18 元寇⑤
元寇の攻略手順は二人でやっていた時と大体同じで、弓で敵を減らして船が近づいたら乗り込むという流れらしい。特殊能力付きの武器を手に入れるためには武器別貢献度ランキングの上位三名に入る必要があり、貢献度を手っ取り早く稼ぐには敵をとにかく殺すのが良いようだ。刀ランキングは本当に魔境で、ただ殺し続けるだけでは上位入りできず、弓使いなど得られる貢献度が高い敵を狙ったり有望そうな人を殺して蹴落としたりする必要があるとAsahiは笑いながら言った。刀ランキングを狙う人に敵を奪われないように私も頑張ろう。
「あ、夜は開始前に参加ボタン押さないとダメだよ」
時間を見るとイベント開始一分前だった。慌てて参加ボタンを押す。
「早めに言って欲しかったです」
「ん」
私はどうせ当たらないと諦めているが、彼は違うらしい。豆粒のような大きさの船に向かって矢を放っている。弓の特殊能力として必中のような能力でも持っているのだろうか。
しばらくするとAsahiが走り出した。そして前の人の背中を踏んで三段ジャンプ。小舟に飛び乗るとそのまま流れでその舟に乗っている敵を全て斬り殺す。彼は次々と舟を移動しつつ、大きな船に近づいていく。船に近づくと飾りを使って、あっという間に船の上に降り立った。
彼以外も我先にと走っていた。流れに身を任せて私も走る。他のプレイヤーがいると押されて思うように飛べないかもしれない。現にプレイヤー同士が押し合い、妨害し合っているのだから。
他プレイヤーから離れて飛び乗れそうな舟を探す。あの舟なら……ぎりぎりプレイヤーの跳躍距離を超えていそうだが、舟がこちらに向かうことを考えれば届く。力強く踏み込んで、舟に飛び乗る。
ぐらりと舟が揺れる。敵に近づきすぎて薙刀が使いにくいが、相手の動きも利用しつつなんとか全員倒して舟から落とすことができた。次の舟に飛び乗るためには勢いが足りず、また近くの舟も遠い場所にあるため、向かってくる矢を斬り払いつつ舟を漕ぐ。
次の舟にある程度近づいたら舟の上からそのまま薙刀を振るって敵を倒し乗り移るのを繰り返し、周りに敵が見えなくなった後は大きな船に乗って戦い続けた。
かなり多くの敵を葬った自負があり、殺されることもなかったため、なかなか活躍できたと思う。その喜びは真っ赤に染まる一部プレイヤーを見てかき消されたが。この程度で三位入賞できるか不安になってしまう。薙刀使い自体、ほとんど見なかったから大丈夫だと思いたいけれど。
法螺貝が鳴り響く。どうやら全ての敵を撃退し終えたようだ。目の前に今回のリザルトが表示される。




