5/34
どうぞ?
「……私のこれが“くるくるくる~ん”……“くるくるくる~ん”……」
確認するように、男は自分で反芻してみる。
すると、確かに自分の頭部のそれは“くるくるくる~ん”としているような気がした。
「……」
男は多種の羊を知っている分けではないが。
自分のモノに似た形状の角を持つ、人間が食用に飼育している羊を見たことはあった。
「差し上げます。どうぞ」
「ありがとう!」
自分を見上げるここなが差し出した両手に。
その小さな小さな手が落とさぬように、バースディケーキをそっとのせた。
「あわわっ!? おもっ……あ、ありがと、メリーさん」
男はここな一人で持つには、この大きなケーキが重たすぎることに気づき、ここなの腕に両手を添えて支えた。
「……いえ。配慮が足らず、申し訳ありません」
「ねぇ、メリーさん! ここな、ふうっ~って、してもいいの!?」
蝋燭を吹き消したいと言ったここなに、男は首を振った。