魔術
「まずは基本である初級魔術から」
ふむやっぱり基本は初級魔術なんだ。
「今から魔術を使って見せるからよく見て」
リアンさんは綺麗な白い手を
私の目の前に持ってきた。
手、きれーだなぁ。
「火よ」
ポンっと音がしてリアンさんの指先に
ロウソクほどの小さな火が灯った。
綺麗な手に見惚れていたから、
ちょっとびっくりしてしまった。
「今のが初級魔術。この程度なら冒険者をやっていなくても使える。誰にでもできる魔術」
へえー
誰にでもできるのか。
できなかったらどうしよう。
だって転生者っぽいし。私。
「次は冒険者達が主に使う、中級魔術。これが攻撃魔術というやつ。」
おお!攻撃魔術か。
楽しみだな。でも危険じゃないよね?
「火よ、溶かせ」
そばにあった岩に手を向けると
先ほどの様な軽い音ではなく、
ゴゥという大気が焼ける音がした。
吹き付けてきた熱風にたまらず目を閉じ、
もう一度開けてみると
そこには半分溶けてしまった岩があった。
中級魔術すげー
「この様なものが中級魔術。この上である上級魔術は地形を変えてしまう。そのため上級魔術は行えない」
うわぁ
地形変えるってどんなのだろう。
見てみたいけど、危なそう。
「魔術は体内にある魔力を使ってこの世界にいる獣霊に現象を引き起こしてもらうもの。発する詠唱によって獣霊が起こす現象は変わり、現象に見合うだけの魔力がないと獣霊は答えてはくれない」
獣霊…
もしかするとご先祖様?
「説明が長くなってしまった。実際にやってみて」
ええ!?
いきなりですかい!
まあ早くやってみたかったし、いいか。
手を視界に入るほどの高さまで持ち上げる。
「火よ」
ポンっと弾けた音がして指先に火が灯った。
やった!成功だ!
「初めてにしては上出来」
リアンさんに褒められた。
ちょっと嬉しい。
「出来たなら次は無詠唱。無詠唱は難易度こそ高い。戦いなどで敵に使う。魔術を予想させない事が良い点。悪い点は詠唱を唱える魔術に比べ、消費魔力が多いこと。コツはよくイメージする事」
コストを考えると詠唱ありが良くて、
戦闘なんかだと無詠唱が良いっていう事ね。
でも戦闘なんてするかなぁ。
まあモンスターいるっぽいからするのか。
リアンさんの説明を聞き、
指先にロウソクの火が灯るイメージをする。
ポンっと聞き慣れてきた音がする。
無詠唱成功だ。
「貴方には魔術の才能がある」
リアンさんにまた褒められた。
どうやらここまで早く
無詠唱に成功した者がいないらしく、
彼女は感心していた。多分。
こうして私は魔術を覚えたのだった。




