7 月夜の諜報員! 異母兄弟チャイロと青虫の才能
「モフッてモフモフ ニャンダバー」
「合言葉確認! どうぞダニ」
「モフッてモフモフ ニャンダバー」
「どうぞダニ」
秘密結社 チームニャンダバーに合言葉が木霊する。今日は、悪の秘密活動報告と作戦会議が開かれる。
入り口では、ダイフクが受付係としてお猫様たちを迎え入れるため、頑張っていた。
「ムーンさん、いらっしゃったダニ」
「おぉ!ダイフクかなもし 大きくなったなもし」
「ムーンさん、俺も大人になったダニよ」
シャム猫のムーンは、現在2丁目の人間の家でスパイ活動をしている。人間たちはスパイ活動をしているお猫様のことを、【ペット】と言っている。
人間たちは、お猫様たちのスパイ活動により、更なる下僕化が行われつつあることに気づいていない。
悪の秘密結社、ニャンダバーがお猫様たちに一目置かれる理由の一つである。ムーンはその諜報員として素晴らしい活躍を見せるエリートお猫様だ。
いつもお猫様にカッコいい背中を見せ続け、ニャンダバーの中でもムーンに憧れるお猫様は、多い。
【ムーン】という名前は、人間に付けられた恐怖の通り名だ。
お月様が綺麗な夜に人間の家に忍び込んだ結果、夜の恐怖を思い出すように、ムーンという通り名が付けられたのだった。
「クロッチは奥の部屋かなもし?」
「奥の部屋で、リーダーといっしょにいるダニ」
「よし、 クロッチのところに行くぞなもし」
「クロッチいるニャン?」
「およ? そちらさんが、例のお猫様?」
「そうなもし!」
ムーンと一緒について来たお猫様は、ペコリと頭を下げて、一緒に奥の部屋について行った。
「リーダー、俺に合わせたいお猫様って、誰ですニャン?」
「知らないにゃ。今日、ムーンが連れて来るらしいから、もうちょっと待つにゃ」
「お見合いとかだったら、御断りしますニャン」
「それは、わからないにゃ」
若手のエースとして君臨しているクロッチは、お見合いだの紹介だの、メスのお猫様を連れて来られることが多々あった。
お嫁さんは自分で見つけたいと思っているクロッチは、今日、ムーンがどうしても会わせたいお猫様がいると聞いて、内心うんざりとしていた。
「待たせたなもし」
「ちょうどムーンの話を、していたとこにゃ」
クロッチも挨拶をする為に、ムーンの方に振り向いた。
「ムーンさん、お久しぶり............ニャン?」
クロッチは、大きく目を開いたまま動きが止まった。それと同時にムーンの側にいた、小さな赤茶色のお猫様が、クロッチに駆け寄ってきた。
「クロッチのアニキ! 会いたかったですニャン!!」
ドーンと勢いよくクロッチに飛び込んできた。すりすりすりとクロッチがのけぞりそうになるほど、赤茶色のお猫様は身体を擦り付ける。
「チャイロ? チャイロなのかニャン?」
「アニキ~、アニキ~」
2匹はお互いが縺れ合うように、存在を確かめ合った。
「ムーン、あの小さなお猫様は、誰にゃ?」
「クロッチの異母兄弟で、チャイロと言うなもし」
「兄弟?」
「先週くらい、俺が潜伏している人間の家の庭に、迷い込んで来たなもし 母親から独立したらしく、聞けばクロッチを探して旅をしていたらしいなもし まだまだ小さいのに、うちの下僕に青虫作戦を決行したり 見どころあるお猫様なもし」
ムーンは、短い尻尾を思いっきり真っ直ぐにピンと立て、再会できたことを喜び、クロッチに身体中を擦り付けるチャイロを、優しい目で見ていた。




