25 逆プロポーズはミントの香り。お庭で見つけたチャイロの幸福論
「ちょっと、チャイロさん聞いてくださいな。アタシ、とんでもない辱しめを受けましたの」
翌日、小さなお猫様は、すっかり元気ではあったが、大事をとって病院に連れて行かれた。
「あんなことされたら、アタシもうお嫁さんになれないですの」
「安心しろって、オレッチもお尻にプスリとやられたニャン。オレッチもお婿さんになれないって思ったニャン」
「んまあ、それなら、アタシがチャイロさんをお婿さんに貰ってあげるの」
チャイロは、逆プロポーズに思わず赤面してしまい、思考が完全停止した。
「おむ、おむ、.........お、お婿しゃん?」
「ハイ、アタシのお婿さんですの」
小さなお猫様は、チャイロに体をぴったり擦り寄せた。
「チャイロさんは、アタシがお嫁さんでは迷惑ですの?」
「んな!お婿さんにしてニャン!お婿さんになるニャン!オレッチにお嫁さんでお願いしますニャン!」
『【モカ】【ミント】ご飯だよ~』
「あら、呼んでいるわ!チャイロさん、ご飯のようですの、いきましょ!」
「ハイ、ミントちゃん」
小さなお猫様は、あれから【ミント】と名付けられた。
今までは、知り合いのお猫様も居なかったため、名前というものがなかった。よって、【ミント】という通り名が、彼女の名前となった。
ミントは、あまりお猫様の常識をわかっていなかったため、チャイロが一つ一つ丁寧に教えた。
「ここは、3丁目の喫茶店で、男店員と女店員が、オレッチたちがいる2階で生活しているニャン」
「男店員と女店員は、優しい人間ですの。アタシ、お二人が大好きですの」
「オレッチも、男店員と女店員は、嫌いじゃないニャン。しかし、オレッチには、重大な任務があるニャン」
「重大な任務?それってなんですの?」
「今は、言えないけど、そのうち教えるニャン。ただ、言えることは、おうちの中のお猫様も、お外で生活するお猫様も、幸せに暮らせるお猫様生活を目指しいるニャン」
「チャイロさん、素敵ですの」
ミントが、そっとチャイロに寄り添った。チャイロは、ミントの鼻先に自分の鼻先をくっつけた。
「ミントちゃん、オレッチのお子様を産んでもらえますかニャン?」
「もちろんですの!」
ミントもお返しに、チャイロのほっぺたをペロリと舐め上げた。
「ミ、ミントちゃん!大胆ですニャン!オレッチ以外のお猫様に、お顔舐めたりしたらダメだからね!」
「わかってますの!チャイロさん大好き!」
「オレッチもミントちゃん大好きニャン」
2匹はお互いの体をぴったり寄り添って、尻尾を絡ませあった。
「オレッチ、玉無しの儀式受けなくて良いニャン。アニキ、オレッチお父さんになれるニャン」
まだ見ぬ自分の子供達に思いを馳せる。準備は、全て整った。あとは、ニャンダバーへ報告するためにお外へ出る方法を探すだけだった。
「ミントちゃん、近々、オレッチお外にお出かけするニャン」
「お外に?」
「うん、お外にも仲間がいるニャン。いつか、ミントちゃんにも紹介するニャン」
「チャイロさん以外のお猫様なの?」
「そう、オレッチのアニキや先輩お猫様...........はっ!ミントちゃん、浮気はダメニャン!」
ミントはクスクス笑う。
「チャイロさん!まだ紹介してもらってないのに、浮気の心配?面白いのね」
ムムムと唸るチャイロ。すでに独占欲丸出しのチャイロを、ミントは笑った。
「チャイロさんこそ、浮気は許しませんよ?」
「オレッチ?オレッチはミントちゃんだけにメロメロだニャン!浮気、絶対しませんっていうか、男のお猫様しか知り合いいないニャン」
さて、ミントにも報告した、後はどうすればお外に出られるかと悩んでいたが、この悩みもアッサリ解決出来た。
『【モカ】【ミント】どうだろう?気に入ってくれたかな』
「チャイロさん、お外ですの」
「うん、お外ニャン」
男店員は、お店の裏口にあたるお庭を大改造。お猫様がゆったりと過ごせるスペースに作り変えていた。
「チャイロさん、サラダバーがここにあります!」
お猫草が生え揃う大きなプランター。
「ここは、新鮮なお水がいっぱい飲めますの」
お猫様が落ちても溺れない深さの小さな池。鹿威しもついて、お水が循環する。
お猫様用の水飲み場だ。
登りやすそうな木も植えられ、枝からはブランコがぶら下がっている。ベンチや餌場も作られていた。お庭の外からも、お猫様なら入ってこれそうな窓も作られている。
『【モカ】、これでお友達がたくさん来てくれると良いね。もちろん、呼んできても問題ないよ。だけど、お外は気をつけて行くんだよ』
男店員の足に思いっきり体を擦り付け、親愛の表現を表した。
「オレッチ、ニャンダバーは悪の秘密結社だけど、男店員と女店員のこと、大好きニャン」
「チャイロさん、お友達連れて来てなの」
「ありがとうニャン!オレッチ、行ってくるニャン」
無事、潜入を果たしたスパイお猫様。チャイロは、新たな決意を胸に秘め、約1カ月ぶりとなるニャンダバーを目指し、歩き出した。




