11 月下の猛特訓! 必殺・腹見せと泣き虫の親友
「リーダー、潜入する前に一つお願いがありますニャン」
「お願いってなんだにゃ?」
チャイロは、リーダーの側に立って耳元でヒソヒソ話した。
リーダーは、目をまん丸にしてチャイロのお願いを聞いた。瞳をまん丸に開いて、チャイロのお願いにお耳をピンと立てる。
「そんなお願いで良いのかにゃ? 欲がないにゃ チャイロ」
「凄いお願いだとオレッチは思うんですけどニャン.......」
「悪い悪いにゃ! いじけるにゃ。そのお願い叶えてやるにゃ」
「恥ずかしいから、みんなに内緒でお願いしますニャン」
「わかったにゃ」
「リーダー! ありがとうございますニャン」
チャイロは、何度も何度も頭を下げてお礼を言った。
チャイロのお願いが何なのか、お猫様たちはリーダーやチャイロに聞くが、頑として2匹が教えてくれることはなかった。二匹だけが知るチャイロのお願いだった。
チャイロの潜入予定日まで、後一週間をきっていた。
その夜、クロッチは、なかなか寝付けないでいた。
「お水でも飲んでこようかニャン」
ニャンダバーの拠点は、すでに人間が住んでおらず廃墟となった空き家である。キッチンに蛇口は、壊れているのか水がポタリ、ポタリと垂れてくる。ダイフクがどこからか拾ってきたお椀を置いてあるため、有り難いことに、いつでも新鮮なお水が飲めるようになっている。
「今日は、お月様が綺麗だニャン」
クロッチは、お月様を見るためにお庭に出た。チャイロと再会してあっという間の1か月だった。そのチャイロもまもなく潜入任務に出発する。
「クロッチも眠れないダニ?」
「ダイフクもかニャン?」
「チャイロも、ここ最近眠れないのか、散歩してくると言って、お外によく行くダニよ」
「最近ニャン?」
「そうダニ この前、お外に行こうとしていた時に聞いただダニよ」
クロッチとダイフクは、チャイロも緊張して眠れない日が続いているんだろうと、この時は思っていた。
「クロッチ?向こうから何か聞こえてくるダニ」
「何か声が聞こえるニャン?」
「うーん、リーダーの声っぽいダニ? ちょっと行ってみるダニ」
クロッチは、誘われるままダイフクについて行った。
「もっと、腰に捻りを入れるにゃ」
「はい!」
「頭はてっぺんが地べたに着くようにコロンとするにゃ」
「リーダー!これでどうですかニャン!」
「そう、その調子だにゃ 人間がメロメロになる瞬間は、腰が砕けて座り込むにゃ その時に頭をぐりっと地面につけるんだにゃ チャイロ、もう一回だにゃ」
「腹見せニャン!!!!!」
物陰からこっそりとクロッチとダイフクが見ていると、背後からポンポンと肩を叩かれた。ビックリして声を上げそうになったが、尻尾がまん丸に膨らんだだけで、何とか声を出さずに耐えた。
「もう! シロジさん ビビったダニよ」
「しー、静かにするにゃあ」
「チャイロとリーダーは、腹見せの特訓をしてるニャンか?」
「気づいてないふりを、してやるにゃあ」
「どうしてダニ?俺も教えて欲しいダニ」
「ダイフクは、意外とニブチンにゃあ。まだわからないにゃあ」
「..........チャイロのお願い....」
「あ!」
「ようやくわかったかにゃあ。そっとしておいてやるにゃあ」
小さな額に汗を滲ませ、チャイロは、リーダーの必殺技[腹見せ]を習得するべく特訓をしていた。
「クロッチ、本番はオレもついて行くダニ」
「現場の見送りに、2匹はいらないニャン」
「俺がいないと、クロッチ泣いちゃうダニよ?」
「んな!......泣かないけど、ダイフクも来ても良いニャン」
「素直じゃないダニ」
3匹は、静かにニャンダバーの拠点に戻っていった。




