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モフッてモフモフ 俺たち チームニャンダバー!悪の秘密結社だニャン  作者: 枝豆子
3章 オレッチ ただいまスパイ活動してるニャン

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16 奪われた証拠品(うんち)

 本日より3丁目の喫茶店に潜入しスパイ活動を始めたチャイロは、ソファーの後ろで熟睡してしまっていた。


 日も暮れ、喫茶店も閉店し男店員と女店員は揃って居住スペースに戻ってきた。パタパタと大きく鳴り響く足音に、チャイロの体が大きく跳ねる。


 ソファーの後ろでちょっぴり休憩するつもりで、お昼寝していたチャイロは、大きな物音で目を覚ました。潜入捜査、初日にして、明らかな失敗だ。


「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ! ちょっとだけのつもりが、めちゃ寝ちゃったニャン!」


 人間が戻って来るまでにいろいろ探索したかったのに、失敗したと猛反省のチャイロ。


 ソファーの後ろで悶絶中。チャイロを信じて潜入捜査に抜擢してくれたリーダーに申し訳なかった。


 チャイロは、落ち着くために深緑色のふかふか絨毯で爪を研いだ。


パリパリ、パリパリ、パリパリ


『おとうさーん!猫ちゃん見つけた』


 ソファーをズリっと動かされ、秘密基地に隠れていたチャイロの姿が現れた。


 伸びてきた手に胴体をムズッと掴まれる。


「にゃー、見つかってしまったニャン いきなり何するニャン! オレッチ武器の手入れをしているニャン」


 手足をバタバタさせ、女店員の魔の手から逃げ出そうと、猛抗議をするチャイロ。


『猫ちゃん!君の名前は【モカ】だよ」


 女店員が、おでこをゴチンとチャイロのくっつけた。


「にゃにゃにゃ! お猫様じゃないのにおでこゴチンを知ってるニャン? 油断できないニャン!」


 人間に抱き抱えられているのも落ち着かなくてチャイロは、手や足や体を伸ばしてみたり、捩ってみたり、逃げ出そうとしてみるも拘束が解けない。


 腹の横からガッチリと掴まれプランプランされている。


「うにゃあああああああ! 離すニャン! オレッチ床に降りたいニャン!」


 女店員の顔にしっかりと肉球を当て、前脚をぐんっと伸ばした。


 チャイロが抵抗していると今度は男店員がチャイロのお尻と背中を支え胸に抱き寄せた。


『うん、元気いっぱいの男の子だ。【モカ】しっかりと家の中探検してきな』


男定員の魔の手が、チャイロに迫る。チャイロの顔の下を指先でグリグリグリと触られ、床にそっと降ろされた。不覚にも、喉がゴロゴロと音鳴らす。


 リーダーから、男店員の技は脅威だと聞かされていた。


 男店員の魔の手が、チャイロから離れた。このチャンスは、逃せない。


「今だニャン!! 勝ったニャン」


 チャイロは後脚に力を入れて、急いで二人の側から離れ距離を取る。


 距離が取れた事でチャイロは、少し冷静になった。


「にゃにゃにゃにゃ? オレッチからオレッチの匂いじゃないのがいっぱいついたニャン!」


 取り敢えずお腹を匂ってみる。


「にゃああ! これは女店員の匂いニャン」


 思いっきり舌を伸ばし、匂いを消す為にザリザリッと舐める。


「うにゃ! オレッチの匂いになったニャン」


 背中には男店員の匂いもする。首を後ろに頑張って向ける。


「オレッチのベロ届けにゃーん! 頑張れオレッチ、頑張れオレッチ!」


 チャイロは、自身の舌を使って毛繕いを頑張った。


「何てことニャン! 部屋の中にオレッチの匂いをいっぱいつけたいのに、下僕にいっぱい下僕の匂いをつけられたニャン」






『お父さん、【モカ】毛繕い始めたよ。この家に慣れて落ち着いてきたのかなぁ?』


『もっと【モカ】が落ち着くまでそっとしておこうね』



「にゃにゃにゃ? 【モカ】ってオレッチの通り名ニャン?」


 早くも下僕として、チャイロの通り名を決めた男店員と女店員。少しは、チャイロに対して、恐怖の対象だと思ったのかもしれない。




 ひとしきり毛繕いをしようやく落ち着きを取り戻したチャイロ。ふと顔を上げ周りを見渡す。


「にゃにゃにゃ? 何? 何でこっちをみてるのニャン」


 二人がチャイロの事をじっと観察している事に気がついてしまった。


「にゃにゃ! まさか、オレッチがスパイである事バレたニャン?」


 遠巻きに部屋の中をウロウロするものバッチリ見られてしまっている。右に動けば右に、左に動けば左に人間たちの顔が動く。


「うにゃ.....潜入はカンペきだったニャン 自信を持つニャン」


 見られて困ることはしていない。ここはお猫様らしく堂々とするべきだと思い、部屋の中をもっと捜査することにした。


 部屋の一番奥に四角い箱を発見。そっとチャイロは覗いてみる。周りを見るとこの場所は、棚などの家具の物陰にあり安全地帯のような感じであった。


 箱の中に小さなつぶつぶが引き詰められている。前脚で触ってみる。掘ってみる、そして匂ってみる。


「この箱は、お便所だニャン」


 箱の縁に後ろ足をかけ、周りに敵がいないか警戒しつつ、グググッと腹に力を入れる。


「うううーーーーん!.......でたニャン」


 チャイロは自分が出したものの匂いを嗅ぐ。


「オレッチの匂いニャン!」


 部屋の中にチャイロのウンチの匂いが充満していく。嬉しくなったチャイロは匂いの元を隠そうと砂をかける。かけてみる? 壁や周りをを前脚で掘ってみるも砂がかからない!



『あー、【モカ】うんちでたね!』


 慌ててお便所を飛び出した。後脚の指の間にお便所の砂が挟まった。


 勢いよく後脚を振って砂をばら撒く。


「びっくりしたにニャン もう、びっくりしたニャン もう」


 うんちに砂をかけることに必死になりすぎて背後を取られたことにチャイロは気づかなかった。スパイとして致命的な失敗だと反省だ。


 チャイロがお便所から離れたのを確認した女店員はお便所を持ち上げた。


「にゃにゃにゃにゃにゃ!! オレッチのうんちどこ持っていくニャン!」



 戻ってきたお便所にはチャイロのうんちは跡形も無かった。


 ただ、チャイロの匂いは少しだけ残っていたので良かったと思うチャイロだった。


 悪の秘密結社 チームニャンダバー チャイロのの潜入捜査は、まだ始まったばかり。



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