第14話
美味しいものを誰かと楽しく食べた翌日は何て爽やかなんでしょう。
私はいつも通り日が昇る前に目を覚ました。
「早起きだね」と焚火に枝をくべながらステファンが言う。
「ステファンこそ早起きですね」
私は彼が起きてると思っていなかったので、話しかけられて驚いた。
「僕は朝の見張り、夜はライガ担当だ」
ステファンは馬小屋で丸まって寝ている狼男に視線を送った。
「――そうなんですか、お疲れ様です」
自分だけぐうぐう寝ていたのが申し訳なくなり、私は頭を下げる。「いいよ、いいよ」とステファンは笑った。
それからライガとおじさんを起こして、私たちは朝ごはんを食べた。
朝ごはんは、卵焼きとパンだ。
鍋の上で焼けていく卵を見つめながら、私は昨日の大きな竜の卵を思い出した。
「竜の卵は、食べたら捕まりますか?」
ステファンとライガは顔を見合わせる。
「――希少だから、許可なくは駄目だよ」
「許可があれば食べられるんですね!」
「……そんなに食べたいのか?」
ライガが不審そうに言う。
「いえ、どれだけ大きい卵焼きができるのかなと思って……」
そう言うと、ステファンは笑ってライガは余計に不審そうな顔をした。
「それより」とステファンが話を切り替える。
「今日の午後にはマルコフ王国に着くけど、君はそこからどうするの?」
私はしばらく考えて、呟いた。
「もっと可愛い服着て、美味しいもの食べて暮らしたいんです、私……」
「いいね。そういうの、大事だよね」
ステファンはうんうん、と頷いた。
「アテはあるの? 住むところとか、お金とか……」
う、と私は言葉に詰まった。
「とりあえず街に着けば、何とかなると思ってたんですけど……」
「教会は? 君くらい聖魔法が使える人はなかなかいないから――、きっと大歓迎されると思うけど」
「教会はもう嫌です。修道服しか着れないんですよ」
私は首をひねった。
「ステファンたちみたいな――冒険者ってどうですかね? 昨日みたいに魔物を鎮めたりできたら、役に立てませんか?」
「確かに、聖職者はあんまりいないから重宝されると思うし、何だったら僕らの仲間に加わってもらえたら有難いくらいだけど」
ステファンは笑った。
「冒険者ギルドの登録は16歳からだから、まだもう少し待たないと駄目だよ」
私はため息をついた。
なんとなく、ずっとステファンが子どもに話しかけるように私に話しかけるので薄々感付いてはいたけれど。
「私――16ですけど」
私が言うと、横からライガが露骨に驚いた顔をして口を挟んだ。
「16? てっきり12、3歳だと――」
私はまた深くため息を吐いた。
満足に食べてこなかったせいか知らないけど、私は同い年くらいの人に比べて、かなり背が低いし、顔も幼い気がする。
「大体ですけどね。生年月日わからないので……」
深いため息交じりに言うと、ステファンは考え深そうな顔で私に聞いた。
「――そうなんだ――、言いたくなかったら申し訳ないけど、レイラ、君は人間でいいんだよね?」




