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悪役令嬢に転生したのですが、フラグが見えるのでとりま折らせていただきます  作者: 水瀬留奈


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2. 義弟とスキル

そして翌朝。


 結論から言うと、この10歳の体はとても弱っちかった。ベッドから降りようとして、ぺちっと転んだくらいには。筋力が無さすぎて、ベッドに登るのも一苦労だった。……体力作りも課題ね。断罪前の逃走には備えておかなくては。


 転んだことで戦意を喪失して、昨晩は動き回るのは断念。ごはんだけ食べて早く寝たのだ。


 ちなみに怪我で倒れていたせいでそこまで美味しくもない病院食みたいなおかゆもどきが出てきた。泣きたい。それも味付けは一切なかった。もはや嫌がらせだ。


 とてもとても梅干しが恋しくなった。死亡エンドさえ回避できたら絶対にふりかけとお茶漬けを作ってやると決心した。濃い味が恋しい。


 なるほど、転生者がご飯ばっかり改革していくのも分かったわ、他の何より耐えられないからだ。


 それはともかく、私にはやるべきことがまだまだ山積みだ。


「とりあえず探索だよねこういうのは」


やるべきことは3つ。


 1つはもちろんヒロインの特定。近寄らない、会ったときは友好的に、そして絶対にいじめない。


悪役令嬢転生の三ヶ条だと個人的には思っている。これで処刑されたらどんな原作補正だよって話でしょ。……ありそうなのが怖い。


 そしてもう1つは攻略対象の方の特定。これも大事。関わるが最後、罪をなすりつけられるのだ。虐めていないのに悪口を言ったことにされ、注意したら暴言を浴びせたことになり、お茶会に誘わなかったら仲間外れだと糾弾される。知ってる、定番だよね。



 そして3つ目。今の最優先はこれだ。


 フラグ破壊レベル∞とかいう意味不スキルの内容特定。


 そしてこれはこの部屋の中でじっとしていても始まらない。実際、昨日色々寝る前に試してみたけれど(手を振ってみたり、スキル名を唱えてみたり)何も起こらなかった。


 だからこそ探索なのだ。


「よぉし」


意を決して、ドアノブに手をかけて外に出た。


 頭に包帯をつけているので外で掃除をしていたメイドには目を丸くさせて驚かれたが、何も気づいていない無邪気な遊び盛りの幼女のふりをしてぱたぱたと走って逃げた。


 確信犯である。うん、申し訳ないけど背に腹は代えられないんだ。


 全ては自分の生き残りのため。……言ってて悲しくなってきた。


「……ぜんっぜん何も見つからないんだけど」


ステータスボードに関しては昨日寝る前に軽く試したところ、出てこい、消えろ、とか頭の中で意識して唱えると出したり消したりできた。


 ということは、このフラグスキル、ステータスボードと同じでなにか発動条件があるのかも?


 ……ん? そうだったらだいぶ無理ゲーじゃない?


 いやもともとクソゲーかつ無理ゲーだったけども。使えないスキルとか意味なさすぎるじゃん。


「おねーさま?」


と、毒づいていたところで後ろから鈴を転がしたような舌っ足らずの可愛らしい声が。弟だ。


「あぁ、カイル。少しお散歩に行っていたの。怪我したからそのリハビリってところよ」


ふわっふわの栗色の髪がくるくるぴょんぴょん跳ねている。とっても可愛い。


 私を見つめるお目目は、私よりも深い青で宝石みたいにキラキラしている。


 ……え、私の弟マジ可愛い。2歳違うだけでこうも変わるかってくらい可愛い。


 ショタが前の世界で人気だった理由が分かった気がする。これはかわいい。世界を救えるくらいにはかわいい。


 前世を思い出す前は、この子が両親にあまりに可愛がられていてすごく嫉妬していて毛嫌いしていたみたいだけど全然そんなこと欠片も思うことなくとにかく可愛い。貢ぎたいくらい。


 そりゃ両親も可愛がるわ、かわいいもん。ちょっと転生してきて良かったかもって思えたくらいに嬉しい。……ん? それにしてもなんで毛嫌いするところまでいったんだろ。


 と、考えたところで一つの考えに至る。



「あー、やっぱり……」

「どうしたの、おねーさま?」

「なんでもないのよ、少し思い出したことがあっただけ」


ステータスボードを確認したら案の定、分かったことがある。……やっぱり私たち、血が繋がっていなかった。うん納得。


 義理の弟だってことを知らされてなかったけど、ある日それを知った私による家庭内いじめに繋がって断罪ルートってところか。ありがちだね。


「おねーさまと一緒にお散歩行ってもいい?」

「もちろんいいわよ」


そう言ったところで、ピコン、と電子音が頭の中で鳴った。


 ……え、異世界で電子音?


 ふと周りを見回すと、弟の頭の上に黄色いフラグが。ちっちゃい三角のカラーガードみたいなやつ。


 ……ん? フラグ!?


 聞き覚えの激しいそのワードに、つい声が出てしまいそうになったのを手で抑える。


 ……もしかしてこれなのだろうか? フラグ破壊レベル∞って……


 じいっと見つめていると、フラグがぽわぽわ上下に揺れ動き、ピコン、と再び軽快な音を立てた。


 そして今度はステータスボードにそっくりの、文字の書かれた薄い板がフラグの上に現れる。


 ――え、階段から転げ落ちて全治1ヶ月の大怪我? この可愛い可愛い弟に? 大怪我?


 そんなの、絶対許せない。


「ちょ、カイル、動かないでね」

「ん、わかった。でもなんで?」

「なんでも。ごめんね、ちょっと待ってね」


でもこのフラグってどうやったら取り除けるの? 私が抱き上げて階段を降りるとか? フラグ破壊っていうくらいだからなにかできるとは思うんだけど。


 うーん、と腕組みで考え込むけど結論は出ず。とりあえず、フラグに触れた。そう、つんと。人差し指で軽く触れた。


「うわぉ」


すると漫画さながらのエフェクトとともに、フラグが散り散りに砕け散った。砕けたというより爆散と言ったほうが正しいかもしれない。


 ……え、破壊って物理? 物理的に壊すってことだったの?


 転生者が貰うスキルの割に常識外れで意味がわからない、役立つかもわからないスキルだな、と目が点に。


 ……それも物理破壊って、もはやゴリラだ。純粋な身体強化とかの実質的ゴリラのほうがマシだったかもしれないと思うくらい使い道が謎すぎる。フラグ級の危機って、そう訪れるものでもないだろうし……


 そんなやさぐれた気持ちで心のなかで毒を吐きつつ、弟の手を取って玄関へと一緒に歩いていく。


「なんだったの、おねーさま?」


「……んーと、あーっとね、そう! 虫! 虫が頭についてたのよ!」


「なぁんだ、虫ぐらいなら自分でとったのに。でもありがと、おねーさま」


……まぁ、可愛い弟の笑顔が見れたならよしとしますか。

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