番外4【ゴブ1号の過去】1
ゴブ1号の過去編!
草むらがゴソゴソと揺れる。
間違いない、あそこだ。
見られているとも知らずに草むらはゴソゴソと揺れて、さらに通った後を残すように草をどんどんなぎ倒してゆく。そこに来るまでに通った経路ががなぎ倒された草で一発でわかるような道になっていた。
その道を逆走する茶色い影。茶色い影は道をどんどん逆走していく。
そして、草がなぎ倒されている一番最初の所まで来ると唐突に周りの風景に埋もれた。
そうだ。そうやって、穴に手を突っ込んで、引きずり出せ!!
しばらくの後、茶色い影がまた出てきて、俺に向かって手を振った。その手にはしっかりと今回の獲物である【フラワーロップ】が握られていた。
ゴブ1号『ギヒヒヒ、六十点てところか?《ゴブ2号》も狩りが上手くなりやがったな』
俺ほどじゃねぇけど。
俺はそのまま木から飛び降りて道を作っていたもう一体の【フラワーロップ】を捕まえた。
ヂィーヂィー鳴いている【フラワーロップ】の耳を掴んで眼前までに持ち上げて顔を見つめる。
ゴブ1号『ギヒヒ…………不細工な面だな』
【フラワーロップ】は一層激しくヂィーヂィー鳴いた。
ゴブ1号『ギヒヒ、うるせぇよ、てめぇは不細工だ』
ゴブリンの俺に言われたくないかもしれないが【フラワーロップ】は可愛くない。
ゴブ2号『ギヒヒー、つあまえた!!』
近くに駆け寄って来たゴブ2号が俺に向かってさっき捕まえた【フラワーロップ】を突き出していた。
今はぐったりしているがその内元気を取り戻すだろう。
ゴブ2号は教えたとおり【フラワーロップ】の耳の部分を持っていた。
訂正、七十点だな。
ゴブ1号『ギヒヒヒ、今回は七十点だな、合格だ』
ゴブ2号『やっあーー!!こえかまあまにあげうの!!』
俺はチラリと横目で【フラワーロップ】を盗み見た。
【フラワーロップ】は短い足を懸命に伸ばしてぐったりしている【フラワーロップ】に鳴きかけていた。
こいつら番か?
ゴブ1号『……《ゴブ2号》お前のかみあまはこんな不細工なやつじゃ喜ばねぇよ、どうせだ【シャクシャイ】を捕まえに行くぜ』
ゴブ2号『うん!』
俺はそっとゴブ2号の手から【フラワーロップ】を取り上げると、元々持っていたやつと一緒に逃がした。
ゴブ2号『ギヒヒ、ギヒヒのむかしのはあしして』
【シャクシャイ】を探してる時にゴブ2号が呟くように言った。
ゴブ1号『ギヒヒ、昔だと?』
俺はゴブ2号に聞かせられる話はあっただろうか?と頭の中を探す。
ゴブ1号『ギヒヒ、俺の最初の狩りの話をしてやろう』