16 元寇③
一度レベル三をクリアできたため、私たちは別れてソロクリアを目指した。レベル三はソロ挑戦三回目でクリアできたが、ケインとの練習がなければもっとかかっていただろう。もう一本特攻付きの薙刀を手に入れたが、見た目は初期装備の薙刀と同じだった。
レベル四を開始する。最初の一回は様子見のつもりで臨む。やってきたのは一隻の船だった。装飾が増えており、レベル三の船よりも大きくなっているようだ。多少大きくなっているとはいえ、敵の数はそう変わらないだろうから、これならクリアできそうだ。
ちくちく弓を射っていると頭に矢が刺さった。元の場所に戻される。敵の数が増えないと思ったら遠距離攻撃が追加か。私は矢を避けながら射ることはまず無理だ。死に戻りながら得た情報によると、敵の数はレベル三から十六人増えた六十四人。そのうち射手は八人でその全員が船の前方に乗っているようだ。射手は手前にいるため射線が通るが、それは相手も同じこと。そして弓の練習をしたとしてもすぐには上手くならない。
Asahiは「無理難題」を言ったというより、「私なら可能なこと」を言っていたように見えた。彼が私の弓の扱いのレベルを知らなかった可能性はあるが。
……必ずしも弓を使う必要はないのではないだろうか。
船が近づくのを海岸で身を隠して待つ。弓は使わない。当たらないだけならともかく、居場所を伝えることになってしまうからだ。
船がある程度近づいてきたら、初期装備として貰った薙刀を構え、投げる。狙い通りに船に突き刺さったのを確認してから助走をつけて跳んだ。飛ばした薙刀の上に着地する。
次に先ほど手に入れた薙刀に持ち替え、それも船に突き刺す。新たに刺した方に飛び移ると射手と目が合ったためとりあえず殴り飛ばす。その騒ぎで侵入を知った射手が一斉にこちらを向き、他の敵も寄ってきた。一度屈んで頭上を矢が通り過ぎるのを待ったあと、船に乗り込み、近くにいた歩兵を全て片付ける。その間、射手に狙われないよう射線上に敵を挟むのを忘れない。射手は味方への誤射を恐れるらしく、射線上に敵を挟むことを意識したら狙われなくなった。射手を放置して他の敵を狙う。
気がつくと元の場所に戻っていた。私は負けたらしい。殺されたとは思えないから陣地を攻撃されて負けたのだろう。おそらく、それをやったのは射手だ。放置したのが敗因だったか……。船に登るのに使った薙刀は戻って……ない!? 使ったものはそのままらしい。町中で殺された時と違って他のアイテムは無事なのが幸いというべきか。この方法は毎回二つ使い捨てにすることが難点だな……。




