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【完結】追放された元聖女は、冒険者として自由に生活します!  作者: 夏灯みかん
【8章】元聖女はエルフの森に着きました。

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第202話

 私の声に反応するように、族長さんと一体化しているというその大きな木はますます荒ぶるように揺れて、刃みたいな葉っぱを振りまいた。エドラさんとフィオナさんが杖をふるってそれを跳ね返す。


 金髪のエルフさんが私の手を引っ張った。


「無理だ。こうなってしまわれると話ができない」


 そう言ってから、族長さんに向かって叫びます。


「アイグノール様、この余所者共は退がらせますので、落ち着きください!」


 そして、私に向かって強い口調で言った。


退()がりなさい」


 ……せっかく、ここまで来たのに……!

 私は首を振った。瞳の奥が熱くなって、火の精霊(サラマンダー)の足音が周囲に集まる。


「嫌です! せっかく来たんです! ここで帰るわけには……」


「レイラ」


 ステファンが私の肩に手を置いて、目線の高さを合わせて語り掛けるように言った。


「いったんここから離れよう」


「いったん……」


 私はその言葉を復唱する。


「そう、いったんね」


 ステファンはそう言うと、巻き起こった風で乱れた私の髪を手櫛で整えた。

 すっと心が落ち着く感じがして、胸に手を置いて息を吐いた。


「……わかりました」


 金髪のエルフさんが手招きする方へと私たちは退散した。


***


「いったん、と言っていたが。どういうつもりだ? アイグノール様のご意向は変わらないだろう」


 家がある里の方に戻ると、金髪のエルフさんは私たちを見回して言った。

 エドラさんが険しい顔をする。


「族長の許可がないと会わせられないのか」


「――この里のことはお前が一番よく分かっているだろう、エドラヒル。族長の意思は我々の総意だ。……この者たちには、里から出て行ってもらおう」


 もう、何で話も聞いてくれないんですか……!

 私は金髪エルフさんの手を掴んだ。


「お父さんが『エルフを裏切った』って言っていましたけど……それはどういうことですか?」


「手を、離しなさい」


 叱るように私が掴んだ手を払おうとしてくるけど、それをステファンが押さえた。


「――彼女は、それくらいは知る権利があるはずです」


「人間が――何故、この娘に肩入れする? エドラヒル、お前もだ」


「力になりたい、それだけですよ」


 ステファンの言葉にエドラさんも頷いてくれる。

 ……本当に有難いですね……。

 金髪のエルフさんはしばらく黙った後、大きく息を吐いて私たちに言った。


「仕方ない――マイグリンのやった事については話してやろう。しかし……里の中をうろつかれては迷惑だから……私の家に来てもらおうか」


 正直、また「帰れ」って言われると思ってました。

 この人は……、とりあえず話はしてくれるんですね。

 私は嬉しくなって、頭を下げた。


「ありがとうございます!」


「……私の名はリンドールだ。とりあえずついて来なさい」


 金髪のエルフさん……もといリンドールさんはそう言うと里の中心部に向かって歩き出した。


***


 リンドールさんの家は、他の家と比べても大きな木でした。

 

 ……これがエルフの家……。


 さっき通りすがりに見たけど、近くでじっくり見ると、本当に不思議。

 外じゃあり得ないくらい太い幹……人がたくさん手を繋いでようやくぐるっと一周できるくらいの幹に扉や窓がついています。


「全員は入れない。入れて四人程だ」


 そう言われて、私とステファンとライガとエドラさんだけ中に入ることにしました。


 扉をくぐると、丸い部屋があって、壁に沿うようにぐるりと階段が伸びています。上を見上げると、2階、3階があるみたいです。


「適当に座りなさい」と言われたので、私たちは壁際に置かれた丸太の椅子に腰かけた。


 リンドールさんは私の目を見つめて言った。


「マイグリン――お前の父親は、族長様——アイグノール様が組織した魔族討伐部隊の一員だった」


「――魔族討伐部隊……?」


 反復すると、リンドールさんは私たちを見回してから説明してくれた。


「――我々エルフと魔族は、人間には考えられないほど長く争ってきた。魔族と我々エルフ、その他種族で戦った(さき)の大戦で、大方の魔族は滅ぼしたが……、奴らの一部は逃げて、空間魔法で作ったどこかの場所に隠れてしまった」


「先の大戦というと……私の生まれる前の話だな」


 エドラさんが呟いた。

 エドラさんが生まれる前…………どれだけ昔の話なんでしょう。


「エドラヒル、お前の生まれる前、私がまだ子どもだった頃の話だ。そして、その逃げおおせた魔族の隠し里を捜し、討伐する――それが魔族討伐部隊に与えられた任務だった」


 リンドールさんはため息を吐くと、私を見つめた。


「部隊はアイグノール様のご子息が率いていた。隊員は皆、魔族に家族を奪われたエルフで構成されていた」


「……魔族に家族を奪われた? ……私のお父さん、もですか」


「マイグリンは魔族に親を喰われ、孤児だったのをアイグノール様が引き取ったと聞いている」


 ……ということは、お父さんのお父さんお母さんは魔族に食べられて……、でも私のお母さんは魔族なんですよね……。


 頭を抱えてしまう。


 複雑、じゃないですか。自分の親の(かたき)みたいな人と結婚――はしてないかもしれないですけど……夫婦になったってことですか?

 

 それよりも衝撃だったのは。

 今まで魔族、魔族って言われても、具体的に魔族の被害に遭った人の話って聞いたことがなかったんですけど……。実際に魔族ってエルフとか……他の種族の人を食べてたんですね……?



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