表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/14

第4話「可愛すぎる」

■登場人物

「タナーカ」

転生者、チートスキル~支配の邪眼~を持つ、所持品ブリーフ一枚。


「ナビ子」

タナーカのナビゲーター、インプ。紫色のロリ。

「タナーカ様」

「……」

「タナーカ様っ?」

「…………」

「タナーカ様!」

「しー! ……大きな声を出すなっっ」

 タナーカは人差し指を口元に添えながらナビ子を咎めた。


 彼は今、目的地であった村、ファーストテイル周辺に群生する木々の一つに身を隠している。

「どうしてなのだ?」

「いいからっ、静かにしてくれっ」

「なぜそんなにコソコソしてるのだ?」

 ナビ子は訳が分からないという表情で問う。


「はぁ……いいか? この世界ではどうなのかしらんが、俺が居た世界ではおじさんがブリーフ一枚で外出するのは犯罪だったんだ」

「えっ? そうなのだ?」

「そうだ」

「タナーカ様が居た世界は厳しい所なのだ……」

「そうだろうそうだろう、俺もそう思うぞ。 この世界は違うのか?」

「むむむ……大丈夫! と言える自信はないのだ……タナーカ様みたいなおじさんを導くのは初めてなのだ」

「うるせーな! おじさんって言うな!」

「自分で言ったのだ!」


 加えてもうひとつ問題があった。

 ナビ子は体全体が紫色で、背中には黒い羽、頭から角も伸びている。

 そんな彼女を他人はどう捉えるのだろうか? という問題だ。

 魔物(モンスター)だと思われたら騒ぎになるだろうし、幼子(おさなご)だと思われたら……隣にいる俺はロリコンくそ野郎と罵られるだろう、タナーカはそんな事を考えていた。

 中身は500歳だから合法だと言って通る保証もない。

 いずれにしろ他人に見つかるのはリスクでしかない。

 更につけ加えるなら、これまで人間には一人として出会っていないのだ。

 異世界の常識は計り知れない。

 人間が普通の人間とは限らないし、この村全体が人食いのカルトだったどうするのだ?

 という彼の考えは行き過ぎかもしれないが、今しがた小鬼(ゴブリン)に襲われたばかりだ、慎重にもなるだろう。

 せめて人間を一目見てから、この村が安全かどうか判断したかったのである。


「いくぞ……付いてくるなら姿勢を低くして静かにしてろ……」

 ナビ子はコクンとうなずいた。


 タナーカは木の陰から陰へ、草むらに滑り込み。

 石垣に背を預け、徐々に村に足を踏み入れていった。

 ファーストテイルは村としては中規模で人口は1000人にも満たない。

 タナーカが現在いる場所は、村の末端に位置し、村人たちの水源となっている川の近くにある。

 昼時なのだろうか?

 家々の赤い屋根から煙が昇っており、煙突から漂う香りが食欲を誘う。


(良い匂いだな、そういえば腹が減った……羊の鳴き声……何処かで犬も吼えているな……電柱? ……異世界って電気が通ってるのか?)


 彼は隠れ進みながらも五感で様々な情報を集め、同時に色々な事に考えを巡らしていた。

 さらに数メートル歩みを進めると、ちょっとした生活音などが聞こえ始めた。

 とっさに付近の家の白い壁に身を隠し、更に数歩進む。

 そして突如立ち止まった。


「むぎゅ! …………痛いのだ……」

 直ぐ後に追従していたナビ子はタナーカの背に鼻をぶつけた。


「しずかに…………人がいる……」

 ふんふんふん……と機嫌が良さそうに洗濯物を取り込む若い女性が一人居た。

 丈長のワンピースに前掛けエプロン、農民だろうか?

 身の丈にあった質素さを感じる。


「おーーーいっ」

 タナーカが様子を見ていると、家の中から女性を呼ぶ声が聞こえて来た。

 呼ばれたその女性は「はいはい」とばかりに取り込みを中断して屋内に戻っていった。

 争いとは無縁そうな村人の様子。

 今のところ危険は感じられない。


「ナビ子」

「はいなのだ」

「あの洗濯物が見えるか? ……あの中から男物……いやこの際サイズが合えば女物でもいいから、一着持って来てくれ」


 ナビ子は一瞬だけ「うーん」と考えて応えた。


「できませんのだ」

「なんで? 金がないんだ盗む……いや一時的に拝借するしかないだろ? それとも事情を話して譲って貰えってか? ……無理だろ……この村の人間でもないし裸だぞ俺……」

「違うのだ。 タナーカ様が必要だと思うのであれば、盗みでも殺人でも何でもすればよいのだ。 あたしは導きの精霊(ナビゲーター)だから、タナーカ様がどんな事を望んでもお仕えしますのだ」

「えっ? ……殺人ってお前……倫理観どうなってんだ」

導きの精霊(あたし)達には人間の制約(ルール)は関係ないのだ……だけど直接的な手助けはできないから、自力でなんとかするのだ。それが導きの精霊(あたし)達の制約(ルール)、これを破ると転生の女神(コーディネーター)様にこっぴどく叱られるのだ……」

「まじかよ……この程度の手助けもダメなのか……うーーーーん……しかたねーか……」

 ナビ子であれば仮に見つかっても何らかの方法で逃げ出せるだろう。

 裸の自分が見つかるよりは遥かに良い。

 タナーカはその考えがあってのお願いだったのだが、そういう制約(ルール)なのであれば仕方がないと納得した。

 彼は耳を澄ませ目を凝らして、住人が家から出てこない事を確認する。


「いくか……」

 しばしの静観の後、タナーカはそう呟きながら身を寄せていた壁から離れた。

 できるだけ静かに、それでいて迅速に、洗濯物に迫っていく。

「これは……シーツか……これは……スカート……こっちも女物だな……」

 彼は内心焦りながらも物色を続ける。

 ナビ子も彼の直ぐ近くでその様子を見守っていた。


「こ、これは!」

「見つけたのだ?」

 タナーカはおそらく先ほどの女性のモノであろう"何か"を手にし、マジマジと見つめていた。

「それは違うのだ! 服じゃなくて縞パンなのだ!」

「あるんだな、異世界にも縞パンが……」

 タナーカは感動していた。

 同時に葛藤もしていた、このお宝も持って行くべきかと。

 どうせ服を盗むのだから、パンツを一枚多く持っていった所で罪は変わらない。

(ワンチャン風に飛ばされたって事にならねーかな?)

 タナーカがそんな都合の良い事考えていると……。

 

「きゃああああああっっっ! 裸の男がいるぅぅぅぅ!」

 突如として、女性の悲鳴が空を裂き、タナーカの耳に突き刺さった。

 彼は慌てて悲鳴のする方に振り向いた。

 どうやら、先ほどの女性が戻ってきてしまった様子だ。


「いや、違うんです! 誤解なんです!」

 タナーカは必死に説明しようとしたが、彼が手に持つ縞パンを女性が見つけた。

「……それは私の下着……ひぃぃぃぃぃぃぃ! 裸の下着ドロボー!」

 女性の悲鳴はさらにエスカレートする。


「ちがう……拾った! ……そう! これは拾ったんです!」

 タナーカの頭は混乱していた。

 拾ったなんて嘘が通用する筈はない、彼もそんな事は分かっている。

 ぐるぐると考えは巡るが他に適切な言い訳を思いつかないのだ。


「そうなのだ! タナーカ様は下着ドロボーじゃないのだ! 欲しいのは服だけなのだ!」

 隣にいたナビ子も必死にタナーカをかばったが、その言葉は逆効果だろう。


「ばかやろう! お前は黙ってろっ!」

 タナーカはナビ子の口をとっさに塞いだ。

 ナビ子はムグムグという声にならない声を上げ、もがいた。


「……ひっ……は、は、はだかの変態くそロリコン野郎だったあああ! たぁあああすけてぇえええええ!」


「誤解だぁあああああ!」

 タナーカはパニックになりながらも、必死に逃げ道を探した。

 彼の脚は不規則にバタバタと動き、この場から逃げるために全力を尽くす。

 周囲の置物や障害物を蹴り飛ばして走った。


「なんだなんだ?」

「ブリーフ一丁の変態だっ!」

「きゃーーーー!」

「誰だこいつ?」

 女性の甲高い悲鳴に釣られて近隣の住人が次々と外に飛び出して来る。


「うわーーーー!」

 タナーカは悲鳴を上げながら逃げた。

 よほど慌てているのか村の外に向かわずに内へ内へと向かいながら。


「ちくしょーーー! なんでこんなことにーーー!」

 黙って逃げればよいものを、ただただ彼はパニックになってかなり目立つ行動をとっている。

「くそくそくそ! どいてくれー!」

 彼は通行人を押しのけて必死に走ったが、突然、誰かが前に現れて逃げ道を塞いだ。

 その人影の表情まで見て取れなかったが 「止まりなさい!」という凛とした声が、彼の耳に響く。


 タナーカは構うものかと、人影に向かって突進した。

 避ける暇などない、力づくで排除してやる。

 押しのけてやる、とにかく前に進み逃げ切ってやる!

 その考えだけが彼の頭の中にはあった。


 刹那ーー。


「イイイイイヤァ!」

 辺りに響く気合。

 タナーカの視界が一瞬で逆転した。

 地面と空が入れ替わり、背中に激しい痛みが走った。

 彼は突然現れた人影によって地面に投げ落とされていたのだ。


「……ぐぅう……」

 タナーカは低いうめき声を漏らし、なんとか起き上がろうとしたが、体が動かない。

 手首を捻られ逆関節がきまっている、首には踵が押し込まれ息が詰まる。


「なんだ……何が起きて……こ、これは…!」

 白いミニスカートと、それに覆われた純白の下着。

 張りがあり健康的な太腿にはオーバーニーソックスが喰いんでいる。


「白パン……え? ……なんだ? 女か?」

 金属製のレガースと一体になったブーツ。

 その重みで首が潰されそうだが、タナーカは辛うじて動かせる範囲で頭を動かし、女の顔を見上げる。

 栗色の長い髪が風になびき、髪と同じく栗色の瞳は、厳しさと美しさを併せ持つ。

 正しい姿勢、真っすぐな視線、高潔な魂の輝き。


「わたくしは神官騎士ホーリーナイトのリシャ。 大人しくしてください、事情を伺います」

 彼女は静かながらも力強い声で言った。


「……う、うそだろ……信じられん……」

 タナーカは思わず声を漏らす。

「可愛すぎる」

 タナーカはついに見つけたのだ……彼の(ソウル)と股間に響く美少女(りそう)を。

 これが後にこの異世界に冥奴(メイド)ハーレムを築く事になる彼の……初恋であった。


 彼の中心、腹の底、そこから溢れ出す欲望(リビドー)が燃えたぎる。


(欲しいこの女が欲しい、誰にも渡してなるものか、俺の冥奴(モノ)だ)

目標は週一更新です、誤字脱字は気づき次第修正します。

暫くは加筆修正多めになりそうです、ご容赦ください。


暇のお供になれば幸いです。

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ