9 戦略会議の火花! 356の謎とチャイロの決死の立候補
無事、挨拶も終わり、ニャンダバーの一員となったチャイロも、悪の秘密活動報告と作戦会議に参加できることになった。
「ニャンダバーが、どのような活動をしているか勉強させていただきますニャン」
「もっと、気楽にするにゃ」
「そうだぞ、初日から飛ばすと、後がしんどいなもし」
「今日は、見学だにゃあ」
「俺が、一緒に付いててやるダニ」
チャイロは、コクリと頷きダイフクに付き従う。参加するお猫様もみんな続々と集まり、会議が始まった。
「では、356回目の報告会を始めるにゃあ 司会進行は、俺シロジが担当するにゃあ」
「356回もやったかなもし?」
「356回って言っただけにゃあ 雰囲気じゃんにゃあ ムーン、空気よんでにゃあ」
最初の報告は、パトロールについてだ。お猫様は、昼夜縄張りを守るため、人間たちの動向を知り尽くす必要がある。
「チューリップ公園のお砂場に、みんなでうんちをしたにぃ」
「お魚屋さんのサンマを、咥えて逃げてやったぞ」
「2丁目のブルちゃんに塀の上から爆笑してやったにょ」
「1丁目のおばあちゃんが、供給物資をくれるようになったズラ 下僕になるまで後一押しズラ」
お猫様たちが、活動報告を発表して言った。
チャイロは、感心しながらお猫様たちの悪の秘密結社としての活躍っぷりを、黙って聞いていた。
「ダイフクさん、みんな凄い悪ですニャン」
「悪ダニ 人間たちを下僕にするため、戦っているダニ あ! 次の発表はクロッチダニ」
「アニキ~ 頑張ってニャン」
クロッチは、チャイロの方を向いてニッコリと笑った。チャイロは、嬉しくて短い尻尾をピンと立てた。ニャンダバーのエースとして、お猫様たちが、クロッチを見ている。誇らしい、自慢のアニキだ。
「俺とダイフクは、3丁目の喫茶店を担当していたニャン リーダーの助けもあり、無事下僕化が完了したニャン 今後は、定期的に物資の供給が、受けられるようになったニャン」
「さすがクロッチ! 堕とす迄が素早いにゃあ」
「俺だけでじゃまだでしたニャン ダイフクとリーダーがいたから、成し遂げられた結果ですニャン 俺だけでは、失敗していたかもしれないニャン」
決して自分だけの手柄でないことを、クロッチは言いたかった。
「クロッチは、凄いダニ リーダーはともかく、俺なんか足を引っ張っただけダニ」
「ダイフクさん、アニキはそんなおべんちゃらを、言う男ではないニャン 本気でダイフクさんがいたからと思ってるニャンよ」
「チャイロ~! お前、凄く優しい男ダニ」
照れっ照れなダイフクが、チャイロをパシパシと前脚で叩いた。そして、頭のごっちんこを交わす。
「じゃあ、次はスパイ活動に付いてにゃあ 現在、我がチームで人間家庭に潜伏中のお猫様は、356匹にゃあ」
「356匹もいるんだニャン?」
「356匹、凄いにダニ」
「シロジ? 356匹って数えたのかなもし?」
「356匹って言っただけにゃあ ムーンさん空気読んで、そこは流すところにゃあ」
シロジの意味の無いボケには、誰も気付かない。シロジだけが、面白いと思っているだけだった。
「シロジのセンスは、俺にもわからんにゃあ とりあえず、報告するにゃ」
「若いお猫様も育ち、人間の下僕化がどんどん進んでいるなもし そこで、クロッチが堕とした3丁目の喫茶店も、スパイ活動に適した環境だと思うなもし」
「喫茶店がかニャン?」
「ムーン。なぜそう思うにゃ 根拠はあるのかにゃ?」
「一つ、男店員の使い熟す技のレパートリーが豊富であること 二つ、女店員と親子であるということ 三つ、喫茶店ということで供給物資を提供できる環境が整っていること! 以上三つが潜伏するに相応しい環境であると、俺の勘がビンビン感じるなもし」
「続けろにゃ!」
「リーダーの腹見せで我々の下僕となりましたが、男店員の使い熟す技はオレが潜入しているところの人間も使い熟しますなもし」
「それでどうにゃる?」
リーダーは、自分の顔を前脚でながら質問をする。他のお猫様もお耳を前にピンと出して、ゴクリと息を呑む。
「そのような下僕を供給物資確保の為にだけ利用するにはは勿体ないなもし! スパイ活動の拠点でも良いくらいだなもし」
リーダーは前脚の爪を噛み引っ張って磨ぎすます。きらりとリーダーの爪がひかる。
「みんなはどう思うにゃ?」
リーダーは、提案された案件にしっかりと根拠があれば必ずその他の意見も聞く。
「女店員も男店員と親子なので、きっと役立つべ」
「だけど、スパイができそうにゃお猫様いないだによ?」
「スパイは体を張る必要があるずら」
「恐ろしい玉ナシの儀式があるじょ」
玉ナシの儀式とは、去勢手術のことだ。メスのお猫様の場合、腹ハゲの儀式(避妊手術)と呼ばれる。
「玉ナシの儀式が必要にゃい場合もあるなもし」
「それはの、極稀なケースなの!」
意見が真っ二つに分かれた。お猫様たちは、玉ナシの儀式を受けることは、生殺与奪を人間に管理されるに等しい。
「ムーン! オレは希望者がいれば、やっても良いと思うにゃ」
男店員が最後に繰り出した秘技グルグルの術は見事な腕前だった。あの技は、今後のニャンダバーの強化訓練にも取り入れることができるなら。今後の飛躍にも繋がる。
後一歩、あの時、必殺技、腹見せが遅れていたらリーダーは敗北していた可能性もあったのだ。
「オレッチ、スパイになっても良いニャンよ?」
ダイフクの側で大人しく、成り行きを見守っていたチャイロが、立候補を名乗り出た。




