1 結成
「姐さん! 来週は戦争ッスね! どこ所属ッスか?」
「戦争……?」
何度返り討ちにしても追いかけてくるからさぞ大切な用があるのだろうとモブ太から話を聞くと、物騒な単語が飛び出してきた。
「そっか、姐さんはまだやったことがないッスね」
戦争、またの名を演習イベントはプレイヤーがそれぞれ軍に所属しスコアを競ったり、団体戦をしたりするイベントらしい。参加には軍に入ることが必須らしい。軍は人数が多ければ良いというわけではなく、十人を超えると得られるスコアにマイナス補正がかかるなど、デメリットもあるらしい。
「ちなみに俺は白葉隊ッス! ほとんどの隊に色が入ってるんスけど、入れないと空気が読めない奴として袋叩きにされるッス!」
「二週間前から入れるものではないような……」
「姐さんなら行けると思うッスけど……。嫌なら自分で作るっていうのもありッスよ」
自分で作るのが良いなと思い作り方を見ていると、最初にお金を払わないといけないということが分かった。
「……辻斬りしよう」
「んぎゃっ! 怖いこと言わないでほしいッス!? お金が足りないなら集めたメンバーと割り勘しても良いッスよ?」
「ああ、そうすれば良いんですね」
自分で思いつけなかったことを悔しく思いつつ礼を言って離れようとすると彼は襲いかかってきた。
「へへ、覚悟ぉ!」
「知ってる」
さくっと返り討ちにして、フレンドたちに声をかけることにした。
同時期に始めてまだ所属していなかったケインとシュウ、所属変えを考えていたというYuraが快い返事をしてくれた。他のフレンドには既に入っているからと断られてしまった。
さらに、Yuraは同じように考えている人を引き抜いてくれるらしい。相手のトップに怒られないのかと聞いたら、「むしろ人数が減って喜ぶんじゃない?」と返された。
Yuraが集めてくれた五人を含めた合計九人で結成したの軍の名前は銀夜隊。私の名前に入っている夜と、かっこいい色として選ばれた銀を組み合わせた。
「名前が決まったら役職決めだ。役職は軍長は夜霧で良いとして……他には副軍長と一番槍がいるな」
「副軍長はYuraでどう?」
私の提案に異論は出ず、副軍長はすんなりと決まる。問題は一番槍だ。一番活躍ができて、責任もほどほどに少ない良ポジらしい。
とりあえず立候補制にしたところ、五人も手を挙げてしまったため総当たり戦で勝ち数の多いプレイヤーを任命することになった。




