6 作戦会議①
結成から一週間経った日の夜。私たちはスキル選びのために鎌倉のとある宿に集まっていた。宿の共有スペースは殺害禁止ゾーンであり、部屋内は許可なしに入れないため密会するための場所として良いらしい。用事があるらしいたいさと₣を除く七人が集まった。
「集まったスコアは2568か……」
集まったスコアを見てYuraは少しだけ残念そうにしている。スコアが低いのかと思えばどうやら違うらしい。
「これでは、端数が出てしまう!」
「余りは配置券に使います」
「そんなの、面白くないだろ!?」
「だまらっしゃい」
和歌子は手に持っている扇でYuraの頭を叩く。ハリセンで叩いたような音と共に血のエフェクトが舞う。扇は斬撃武器なのだろうか。打撃武器ならYuraが死んでいそうだけど。
「さて、戯言は置いておくとして……。スキルを選びましょうか。軍長にご希望は?」
首を振る。周りにも話を振ってみたが、Yuraは倒れていて、ケインとシュウも私と似たような感じで首を振る。巴はちらりとこちらを見て、後ろに隠れていたつっきーを差し出す。彼は自信なさげに手を挙げた。
「隠密行動、やってみたい……です」
「率いるのはあなたが?」
つっきーはおそるおそる頷く。
「私は権限譲渡と千里眼を提案します。この三つで合計千ポイントですが……」
隠密行動は率いる武士五十人までを相手に気づかれにくくし、権限譲渡は役職を変更でき、千里眼は軍長と副軍長の権限を持つプレイヤーが戦場を俯瞰して見れるものらしい。
「今不在の二人は一騎討ちしたいらしい……ぐふ」
Yuraはそう言って――出血のスリップダメージで倒れた。明らかに和歌子が与えた傷のせいだった。
「宿屋はPKは禁止だろ!?」
「それは共有スペースのみですよ?」
驚くケインに対し、和歌子はにやりと笑って言い放つ。
「Yuraのかたきー」
棒読みで和歌子に殴りかかるのはシュウ。どうやら一番槍を決めにもダンジョンにも参加していない和歌子の実力が気になったらしい。シュウの攻撃は扇によって受け止められるが、威力を殺しきれず和歌子は壁に叩きつけられる。
「……雪辱を果たすチャンス」
巴は薙刀を出しシュウの不意を突こうとする。流石に二人目が死ぬのは不味い。私は咄嗟に間に入り穂先を素手で止める。すると彼女は薙刀をしまったため冷静になってくれたのだと思ったが――。
「ははっ! お相手、お願いします!」
彼女は嬉々として薙刀を再出現させた。ちょっと対応を間違えたかもしれない。




