プロローグ
初作品で更新が亀です!それでもよければどうぞ。
目の前に広がる赤、赤、赤。
まるで大輪の花が咲いたような辺り一面の赤。脇腹が温かく滑りのあるもので濡れている気がする。
ここは都会の細い一本道だったはず。その証拠にぼんやりとだがチカチカと光るパチンコ屋のピンクの看板が見える 。
一瞬の事だったので何が起きたか良く分からなかった。すごい勢いでフードをかぶった男が走ってきたと思ったら脇腹がカッと熱くなりこの様だ。こんなことならいつもの道を通れば良かった。
一つだけできたことは掠れて消えかける意識を必死に繋ぎ止めることだけ。目の前に影が射し、人が来た事が分かると繋ぎ止めていた意識がプツンと切れ、目の前が真っ暗になり、必死に呼び掛けている誰かの声が遠くで聞こえた。
・・・ここは暖かい・・・
瞼を開けようとするもくっついて離れない。けれどもすぐに分かった。ここは自分の居場所であると。心地よい場所。自分の居場所。
まどろみの中どこからか声が聞こえた。
呼んでいる。私の事を誰かが呼んでいる。
声がする方にぼんやりとした意識を向ける。するといきなり水の中から引き上げられるような感じがし、一気に辺り眩しくなった。
くっついて離れなかった瞼を恐る恐る開けると目に飛び込んできたのは驚きに染まっている白い毛と青い眼をもつ美しい猫の獣人だった。




