青春……のはず
京子は高校生だ。
部活の帰り道、自転車を降りて、自転車を、手で押しながら、夏の暑い日、一人で歩いていた。
自転車のカゴには水球のボールが入っている。
京子はリュックに水着などを詰めている。そしてリュックは自分で背負っている。
京子は水球部である。
京子は女子制服の夏服を着て家に向かっている。
セミがやけにうるさい。
京子は、これからの受験、水球の技術などを考えながら歩いている。
なぜ自転車に乗らず、歩いているのかというと、歩いている方が考えに集中できるからだと京子自身は思っている。
しばらくそうして歩いていると、とある駄菓子屋に着いたので、京子はそこでアイスクリームを購入すると、アイスをペロペロ舐めながら歩き出した。
家までもう少しなので、京子は家に帰るまでにアイスを食べきろうと思った。
そして母親には「ただいま」と言って、水球用のリュックを背負いながら、水球のボールを片手に家に入るつもりなのだ。
いつのまやら受験のことや、水球のことは忘れてしまっていた。
そうしてそのことに気付いた京子は、一度うなだれると、少し考えたようなふりをした後で残り少ないバニラアイスを口に全て含み、少し噛んだ後に、アイスの棒を自分のスカートのポケットに入れた。
そして家に帰り着いて、自転車をいつもの庭の場所に止めると、「ただいま」と言って、自宅の中に入っていった。