表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/34

ここ、どこ?

 メリーさんとなった男が身をかがめ、ケーキを持つここなの手にその青白い手を添えると。

 二人の周りの景色は溶けて……冷たいフローリングではなく、緋色の絨毯の上に立っていた。


「あれ? ここ、どこ? ここな、どこに来ちゃったの?」

「正しくは来たのではなく。帰ってきたんですが……」


 天には上弦の月……が二つ。

 それを見上げたここなは、まるで夜空が笑っているようだと感じ。

 自然と、笑顔になった。

 乾いた大地に敷かれた緋色の絨毯は、闇に青白く浮かぶ古城へと続いていた。


「……ほわわっ」


 周囲を見回したここなは奇妙な声をあげ、その身をぶるっとふるわせた。

 少女の吐く息が白いことに男は気付き、眉を寄せた。


「……もしかして、寒いのですか?」

「うん。ここなはさむいよ、メリーさん」

「それはいけませんね。……これはメリーにお任せください」


 男はここなの手からケーキをとり、自分の頭頂部にのせ。

 漆黒の外套を脱ぎ、それで魔王を包んだ。

 脱いだことによって現れたのは、脱いだものと全く同じ外套だった。


「あれれ?」


 ここなはとても驚いたけれど、それ以上にほっとした。

 メリーさんが寒くならなくて、良かったとここなは思った。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ