15 元寇②
レベル二は小舟が三艘に増えただけだったため難なくクリアできた。私の撃破数は五だったから、このレベルならケインだけでも余裕でクリアできそうだ。レベル三はケインが呆気なく負けてしまうような難易度だったようだけど、どのくらいの難しさだろう。
「大きい船が一隻と、小舟が二艘やってきます!」
大きい船には小舟の四倍、つまり三十二人が乗っているらしい。
まずはレベル二と同じように戦う。小舟二艘の後に続いて大きい船が来る形だったため、小舟の敵は片付けられたが、大きい船の敵がほとんど残ってしまっていた。ケインはこの数の暴力でやられたのだろう。だが、今は二人いる。三十人もいないのだから、私たちの敵ではない。
「行きましょう。攻撃が最大の防御です!」
「ちょっと、待って! ください!」
船に乗り込み、敵をどんどん倒していく。レベルが三だからか、敵は弱く反撃を受けることもない。AIも命の危機を感じたのか私から逃げていたがまあ良い。半分以上は削れただろう。二人なら勝てそうだと思ったが、いつの間にか元の場所へ戻されていた。
「言い忘れていたんですけど、敗北条件は陣地を奪われることです」
「陣地?」
「陸にある復活地点のことです。そこに攻撃をされると負けです」
「先に言ってほしかったです……。今度は守ります」
すぐにまたスタートする。弓で敵を減らすところは同じだが、今度は敵の船に乗り込まず、陸地で撃退する。
船からは一度に大量の人が降りてきた。陣地の前に出て敵を倒すが、何人かはすり抜けてしまった。
「あ」
ケインの声が聞こえた後、復活地点に戻された。
「すまん! あと一人だったのに討ち漏らしました!」
「次やれば勝てそうですね。一つ、提案なんですけど……」
「試しにやってみましょうか!」
私の提案は弓で狙う敵を小舟ではなく大きい船の敵にすることだ。
「行きますよ!」
「この距離飛ぶんですか!?」
小舟がある程度の距離まで近づいたら飛び乗る。私たちは二人いるからそれぞれ一艘ずつ制圧。敵の数は八人と多いが、一人一人は弱いため簡単に制圧できた。その後は一度陸地に戻り大きな船の敵を射って減らす。
やがて大きな船が陸に到達し、敵が次々と降りてきた。数は多いが、前回ほどではない。討ち漏らしのないように注意しつつ殺す。
「よっしゃ!」
「良かった……」
法螺貝の音が聞こえてきた。私たちは安心して顔を見合わせた。
「これを……一人かあ……」
「これなら頑張ればいけそうだけど……レベル四って……」
クリアこそできたものの、ソロクリアの重みを知って私たちの気分は沈んでしまった。




