表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/32

とある雨の日のビデオレター



 こんばんは、人類の敵です。


 今日も天気は雨、です。こっちでも天気予報は優秀です。明日も雨。明後日も雨。その次も雨。雨のバーゲンセールね。仕入れ値はいくらかしら。薄利多売はどこの世でもおんなじか──


 ──ごめん。ふざけすぎた。実はあんま、時間ない。

 姉さんには──悪いと思ってる。なにを言っても言い訳にしかならないけど、所詮、自分のためだけど、ごめんなさい。今はこう言うしかないです。

 そっちの天気はどう? こっちでは今も聞こえてる。痛そうな、すごく──痛そうな声。いつも鶏の声よりも早く、救急車のサイレンの音で目が覚めます。昨日もまたひとり、知らないひとに──ここ、TVならピーって入れられるんだろうけど、まあいいや。

 人の噂は七十五日っていうし、世の中もっと大事な事件があふれてるんだから、いずれ忘れてくれるだろう、気づいたら元に戻ってるだろう、って、思わなかったといえば嘘になります。だけど、いつまでたっても雨はやみません。

 私も、やめられません。

 今朝、すれ違うひとがこぼしてた。こんな毎日もう嫌だ。

 そこで、おばさんが不安そうに話してます。一刻も早くなんとかしてほしい。

 それは私も同じだけど、くやしいけど、私は未だ他にいい方法を見つけられない。

 他人の声がこわいです。TVからは連日私の名前が連呼され、どこに行っても知らない街なんてない。私は、私以外になりえない。

 もういいか、と思います。

 所詮、行き着くところまできたのだから。これ以上下がることなどないのだから。もう、全部うっちゃったっていいんじゃないか、って思います。なにより自分が選んだ路なのだから。


 そう、私は、人類の敵なのだから。


 ──ごめん。いよいよ時間がないみたい。

 雨はまだ降ってます。天気予報はほんと、優秀です。

 そっちの天気は、どうですか?





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ