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いいの?
「は?」
「お付き合い期間は短くなっちゃうけど、あと2週間でここなは16だもん!」
「あ、そうですね、魔王の誕生日はもうすぐですね……」
……まずい。
これは急がなければならないと、メリーさんは思った。
急いで結婚相手を用意しなければ、間に合わない!
なので。
メリーさんは考えた。
脳を高速回転させて、考えた。
「…………魔王。メリーとても忙しくなりそうなので、今日はこれで失礼いたします。手を離して頂けますか?」
「え? あ、うん……」
ここなが手を離すと、メリーさんはここなの部屋の扉を開けずに通過し、走って行った。
メリーさんのせいで扉がめちゃくちゃに壊れてしまったが、ここなの心だって……扉以上に傷ついた。
「……メリーさんの……馬鹿」
痛む心が、涙を生み。
ここなは、理解した。
告白は、ここなの大好きな人に伝わらなかったことを。
メリーさんと出会って、初めての涙だった。




