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ありがとう?

「ねぇ! じゃあ、ここなのお誕生日ケーキなの!?」


男を見上げるここなは、裸足だった。


指は安価なソーセージのように赤く、膨らんでいた。


寒さによるものだけでなく、栄養不足も彼女のしもやけを悪化させているのだろう。


かゆさに耐え切れず掻き毟ったのか、ところどころ血が滲んでいる。




「……これは貴女の、です」

「うわわわぁっ~!! ここなに、このケーキくれるの!? ありがとう、メリーさん!」

「……」



感謝の言葉に答えぬ男に、女児がもう一度同じ言葉を口にした。



「ありがとう、メリーさん!」



先ほどのものより声を大きくしたのは、先ほどは声が小さく、男には聞こえなかったのだと考えたからだろう。


薄手のトレーナーと、裾のほつれた綿のズボンとういでたちのここなの言葉に、男は疑問と驚きを感じて聞き返した。






「………………………“メリーさん”?」



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