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三界大戦記―好色皇子と三界の姫たち―  作者: 安里優
第二部:人界侵攻・蒼雷編
41/125

第14回:品定(上)

挿絵(By みてみん)


「皇女殿下への報告の任を拝命いたしましたゼロトと申します」


 アダー総督の代理人と名乗る優男はそう自己紹介した。


「なよなよした男だな」

「よろしくお願いするとの皇女殿下の仰せです」


 本来は大勢の客をもてなすために使われる長大な卓の端と端にいるため、リディアがオリガに耳打ちする言葉は、男に届かない。

 オリガはリディアの言葉を気にせず、それらしい台詞を述べた。

 彼女にしてみれば、常は感情をそのまま表情に出すリディアがよそよそしい笑みを保持していることのほうが驚きであった。


「もったいなきお言葉」


 ゼロトと名乗る男は、深々と頭を下げる。その態度がいちいち大げさなのを不審に思いかけ、オリガは内心で苦笑した。

 傍にいるせいで――さらに言えばオリガ自身がゲルシュターの流れであるため――忘れかけているが、リディアはゲール帝国にも三人しかいない帝位継承権保持者の一人である。

 仰々しい態度を取られても不思議はないのであった。


「まずは皇女殿下ご一行の無事のご来駕を喜ばしく思います。なにしろ、現在のネウストリアは少々危険ですからね」

「ええ。我々も足の遅い車を帰しました」


 実は、リディアたちは、当初、四台の馬車と二台の竜車とを仕立てて出発していた。その全てが魔族相手を想定したものではない。リディアやオリガはネウストリアやアウストラシアでもそれなりの商売をしているため、運搬の用が他にもあるのだ。

 しかし、ネウストリアの情勢が不穏であるとわかり、力はあるが足は遅い竜に牽かせていた竜車は途中で戻し、馬車も四台分の馬を三台につないで足を速めたのであった。


「賢明なご判断と考えます」


 ゼロトは頷いて、唇を一つ湿らせてから話し始めた。


「そもそも、現在のネウストリアの混乱を招いたきっかけは、四ヶ月ほど前……昨年の終わり頃に一つの都市が森に沈んだことにあります」


 ネウストリアは森の国である。『黒森』からわき出た植物群は、人の生活を脅かすほどの勢いで繁茂する。

 常に伐採を続けなければ都市機能が維持できなくなるくらいに。


「ネウストリアの北西、ベルツという小都市が森に埋もれ、住人の大半は別の都市へ逃亡いたしました」

「なんだよ、切り払うのを怠けたのか?」

「伐採は続けられていたのではないのですか?」

「ベルツの許容量を超えたということだろうと解釈されております」


 つまり、都市が植物の排除に回せる労働量を、木々の生長が上回ったということだろう。

 しかし、そんなことが起こりうるのか。


「ネウストリア種の活動に変化が見られたというような致命的な事態は確認されておりません。そこで、ネウストリアの一部勢力――有力な一派――は、このベルツの出来事を、奴隷労働力の欠如によるものと結論づけました」

「はあ……」


 オリガが戸惑うように相づちを打つと、ゼロトは優雅に笑みを浮かべた。


「我々帝国人にとっては理解しがたいことですが、ネウストリアの人々は、人ではない……亜人を全て奴隷だと思っていますからね」


 ゲール帝国では奴隷は一般的ではない。重罪に対して労働刑を科せられた者が同等の扱いをされることがあるくらいだ。

 一方、ネウストリアでは亜人、特に獣人は獣人というだけで有無を言わさず奴隷扱いされてきた歴史があった。


「だからこそ、彼らはネウストリアを移動する際はゲルシュターの隊商団を頼る。それは知っておりますが、近年その傾向も緩和してきていたのでは?」

「はい。問答無用で獣人を奴隷扱いするようなことは少なくなりました。さらに、獣人の側も反発を強め、各地で蜂起や襲撃が発生し、余計に奴隷を積極的に使おうとする者は減りました」


 オリガの疑問に応じた後で、ゼロトは、しかしながらと続ける。


「その潮流そのものを苦々しく思っていた一派があったということでしょう。奴隷を用いることで得をしていた者たち、奴隷を商う者たち、そして、物事が変わっていくことに我慢がならない者たち……」

「ふんっ。どこにでもいるもんだな、頭の固ぇ奴らはよ」


 リディアの悪態を聞き流し、オリガはゼロトに尋ねる。


「では、その者たちがなにかの行動を起こしたと?」

「はい。先ほども申し上げましたとおり、ベルツでの出来事を、奴隷が足りなくなったためだと考えた彼らは、都市部を避け、森の中に住むようになった獣人たちを狩り出しました。もちろん、奴隷として森林伐採の労働を課すために」


 そこでゼロトは小さく肩をすくめた。


「彼らの論理でいきますと、森に住んでいる獣人たちは、逃げ出した元奴隷たちとその子孫ということになります。つまりは自分たちが取り戻す正当な権利を持つ対象であると」

「しかし、そんなことをすれば……」

「はい。当然、獣人たちはそれに反撃します。そうして始まった対立が激化して、ネウストリアは不穏な情勢となっているわけです」

「まあ、経緯はわかったが、なんだってその話がこっちに届いてねえ?」


 ゼロトの説明にリディアの声は不機嫌そうな響きを帯びる。それでも眉一つ動かさないのはさすがと言えた。


「ネウストリアにおける情勢変化が、本国に知らされていなかった理由はなにかあるのでしょうか?」

「我々の至らなさから皇女殿下にご迷惑をおかけしたこと、まことに申し訳なく思っております。あえてその理由を挙げるならば二つ」


 深々と頭を下げた後、ゼロトはなめらかに続ける。


「一つには二月後半から急激に情勢が悪化し、戦闘が激化したこと。もう一つは、奴隷狩りを仕掛けた側……主に都市部の有力者たちが外部への情報を遮断すべく動いていたためです。どうも、彼らは短期的に事が収まると見ていたようで」

「そんなうまくいくかよ……」

「なぜそのように見通しが甘くなっていたのでしょう?」

「そのあたりがネウストリア人の愚かさと申しますか……。獣人を生来の奴隷と侮っていることもあり、最初に強烈な一撃を加えればおとなしくなるものと思い込んでいた模様です」


 この答えにはリディアのみならずオリガも絶句した。

 事を起こすにあたり相手の反応を想定するのは当然のことだが、自分に都合のいい動きだけを考えるのは、予測とは言わない。

 それは、願望というのだ。


「ところが……当然と言えば当然ですが、獣人は強烈に反発しました。かえって各地に散っていた獣人集団がこれを契機に合流し始め、より強力な集団となりつつあります」

「泥沼だな」


 リディアのこの呟きは、オリガに向けてのものですらない。


「もちろん、今後は情報収集に励み、充分な注意喚起を各地に……」

「それだけじゃ足らねえ。むしろ、安全を商売にしちまえと伝えろ」

「はい」


 ゼロトの型どおりの言葉に、しかしリディアは満足しない。彼女が促すのにオリガはしっかりと頷いて言葉を選び出した。


「皇女殿下はこう仰せです。ネウストリアの混乱で我がゲルシュターの隊商団の往来が途切れることは許されません。むしろ、他の者たちが出来ずとも我らが出来るということを、大陸全土に示すべきでしょう。ゲルシュターに依頼すれば間違いなく取引が出来る。そう思えば誰もが我らを頼ります」

「……なるほど。ネウストリアにおける混乱を商機に変えよと」

「その通りです。本国や近辺の租借地と図り、出来る限りの方策を探るように」

「はっ」


 感服しきりという表情でリディアを見つめるゼロト。彼はもう一度リディアに頭を下げてから、声を低めて続けた。


「これは不確実な情報なのですが……。ぜひお耳に入れたきことがあります」

「なんでしょう」

「事の始まりとなったベルツでの出来事ですが、これがどうも怪しいのです。奴隷不足云々は言いがかりとしても、事故とも考えにくく」


 では、なんなのか。

 リディアとオリガの疑問の視線を、ゼロトは真剣な顔で受け止めた。


「ベルツの消滅は、神意であったのではないかと」

「神意ですか……」

「はい。神々の定められた禁忌……それを破った者がいたという情報を、ベルツからの逃亡者から得られました」


 禁忌に触れることで、神々の怒りを買い、都市ごと森に呑み込まれるという方法で処分されたのではないかとゼロトは言っていた。

 それはけしてあり得ない出来事ではない。

 神界が明示的に動くことこそごくごく稀であるものの、急に巨大な竜巻がその地方を襲ったり、一夜にして都市が水没したり、岩の雨が降って国土の一部が失われたりといった出来事は間違いなく歴史に刻まれているのだ。


 そんなことを起こせるものが神々以外にいるわけもなく、そうした出来事を通じて、人々は神の怒りを買うことの意味を学んできた。

 今回もその一例であったとしてもおかしなことはなにもない。


「そうですか。禁忌に」


 オリガの視線が意味ありげにリディアに向かう。リディアは眉をひそめながらそれに応じた。

 もちろん、その表情はオリガとゼロトでは受け取りようがまるで違ったろう。


「だから『船』は禁忌に触れてねーって。たしかに古代の産物だけどよぉ」

「それで済むといいんすけどね」


 神々の定めた禁忌の中には『先史時代』の産物の再開発も含まれる。もちろん、それは神界の基準で『危険』と判断されたものに留められているのだが……。

 ひとつ咳払いしてから、オリガはゼロトに向き直る。


「ネウストリアは様々な意味で危険であると。そういうことですね?」

「そうなります」

「注意することとしましょう」


 彼女がそう重々しく告げて、ネウストリア情勢についての会話は一段落することとなった。



                    †



「それでは、次に、ご依頼を受けて調べました魔族たちの件ですが」

「おお」


 リディアが興味深げに微笑みを浮かべる。それに勇気づけられたようにゼロトは紙束を取り出した。


「詳しくはこのように報告書にまとめてあります。もしよろしければ概略を述べさせていただきますが」

「ああ」

「是非お願いします」


 ゼロトは一つ空咳で喉の調子を整え、書類をめくりながら話を始めた。


「まず、彼らはカラク=イオを名乗り、勢力を築こうとしています」

「なんだ? 魔界からちょっかい出しに来てるだけじゃねえのか……?」


 話を聞きながら、オリガとリディアは手元に地図を広げ、共に眺めている。ゲール帝国ではアウストラシア地方の詳細な地図は入手しづらいため、これはこの租借地に着いてから手に入れたものだ。


「ご存じの通り、旧ソウライ地域には都市国家と呼べるものが七つ並立しております。おおむね西から東にベーア、ハイネマン、ディステル、ゲデック、リースフェルト、ファーゲン、ショーンベルガーと並んでいるわけですが……」


 ゼロトの言葉に、リディアとオリガの視線が地図の上を動いていく。


「カラク=イオを名乗る集団は、三月半ば――つまりは半月ほど前にこの都市のうちファーゲンを占領いたしました」

「おいおい、あっさりいくなあ」


 驚きか呆れか、リディアが呟くのにオリガも同調する。


「占領とは穏やかではありませんね。魔界の本格侵攻ということでしょうか?」

「……というには中途半端に過ぎます。魔族の数は三千にも届きません」


 オリガの問いに、ゼロトは慎重に答えた。さすがに魔界の本格的な侵攻が始まれば、ゲール帝国としても他人事と言ってはいられない。

 しかしながら、彼の知る限り、現況はそこまで緊迫していなかった。


「なによりも、彼らは補給を本国に頼っていないのです。しかも、魔界につながる山地で、戦闘が観測されたとの報もあります」

「追い出されでもしたってか?」

「魔界から人界へ逃亡してきた一派……ということでしょうか?」


 オリガの言葉にゼロトは小さく頷いた。


「後に続く者がなければ、魔界から支援を受けるものではないと判断してもいいのではないでしょうか。なにしろ、彼らは補給をショーンベルガーに頼っておりますから」

「ショーンベルガー市はすでに占領されているということですか?」

「いえ」


 彼の否定の仕草を、オリガは不思議そうに眺める。


「もちろん、力関係で言えばショーンベルガーは魔族の影響下にあるのでしょう。ただし、それは協力体制に近いものかと思われます。現に、占領されたファーゲンには治安維持のためショーンベルガーの兵が入ったとか」

「現地の兵も使ってるってか。こりゃ、本気で居着くつもりかもな」

「なるほど、魔界とつながっている集団ではないということですね。彼らと交易を試みる際にはその点について十分に考慮しておきましょう」


 言いつつ、これは失敗だったか、とオリガは内心忸怩たるものがある。

 リディアの帝位継承権確定のための試練に益するものと思って提案した魔族との交易であるが、相手が根無し草の逃亡者集団ではろくな利益にもなるまいと考えたのだ。

 だが、そんな懸念は、続くゼロトの言葉で吹き飛んだ。


「はい。魔族というのはどうにもおかしな奴らのようですので、くれぐれもご注意ください。なにしろ、ファーゲンを占領するときも水の上を『泳いだ』そうですから」

「……泳いだ?」


 リディアとオリガの声が揃う。

 自分の耳にも届くほどの声を上げた皇女の姿にゼロトが硬直し、ついで戸惑うようにオリガとリディアの間で視線を往復させた。

 当の皇女のほうはそれに構わずオリガに耳打ちする。


「おい。報告書を取り上げて、とっととあいつを追い出せ」

「わかってます」


 そういうことになった。



                    †



「おいおいおいおい! まじで水上から攻めてんじゃねえか、魔族の連中!」


 部屋に戻って報告書を読み進めたリディアは、該当箇所を三度読み直した後で喜色満面でそう言って、その場でくるくる踊り始めた。


「でも、姐御。この報告書だと、なにかを浮かべてそれに掴まり、固まって泳いだと思われるってなってますよ。見つからないためにも大きなものは無理ですし、山に登るのにも邪魔になりますから……。『船』とはかけ離れてるんじゃ?」


 ファーゲンは、谷間に堰堤をかけて作られた人工の湖に浮かぶ都市である。堰堤の水門部分に接続するように築かれた都市は、攻め入る方向が水門の正面しかなく、難攻不落と言われていた。

 魔族はファーゲンを攻めるにあたり、正面から攻撃すると見せかけた。しかし、実際には、別働隊が人工湖を形成する谷間を登り、湖面を泳いで渡ることで都市への侵入を果たす。

 ほとんど兵を損なうこともない、鮮やかな占領劇であったと報告書は綴っている。


 水上を利用して攻めるなど人間には出来ることではない。人は、川や湖というのは大地の毒が最終的に流れ込む場所であるという認識を持っているからだ。

 浄化された水がたっぷりとあるソウライ地域でさえ、生身の人間が『泳ぐ』などということはまず考えられない。

 川で艀を牽く商人たちの一部に特殊技能として泳ぐ技が伝わっているというが、それとて緊急時に身を守るために行うもので、好んでやるものではないのだ。


 ファーゲンの人々もその認識を共有していた。まさか水に囲まれた側から攻められるとは思ってもみなかったため、そちらの防備は無きに等しいものであった。


「船を使ったんじゃねえのはわかってるって」


 相変わらずご機嫌な様子で部屋の中を踊りまわりながら、リディアは応じる。その豊かな胸がとんでもない迫力で揺れている様は、同性のオリガも目が離せないくらいであった。


「大事なのは、水面を利用する意識が魔族にはあるってこった。そのものずばりじゃなくたって、元から使う気もないやつらよりは近いことを知ってるはずだろ?」

「まあ、そう言われてみれば……」


 そこでリディアはくるくる回るのをやめ、オリガの正面にすとんと腰を下ろした。そこでもぶるんと揺れた胸を、オリガはなんとも複雑な表情で見つめる。


「それに、実際、船についても知ってんじゃねえかな。まあ、これは勘でしかねえけど……」

「そうであってくれればいいっすけどね」


 オリガは本気でそう思っていた。魔族との交易で利を上げるのが難しいなら、せめて情報を得ておきたいものだと。

 ただ、それが容易く実現できるかという点で不安もあるのだが。


「それよりも、どうその情報を引き出すかですね」

「そうだな……」


 リディアは思い切り顔をしかめる。その顔つきが示す不穏さはともかく、こうして表情をころころ変える彼女を再び見る事が出来て、オリガはほっとしていた。

 皇女としてひたすらに感情を押し隠していたリディアになにかもやもやしたものを感じていたことに、彼女はようやく気づいた。


「下手したら出直す必要があんのかもしれねえな」

「それほどですか?」


 今度はオリガが眉をひそめるのに、リディアはぱんっと報告書をはたく。


「そもそも、カラク=イオとやらがなんなのかもわからねーんだ。ここにも色々書いてあるが、どれもなにも言ってねえのと同じだぞ。二千あまりの魔族がショーンベルガー付近に居座った。そいつらがカラク=イオを名乗った。ファーゲンを落とした。やったことはわかるが、正体はさっぱりだ」

「たしかに……」

「この報告をまとめた奴らは、魔族ってものをなにか特別な……人間とはまるで違うものだと思い込んでやがるんだな」

「そりゃあ……」


 呆れたように言って深く背もたれにもたれかかるリディアに、オリガは小首を傾げた。


「だって、やつら変身するんすよ?」

「そうだな。だから、どうした?」

「え?」


 彼女の破天荒な言動には慣れているつもりのオリガも、さすがに声を失う。リディアは大きく肩をすくめてこう続けた。


「いいか? 魔族だって飯を食う。商売もする。ガキだって作る。ってことは、腹も減れば、金も欲しければ、つがう相手を選んだりもするってことだぜ。それが人間と同じとは言わねえ。愛とか情とかそんなものがあるかも知らねえ。大事なのは、やつらもそれなりの意図を持ってるってことだよ。あいつらなりの論理でな」

「彼らの行動のそもそもの動機……ってことですか」

「そうだよ。そこを押さえなきゃなんねぇ。やつらがなにを望んでるのか……。こっちがなにを見せれば食いついてくるのかを知る必要がある」


 それが商売の基本だろ、とリディアは言った。その言葉にオリガは考え込む。

 その主張は間違っていない。だが、人間である彼女たちが異種族である魔族の思考を理解するには、それなりの情報と時間が必要だ。

 ネウストリアの混乱に巻き込まれた上、そうした調査に時間を取られれば本拠地への帰還は遅れに遅れる。

 リディアはそれを心配して一度戻る必要があると言っているのだ。


 だが……。

 オリガの額から頬にかけて走る傷痕が熱くうずいた。これまでの経験上、この感覚が訪れるのは、彼女にとって重要な決断を下す必要のあるときだとオリガは理解している。


「姐御」


 だから、彼女は声に力を込めてリディアを呼ぶ。


「ん」

「姐御とアタシが派遣されてもう二年です。なんでも出来るわけじゃないですけど、なにかを変えるわけじゃなければ、あいつらだけでも十分回してけます」

「うん。そうか」


 本拠地はもうしばらく留守にしても大丈夫だとオリガは保証した。リディアとオリガの二人で築いたものを信じてくれと、そう告げた。


「よし。本腰入れて魔族たちを探るぞ」

「はい」


 オリガの言葉を受け、リディアはそう決断を下したのだった。

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