初めての大会
――――5月29日ついに大会の日。
初めてということもあり緊張していた。
自分は100m 200m 800m リレーにでる。
特に心配なのがリレー。
バトンパスが苦手だからと言うことでアンカーにさせてもらった。
だけどアンカーは、はっきり言って一番貴重。
今まで頑張って走ってきたみんなの気持ちを背負って走る。
そんなことを思うと足が重くてなにもできなくなる…
ただし、今回は男女混合だから少しは何とかなる。
そして100m競技の番が来た。まだまだ準備が整ってないけどレーンに行くことにした。
その時同じクラブの『依田 拓也』が話しかけてきた。
「リレーの事考えてんだろ!今は個人もちの競技に集中しな!
リレーは混合だし気にしなくて大丈夫だよ!」
その言葉で緊張感がなくなって気軽になった。
そして列ごとに名前が呼ばれる。
審判の「いちについて―――」「よーい―――」で走る準備。
「ドン」でみんな一斉に走り出した。
最初は3位くらいだった自分がだんだんに人を抜かして一位になった。
走り終わった後のみんなの歓声。 走ってる時は感じない何位かの実感。
そしてついに結果がでる。 【14″48】 この表示が出た時にうれしくて騒ぎまくった。
でも、たかが100m。まだまだ余裕は無い。 200m 800m リレーが残っているのだから。
―――――そして他の女子も走り終わって200m競技に移るときだった。
いきなり知らない人に話しかけられた。
「君はさっきの100を走った…」と言って口をとめた。
「うん、期待しているよ!頑張ってね!」 その一言が理解できずにいたが
「ありがとうございます」と言い残して競技まで急いだ。
―――――200m競技。
さっきは最初に走ってた自分だけども次は最後らへんに走る。
だから初めの方はベンチに座って他の人の走りを見る。
その時に奈緒の姿を発見した。 次に走るのは奈緒らしい。
「頑張れ」その一言を言おうとしたけど言えなくてずっと見ていたら達と友二が来て
「どうだった?」と聞かれる。
200はこれからと答えた後に友二が 「次、奈緒じゃん」と言った後「頑張れー」と言った。
その言葉に気付いたのか奈緒はこっちを向き 「ありがとう!」 と言って手を振る。
そして始まる。「位置について」「よーい」その瞬間を見逃さなかった。
奈緒の目が変わったのを… 「ドン」と言う音と共に奈緒は走り出した。
奈緒が走っているときずっと目が追っていた。
――――なんと到着は一位。その結果を見た後に達と友二は「行こうぜ!」と言って走り出した。
その後に続いてついて行く自分。奈緒がこっちに気付いた時に「奈緒すごいよ!」と言った。
そしたら「ありがとう!でもまだタイムが…」と不安そう…
「大体で計ってたら24秒だった!」 と友二が言うと「本当!?」と言った。
そして「28″78」と言う達。
「すごいね!もう分かったんだ」と言うと「もう結果出てるよ」と言い結果版を指す。
見てみると 【28″78】 と言う表示が出ていた。奈緒は嬉しそうに喜ぶ。それもそうだろう。
自己最高記録を出したのだから。 それを見てすごくうらやましかった。
でも、その時に敵対心も持った。だけど走ることにしては仲間とか関係なしでただ走ればいい。
そんなことを思った自分は「奈緒ー!うらやましいぞー!」と言って奈緒の手を取った。
ところが友二に「次お前じゃね!?」と言う一言でハッとして我に返る自分。
「あっ。そうだ…やべぇ」そう言って走り出そうとしたら「悠には叶わないよ!だから頑張れ!」
と言ってくれた。それを聞いて自分が今いなきゃいけないところの場へ行く。
――――そして3人が見守る中自分は走り出した。
何の感情も無く、何も考えないまま…結果はあまりよくない気がする…
2位到着…あまり心地いいものではなかった。
そして結果が出された時に「ねぇ…」と声をかけられる。
その人はさっき一緒に走って勝てなかった相手だ。
「どうして?」いきなりそんなことを言われる。
意味が分からないので「何が?」そういうと「えっ…気付いてないの?」と言う。
いきなりそんなことを言われて気付く人はいないと思いながら「分かんないけど?」と言うと
「あたし、アナタのこと押したの…気付かなかった?」と言われる。
……押した?そういわれると後半、左側に何かが当たってペースダウンしたような…?
「そうなんだwわざとじゃないでしょwそんなの。気にしなくて良いよ」と言ったら向こうは
「そんな…わざとだよ。100m競技見ててあなたには勝てない気がしたから…
だからわざと押したんだよ…」
「いいよ!そんなの黙ってて!最初から200も走る体力無かったからね!」と言った。
その後も話して向こうは誤りはじめた。
そんなの気にしない自分は簡単に話を終わらせた――。
そして個人種目が最後の競技800m。 結果は見事な一位。
最後に残っていたリレーも何とか一位。
スタートが友二、次は奈緒、次が達、そしてアンカーがうち。
なんとか繋ぎきったバトン。 プレッシャーに負けないで走りきった結果が一位。
その瞬間みんなが駆け寄り喜んだ。
そして最後。
表彰式。
――――――――――
女子共通100m一位14″48
女子共通200m二位27″58
女子 800m一位 2′68″43
共通400mリレー一位 55″32
――――――――――
と言う結果になった。
そしてある1人の女子が口を開いた…
それは200mの時に話した美智流さんだ。
「待ってください…」そして審査員が「なんですか?」と言ったとき
「200mの結果は正しくありません。私は悠さんを押して一位になりました」
その瞬間周りがざわめき始めた。審査員も唖然としている。
そして 「そうなんですか?尾原さん、押されたんですか?」そう言って自分に問いかけられる。
「いいえ。押されてません。」そう言うと審査員の人は戸惑う…
「もし仮に押されたのならその場でバランスを崩し転んでるはずです」
と言うと「う〜ん…」と審査員もすごく戸惑っているようだ。
自分は呆れて「あの、本当に押されてませんから。結果は間違ってません。」
そう言ったのに審査員の人達は「でもねぇ…」と言う。
「本人が押されてないって言ってるんですから押されてないんです。」
審査員の人も 『確かに…』と言う感じな表情を見せ 結果はそのままで変わらなかった。
(そのままなのはふつうの部活とかのように厳しくないから)
その時に「どうして…」と美智流さんが小声で言ってるのが聞こえた。
その声に気付いた自分は横目でチラッと見たが聞こえないフリをしていた。
下を向いていて今にも泣きそうな表情。
声をかければすぐにでも泣いてしまいそうな感じだった。
だからこそ話しかけないでそのままに―――。
帰るときは美智流さんが「ごめんなさい」と言った。
表情はまだ泣きそうな感じ。
「気にしない!」その言葉を言った瞬間美智流さんは「ありがとう」と言った。
他に何か言いたいのか目はまっすぐに自分を見る。
「あの「次の大会は…」同時に話し始めてしまったが自分は続けた。
「次の大会は…正々堂々とやろうね」そういうと「うん!」と言い私たちは別れた。
初の大会にしてこの結果。結構嬉しい気持ちがある。そして大会も終わり、
少し安定した日が続く―――。
次回も読んでみてください