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16?
ここなは、16になれなかった。
誕生日が過ぎても、ここなは15のままだった。
「申し訳ありません、魔王」
メリーさんは、メリーさんの魔王であるここなに"今日も”謝罪した。
「まだ、魔王にふさわしい勇者が見つかりません」
ここなのベッドの傍に跪き、メリーさんは深々と頭を垂れた。
メリーさんに長い長い黒髪がその動きに合わせて、可愛らしい花柄の絨毯の上を流れる。
まるで、闇に飲まれ消える花畑のように……。
「……申し訳ありません、魔王」
メリーさんは、誕生日の前日。
メリーさんの魔王をおこさなかった。
おこしに、行けなかった。




