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【完結】追放された元聖女は、冒険者として自由に生活します!  作者: 夏灯みかん
【1章】元聖女は冒険者になりました。

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第5話

 よく見たらその狼はズボンを履いていて、手も人間っぽい形してる。


「あれ、狼って指5本あったっけ……」


 そう呟くと、狼は「がうっ」と吠えた。


「ねえよ! 俺は狼男だっ」


 そう怒鳴りながら、また私の襟首を(くわ)えて、狼男は高く飛んだ。

 今までいたところに竜の吐いた炎が直撃して、地面が黒く焦げる。


「ったく、邪魔すんなよ」


 街道横の原っぱに着地した彼は、私を置いて赤い竜の方へ向かって走り出した。

 竜は彼に照準を合わせて口を開ける。

 狼男が……焼けちゃう……。


 私は慌てて手を前で組むと祈りの言葉を早口で呟いた。

 私の祈りは、守りの壁を作ることができる。


「女神様その慈悲の恵みを我に与えてください我」


 その時、狼男が叫んだ。


「ステファン、今だっ」


 燃えてる荷馬車のところに人の影が現れた。その人は煙を上げる荷台を蹴って、炎を吐こうと長い首をもたげる竜の上に高く飛んだ。


 きらりと太陽に、その人が振り上げた剣の刃先が光る。

 炎が吐き出され、狼は目に留まらない速さで消えた。


 このまま行くと、竜の首が真っ二つ……?


 私は叫んだ。


「は望みますええと――その赤き竜をお守りください!」


 カキンっ


 空中から振り下ろされた刃が空中で何かに弾かれた。

 同時に人影も弾かれて下に落ちる……かと思ったけど、空中で一回転してすとんっと地面に着地した。私は思わず拍手をしそうになる。


「ステファン、大丈夫かっ!?」


 狼男がすごい速さでそのくるんと着地した剣を持った人――ステファンさんに駆け寄った。


「ああ、問題ない、それより今の――剣が弾かれたの、防御魔法?」


 剣を構えなおしながら、その人が私を見た。

 短い金髪に青い瞳の、少し年上っぽい男の人だ。


「お前か?」


 狼男がぎろりと緑の瞳で私を睨んだ。

 凄まれて、体が固まった。

 さっき竜の首を切ろうとした剣が弾かれたのって、私が「竜を守ってください」って祈ったから、ですよね……。

 こういう場面で祈ったことなんて初めてだから、そんなことができるなんて知らなかったけど……、


「ごごめんなさい、でも、その竜、私、悪くない、気した、だから」


 思わず片言になる。

 牙をむいていて、顔が怖い……。さっきふさふさで可愛いと一瞬思ったの間違いだった……。


「悪くない? 荷馬車燃やした竜が悪くないって!?」


 狼男はさらにすごんだ。

 ステファンさんがその肩を押さえる。


「熱くならないでくれよ、ライガ、今はそれどころじゃない」


 竜がまた炎を吐こうとしている。


 私は両手を組み直して、また祈りの言葉を唱えた。


 魔物――を前にするのは初めてだけど、毎日祈ってるのは国の周りの魔物を鎮めるためって言われてたし、効果があるはず。


「我は望みますその竜の心が静まりますことを……」


 ぱあっと明るい光が一瞬竜を包みこんだ。するとその巨体は力を失ってずしんっと地面に倒れた。 

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