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ゆうしゃは?
「あれから、多くの勇者がきましたが」
なぜなら。
まだ、メリーさんの魔王にふさわしい勇者を捕らえられていなかったから。
16の誕生日までに望みを叶えることできなかった、メリーさんの魔王を目覚めさせることができなかった。
「どの勇者も」
起きて、目覚めて。
望みを叶えることが間に合わなかったと知ったら、きっととてもがっかりしてしまうだろうから……叶えられるまで、眠っていてもらうことにした。
「皆が吼えただけで、腰を抜かすほど弱く」
それから。
ずっと。
「メリーが触れただけで、潰れるほど脆いのです」
メリーさんの魔王であるここなは、眠ったままだ。
「なので、誰も。<魔王>のメリーを、殺してくれないのです……メリーも皆も、このような状況に本当に困っております」
メリーさんの魔王の望みを叶えるには。
「もっと簡単に事が運ぶとばかり思っていたのですが……」
邪魔だった。
メリーさんは、メリーさん自身が“邪魔”だった。




