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一章;入学

こんにちは。

初めての人は、はじめまして。

平頼孝*と申します。


私は基本学園モノを書かないので、今回は初めての学園モノになると思います。

この作品のテーマは「簡単じゃない恋」です。

恋愛を経験した事がある人なら必ずと言って良いほど判る事なのではないでしょうか。

恋愛は簡単ではない。必ず邪魔が入ったり、想いが伝わらなかったり、遠距離になって連絡が途絶えてしまったり…

そんな経験、ありませんでしたか。


私がこの作品に込めた思いは単純です。

きっと誰もが経験した事のあるような恋愛、そして届きそうで届かない、二人のもどかしさ。

誰もが経験したであろう恋愛と、理想の恋愛を混ぜ、現実じみ過ぎている訳でもなく、心に染みるような恋愛を書こうと思ったからです。


この作品を通して、一人でも多くの人が恋愛をする素晴らしさを思い直してくれたら幸いです。

新しい学校。新しいクラス。新しい顔揃い――

私のスクールライフは全て"新しい"ものから始まった。




「今日から君たちの担任を務めさせてもらう。内藤正直だ。宜しくな」

体育会系の若手教師。この人が私たちのクラス1-Bの担任。

「じゃあ一人ずつ自己紹介していくか」

「え――ッ」

担任の突然の発言にクラス中に批判の声が響く。

「えー、じゃない。これもクラスの仲間と距離を縮めるチャンスなんだぞ。じゃあ、ランダムにいくぞ。…よし、決めた。多摩安からにしよう」

担任は批判の声を笑い飛ばし、半強制的に自己紹介をさせ始めた。

自己紹介は順調に進み、いよいよ私の番に…

「は、はじめまして。佐々木京香です。出身中学は武光中学校です。…こ、これから宜しくお願いします」

…カタン

――と、私が自己紹介をした後、隣の席から何か物音がした。

見ると、机にうつ伏せになって寝ている男子の机からシャーペンが落ちていた。

「あの…」

私は席につき、彼のシャーペンを拾い、静かに声をかけた。

彼は寝息を立てて、まだ寝ている。

そうしている間にも、着々と自己紹介は進み、今度はいよいよ彼の番になってしまった。

「おい、出席番号2番」

担任が大声を出す。

やっとの事で彼が机から頭を離し、一つ大きな伸びをする。

…綺麗な顔だった。

彼は暫く教室中を見回し、クラスメイトの視線が全て彼に注がれているのに気づいたのか、一瞬動きが止まった後に呟いた。

「…え、俺寝てましたか?」

この発言にクラスメイトは大爆笑し、担任は半分飽きれ気味に苦笑する。

彼はというと、寝ていた記憶がないのか、ただただ呆然としているばかりだ。

担任はそんな彼に自己紹介を促す。

「いい加減目が覚めただろ。自己紹介、頼むぞ」

彼は軽く首を傾げた後、席を立った。

「…浅見雅也です。出身中学は嶌渓中学校。…よろしく」

まだ眠そうに自己紹介をする彼に、ますます視線が集まった。

クラス中からひそひそと声までもが聞こえてくる。

「嶌渓だって…」

「普通じゃないよな…」

「何でこんな所に居るんだろう…?」

「どうしよ、話掛け辛いかも…ッ」

ひそひそ話は次第にざわめき声と変わり、彼の耳にも届く音量となった。

私は、ふと彼の方を見た。

彼の目は、何処と無く悲しみを帯びているように見えた――

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