ほしい?
「そっか……」
「魔王。なにが欲しいのですか? メリーが差し上げられる物でしたら、どんな手段を用いても必ず手に入れて参りますから、仰ってみてください」
非常識というより犯罪臭のする発言だが、この男に育てられているここなにはそれを嗅ぎ取ることはできなかった。
「……あのね、ここなはね……」
ここなは手に持っていたクレヨンを置き。
隣に座る男を見上げ、言った。
「ここな、メリーさんみたいな可愛いくるくるな角がほしい」
「…………メリーのような、ですか?」
「うん、ほしい」
「…………」
メリーさんと呼ばれている男には、頭部に角がある。
左右に一つずつ、それはついていた。
ここなは先程まで夢中で書いていたスケッチブックも芝生の上に置き、男に言った。
「メリーさんはいいなぁ、いいなぁ~。可愛いくるくるくる~な角がついてて……」
「………これが……………か、か、かわっ、可愛いですか?」
男の白い頬が赤く……ではなく、見る見るうちに青く染まっていく。
「あ~! むふふっ、メリーさんたら、照れてるね!」
「…い………い、いえ、そのっ」
男は照れると、青白い顔の青さが増す。
ここなはメリーさんと暮らしているので、それを知っている。
今のメリーさんの顔は、真っ青だった。




