、コキュコキュと喉の音を鳴らしながらそこに入っていた白色のドロッとした液体が中に流れ込んでいく。その様子をカヤノが嬉しそうに見つめていた。
何とか瓶を口から外そうとリクがもがくが、カヤノに胸の少し上のあたりを足で押さえられ、両手で瓶を持たれてしまう。
「ダメですよ。ちゃんと全部飲んでください。」
「むぐ~。」
リクは抵抗の意思を見せるが、カヤノはそれを許さず瓶の中の液体がすべてなくなるまでそのままだった。そしてキュポンと言う音を立てながら口から瓶が外される。リクの口の端からは白濁したドロッとした液体が伝い流れていた。
「どうしたんだ。っていうか今の液体は何だ!体が・・・熱い!!」
リクの体が身もだえるように動き、顔が紅潮していく。初めての感覚に戸惑いを覚えながらもその瞳は月光を写す夜の海のように潤んでおり、カヤノを捉えて離さなかった。
「成功みたいですね。リク先生に効果があるかちょっと不安だったんですが。」
「何・・だと・・。」
カヤノが先ほどまでリクが口にくわえていた瓶を見やすいように目の前に掲げる。
「これ、フラウニさんのレシピ集にあった五感を最大限まで強化するポーションなんです。リク先生、少しは感じるって前に言っていましたよね。」
「・・・」
リクは答えられない。久しぶりのしかも鋭敏化した触覚が身動きするたびに、いや言葉をしゃべるだけでも縛られた縄とのこすれを引き起こし、何とも言い難いぞわぞわした感覚が全身を襲っているのだ。
「先生、聞いていますか?効いていますよね?」
カヤノがリクの腹の部分の縄を思いっきり引っ張る。
「くっ、ひっ!!」
縄を引っ張られたことにより強制的に刺激を与えられたリクから甲高い悲鳴が上がる。カヤノがその悲鳴を聞いて三日月のように口を開けた。
カヤノの表情はいつもとはまるで違い、艶のある妖艶な笑みを浮かべている。
「効いているんじゃないですか。先生なんだからちゃんと教えてくださいよ。」
「どう・・したんだ。何があっ・・た。」
はぁはぁと荒い息を吐きながらもリクが自らを見下ろすカヤノへと声をかける。しかし息を吐くたびにその上下する胸が縄とこすれ、リクを堕落させるような快感が襲っていた。
それでもなおカヤノの変わりようへとリクの意識は向いており、それが理性を保つ一助となっていた。
そんなリクの耳元へとカヤノが顔を近づけそっとささやく。
「こういうのが好きなんですよね。」
「何!?」
「これまで見ていてわかったんです。リク先生ってこういうのが好きなんですよね。強いのに、いやだからこそ弱い立場の人に虐げられたいんですよね。僕、先生にお礼がしたいっていつも考えていたんです。合ってますよね?」
「・・・」
「誰が黙っていいって言いました?先生ならちゃんと生徒の質問に答えてください。」
「・・・うっ、ああっ。」
黙ったリクの頬を立ち上がったカヤノが素足でぐりぐりと踏む。
声を出さないように我慢していたリクだったが、執拗なカヤノの攻めに対抗することが出来ず喜びともつかない色のある悲鳴をあげてしまう。
「いい声ですね。リク先生は先生なのに、生徒でしかも子供の僕なんかに踏まれて気持ちよくなっちゃう変態さんなんですよね。」
「ち、違う。ううっ。」
「そうなんですか?」
「あっ。」
リクの答えにカヤノが足を頬から外す。先ほどまでの執拗な攻めが嘘だったかのように突然に離れた足にリクが思わず声をあげてしまう。
それを聞いたカヤノはさらに笑みを深くした。
「あっ、て何ですか?やっぱり踏まれたいんじゃないですか。先生が嘘をついちゃいけないんじゃないですか?」
「嘘なんかついてない。」
「へ~、そうなんですか。あくまで白を切るつもりですね。そんな嬉しそうな顔しているのに。そんな先生にはお仕置きが必要ですよね。」
カヤノがローブの奥から取り出した瓶の蓋を外すとコキュコキュと飲みだす。そして飲み干した瓶を適当に放るとカヤノの頭に生えていた蕾が花開き、そしてその周りに無数の蔦がうごめき始めた。
「なんだ・・・それは?」
「あぁ、なんかアルラウネの能力を強化するらしいですよ。副作用もあるらしいですけれど先生をお仕置きする方が大事ですよね。」
頭の蔦をうねうねと動かしながら無邪気な子供のような笑顔でカヤノがリクへと近づいていく。
「や、やめろ!!」
「大丈夫ですよ。リク先生ぐらいの変態さんなら怖いのは最初だけです。そのうち気持ち良くなりますから。」
カヤノの蔦がリクを覆っていく。うめき声や何かを我慢するような声がしていたのは最初の数分のみで、その声は次第に嬌声へと変わっていくのだった。
「ふぅ。」
カヤノが小さく息を吐く。
その足元にはいろいろな体液を垂れ流しながら白目をむいているリクが倒れていた。服は濡れて体に張りつき、透けた肌色が全裸よりも強く女性を感じさせている。
それでもなおリクの顔は幸せそうな笑顔だった。
カヤノが振り返る。
「じゃあ次はミーゼさんにお礼をしないと。」
「ひっ!!」
「はぁはぁはぁ。」
「おっ、起きたか。ずいぶんうなされていたが大丈夫だったか?」
「あっ、おはようございます。リク先生、やっぱり起こした方が良かったんじゃないですか?」
「夢ってのは頭の整理をするのに必要なんだよ。たしか。」
「たしか、なんですね。」
飛び跳ねるように起き、荒い息を吐くミーゼの目の前ではいつも通りの2人が朝食の準備をしていた。リクが縛られていることもないし、カヤノの頭から触手が出ていることもない。いたって普通の光景だった。
朝食のおいしそうな匂いがミーゼの心を落ち着かせる。
「ふぅ、なんて夢を見るのよ、私は。」
気がつけば全身から汗が滝のように流れぐっしょりとしており、その気持ち悪さにミーゼが顔をしかめる。さっさと水浴びをして気分を入れ替えようとミーゼが布団から出ると、テーブルの上に乗っている瓶を見つけて動きが止まった。
それはどこかで見た覚えのある瓶だった。
「あっ、その瓶の液体は飲んじゃだめですよ。フラウニさんの五感が鋭くなるっていうレシピを作ってみたんですけどまだ実験してないんで効果が良くわからないんですよね。」
「おっ、五感が鋭くなるなら俺が飲んでもいいか?普通の食事でも味を感じられるようになったら嬉しいしな。」
「だ、ダメー!!」
ミーゼの叫び声が朝食前の部屋に響き渡ったのだった。
カヤノとリクのプレイ内容を見ているうちに自らの中に芽生えた感情に戸惑うミーゼ。違う、と否定しながらもその種はやがて芽をだし、そして大樹へと育っていくのだった。
次回:新たなる才能
お楽しみに。
あくまで予告です。実際の内容とは異なる場合があります。




