17 元寇④
他にやり方が思いつかなかったため薙刀を集めなおしてもう一度レベル四へ挑み、無事クリアできた。レベル四のソロクリアの報酬はレベル三と同じで特攻武器だった。一応レベル三よりも装飾は増えているがこれくらいは誤差だ。
最初の私が幸運だったから気がつかなかったが、レベル三のソロクリア報酬は武器以外にもあったため何度やり直すことになった。一度しかクリアしていないから分からないが、レベル四はもしかしたら確定で出るのかもしれない。本当は、夜のイベント用にもう一本薙刀が欲しいが……もうやりたくはない。
時間がかかったためそろそろログアウトの時間だ。最後にレベル五がどんな強さかだけ見てみることにした。
レベル四の大きさの船が一隻、レベル三の大きさの船が二隻、小舟が八艘やってきた。レベル三の大きさの船にはそれぞれ八人ずつの射手が乗っていて、小舟は五艘が射手のみで残り三艘は歩兵のみだ。そのまま眺めていたら元の場所に戻ってしまった。レベル四よりも早く気付かれたように思う。数以外も強化されているということか。
Asahiと一緒に遊ぶ前に少し戦おうと思ったが、この強さでは一人で船に乗り込むだけでも難しそうだ。後ろ髪を引かれつつログアウトした。
夜、イベントの開始十分前にログインしたところ、多くのプレイヤーがいた。不意打ちを警戒しつつログインしたのだが、襲われることはなかった。
「夜霧!」
「ケイン。……その武器、クリア報酬? おめでとう」
「ありがとう! ……確定ドロップじゃないって教えてくれれば良かったのに」
「そうですね……私も苦労しました。ところで、今日のプレイヤーたちおかしいですよね? 道のど真ん中でログインしても襲ってこないって……」
ケインははっとして「言われてみれば」と顎に手を当てて黙り込んだ。
「イベントで報復されると困るからだろうね」
口ではそう言いつつもAsahiは正面から斬りかかってきた。薙刀を出す時間がなかったため白刃取りをする。彼も本気ではなかったようで簡単に止められた。力がかかっていないから、白刃取りをしなくても寸止めだっただろう。
「体と口を動かしている人格が違うんですか?」
「VRだから頭が両方動かしてるよ?」
「正論パンチやめてください」
ケインは呆れたり怒ったり大変そうだ。Asahiはその反応を見て楽しんでいる。
「……一応、聞きますが。元寇は協力イベントですよね」
「ああ」
「「え?」」
このゲームのプレイヤーが協力できるはずがないのに。聞いたケイン本人も同様に驚いている。固まる私たちを見て彼は苦笑した。
「ある程度勝てないと負けるから。負けたら報酬なしだ。……負けるのも面白かったけど」
負けた先の話は気になる。今夜のイベントが終わったら動画サイトで探してみよう。




