表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/34

かわいい?

「……魔王。これ、お借りします」


 男はここなのクレヨンを手に取り、芝生の上に置かれたスケッチブックに手を伸ばした。


「メリーさん?」

「………」

「あっ!?」


 スケッチブックに書かれていた絵に、男はあるものを書き足したのだ。

 それを見たここなは声を上げ、クレヨンを置いた男に抱きついた。


「きゃあああ! すてき! ここなもくるくる角だっ! ありがとう、メリーさん!」


 男の首に、巻きついた少女の両腕。


「……メリーは」


 淡いイエローのワンピースから伸びたその腕が、ぎゅっぎゅと男の首を締め上げた。


「メリーなどより、魔王のほうが……角などなくても、とても、とても可愛い、と、思いまっ……す」


 そう言った男の。

 メリーさんの顔は頬だけでなく、顔面も。

 指先まで青く、青く染まっていた。


「ここな、かわいい!? ありがとう、メリーさん!」

「…………」


男は、腕の中の少女の身体が出会った頃よりずっと大きくなったとあらためて感じた。

ここなは、今年で12才になっていた。


「魔王、私の魔王……どうかこれからも、メリーの魔王でいてください」


12才になったここなは、男のその言葉に。


「うん! ここなは、これからもずっと、ずっと、ず~っとメリーさんの魔王ね!」


 そう、答えた。


【魔王】の意味など。


「ありがとうございます、魔王」


 ここなは、知らない。

 魔王の意味を知る“人間”の存在を。


 ここなは、まだ知らない。











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ