02
暗闇の中を走っている。
たった一人で。
追いかけている。
何を?
わからない。だけど、追いかけている。
息が切れ、心臓が跳ねる。肺が悲鳴を上げる。足の裏に地面を感じる。
視界が真っ暗に染まっていく中、そんな感覚だけが『私』を『私』であることを確信させる。
追いかけている何かは、時に左右に動き、時に大きく跳躍し、時に私の周囲をぐるりと回る。
姿形はわからない。見えない。
しかし、そこに在る――それだけはわかる。
何故なら、甘いお菓子のような匂いがするからだ。鼻孔に感じる香りが強まったり弱まったりするので、匂いの元が近付いているのか遠ざかっているのかがわかるのだ。
私はひたすら、その気配とも呼べない曖昧なものを追い続けていた。
ここはどこだろう? 長く果てない荒野のよう。どこまで走っても終わりが見えない。
答えもない中、ただ走り続ける。
終わりの見えない鬼ごっこに飽きが来た頃、ふと思い直した。
勘違いなのではないか――と。
私が追いかけているのではなく。
謎の気配こそが、私を追いかけてきているのではないか――と。
そう気付いた瞬間、固形のような恐怖が腹の奥底からせり上がってきた。
喉元まで来たそれが悲鳴になろうとする。必死に噛み殺し、私は速度を上げた。少なくとも、そのつもりで足の回転を速めた。
途端、何かの存在感がいや増した。曖昧だった感覚が急速に鋭敏になり、音が聞こえ、熱を覚え、匂いを嗅ぐ。
生暖かい息遣いを感じる。
気付けば、私という存在は闇の中にぽっかりと浮かび上がっていた。
走る己の手足が視界に入る。それは思いがけなく、細く、短く、小さかった。
不思議なことに、ここにいる私は本来の姿ではなかった。
小さな子供だった。幼い頃に愛用していた寝間着を身にまとい、頼りない腕を振り、裸足で走っている。
けれども上手く体が動かせず、速度も全く出ない。ひどくもどかしい。
悔しさに歯噛みしながら、それでも背後に迫る気配に怯え、必死に走った。
体の大きさと感覚にズレがあるせいだろう。ほどなく私は足をもつれさせ、転倒した。
ボールのように地面を転がり、慣性を使い切ったところでうつ伏せになる。
重量感のある気配が、ゆっくりと近付いてくる。
いたぶるように、追い詰めるように、じっくりと距離を詰めてくる。
とうとう堪えきれず、私は必死に押し殺していた悲鳴と涙を解放してしまった。
文字通り、子供のように泣きじゃくる。
だが、にじり寄る恐怖の気配はそれを喜んだらしい。躊躇するどころか、むしろ容赦なく飛びかかってきた。
その時だ。
「もう大丈夫だ」
あたたかい声がした。
その声は頭の上から降ってきたので、私はそちらに顔を向ける。
まず、大きな掌があった。野球のグローブのように分厚い手。
その向こう側に、金色の輝きが二つ並んでいた。
眼だ。
夜空に輝く一等星のごとき双眸が、優しげに私を見つめ、頼りがいのある手を差し出していた。
私はその手を
がなり立てる目覚ましの音に、頭を叩き起こされた。
「――ッ!?」
ビクンッ、と全身が震えて、目を開く。
「……!? ? ?」
しばらくの間、自分の身に何が起こったのか理解できなかった。目を見開いたまま呆然とする。
ややあってから、現状を正しく認識した。私は暗闇の中ではなく、自室の布団の上に寝転がっている。
夢だったのだ。
「はぁ……」
大きく息を吐いて上体を起こし、とりあえず耳障りな目覚まし時計を黙らせる。
フローリングの床に直接マットレスを置き、その上に敷いた布団。それとただの物置き場になっているローテーブルと、座布団みたいに潰れたクッション。衣類を入れたケースに、他は必要最低限のものだけ。
見間違えようもない。殺風景にも程がある、しかし我が愛しきワンルームであった。
「変な夢……」
ひどい気分である。まったくの悪夢であった。今でも心臓が早鐘を打っている。全身が寝汗でびっしょり濡れていた。
「あー……」
片手で顔を覆い、何とも言えない気分で息を吐く。
ここ最近、夢見の悪い日々が続いて寝不足になっていたが、今日のは極めつけだ。
一体全体、何だったのだろうか。ひどくリアルな夢だったが、あんなものを見る心当たりがまったくない。
だというのに、体の芯が凍るほど恐ろしかった。今でも腹の底に、恐怖の残滓がこびりついている。
「最悪」
汗のせいで首筋に張り付く髪を手で払って、吐き捨てる。
たかが夢に、本気で震え上がるほど追い詰められてしまった。それがどうにも理不尽に思えて、やたらと腹が立つ。
ともあれ、このままでは風邪を引いてしまう。というか、体のあちこちがベタついて気持ち悪い。私は下半身にまとわりつく羽毛布団をはね除けると、立ち上がって浴室へと向かった。
今日も出勤日だが、幸い朝は早めに起きることにしている。時間には十分な余裕があった。
脱衣所でパジャマ代わりのタンクトップを脱ぐと、ふと洗面台の鏡に映った自分の姿が目に入る。
うなされて体温が上がったせいだろう。首と左腕にある古傷が、ほのかに赤く浮かび上がっていた。
首の左側には、前から後ろへ走る一条の傷。同じく左の二の腕にも、横向きに刻まれた長い傷が三本。
猛獣の牙か爪で引っかかれたような、歪な傷痕だ。特に首のそれは、筋肉が引き攣れながら塞がってしまったため、見ようによっては華のようにも見える。美しいとは、決して言えないが。
言うまでもないが、本当に野獣に襲われたわけではない。おそらくだが、切れ味の悪い包丁などでつけられた傷だと思われる。
おそらくとか、思われるとか、まるで他人事みたいな言い種だが、実際、私にとっては限りなく他人事に近い。
憶えていないのだ。この傷を負った時のことを、何も。
それこそ夢で見たような、幼い頃の話だ。
私と両親が暮らしていた家に、強盗が押し入った。渡せるような金品がなかったのか、はたまた抵抗して返り討ちに遭ってしまったのか。何が原因かはわからないが、両親は犯人に殺されてしまった。
一方私は、奇跡的な幸運がいくつも重なったらしく、こうして生き延びている。とはいえ、見ての通り首と左腕に深い傷を刻まれ、一時は生死の境を彷徨ったらしいが。
実の両親が目の前で殺されてしまった衝撃と、自身が襲われた恐怖―それらが相まって、きっと私の防衛本能が無意識に記憶を封じてしまったのだろう。完全な記憶喪失だ。
よほどのことだったに違いない。
おかげで、私は事件のことどころか、私は両親の顔どころか、家族と積み重ねたはずの思い出すら、綺麗さっぱり忘れてしまっている。
記憶を失うというのは、他人が想像するよりも案外、無味乾燥なものだったりする。だというのに、私の事情を知った人間は皆、口を揃えてこう言う。
『かわいそうに』
それはもう残念そうに。
だが当の本人にとっては、それは憶えていないというより『知らない』ことなのだ。
失ったという感覚すらない。
だから、自分によくわからないことで同情されても、実感などまったく湧かない。
画一的な周囲の反応に辟易してしまった結果、私はこのことを誰にも語らなくなった。今となっては私の事情を知っている人間はごく一部となっている。傷痕も、冬はタートルネックやハイネック、マフラーを使い、夏でも襟の高いシャツやストール、またファンデーションなどで隠していた。
しかし、これはこれで、事情を知っている人間からは『トラウマを引きずっている』ように見えるらしく、微妙な視線を向けられることがままある。
私が傷を隠すのはトラウマに触れられたくないわけではなく、単に詮索されるのが面倒なだけなのだが――それをいちいち説明するのもまた億劫なので、もうそういう時は基本的に放置している。
他にも『警察官になったのは両親の仇を討つためなんだな』と解釈する人間などもいて、どうも世間というものは、他人を一定の枠にはめないことには気が済まないものらしい。
赤く浮かび上がる花弁のごとき傷痕に指を這わせ、ふと思う。
先程のおかしな夢。もしかしてあれは、私が失ったはずの記憶だったのだろうか……?
「――って、んなはずないでしょ」
我ながら馬鹿げた妄想だと、鏡に映る自分に向かって笑い飛ばす。
そんなはずはない。両親を殺し、私に消えない傷痕を残したのは人間だ。あんな野獣のように追い立ててきたはずがない。
だけど――最後の光景。
金色に輝く瞳と、差し伸べられた大きな手。
不思議と、妙に懐かしい感覚だった。
あれは誰の目だったのだろうか。いくら夢の私が子供だったとはいえ、縮尺から考えてもあの手の持ち主はかなり大柄な人物のはず。そんな人間に心当たりなど――
ぱっ、と脳裏に閃いたのは、明るい茶色の髪をした大男。サングラスの下で楽しげに笑う口元、唇からのぞく大きな犬歯、美術館に飾ってある英雄の彫像よろしく精悍な巨躯。
「……っ!」
途端、夢から覚めた時以上にむかっ腹が立った。
思えば奴と出会ってからというもの、とんと運が向いていない。
汗だくになって走り回ったのにまんまと逃げられてしまうわ、木島の部屋には先回りされて肝心なものを抜き取られているわ、高城と別行動を取った途端に彼が襲われるわ。アパートは放火されて大家も殺されて、本気で心配したのに高城はまったくの無事で、そのことを榊にまでからかわれて、今朝に至ってはおかしな悪夢を見る始末――いや、高城が無事だったのは本当の本当に幸いだったのだけれど。
一体何だというのだ。私が何をしたというのだ。
たまらなく腹が立つ。
「――ふんっ!」
私は荒々しい手付きで下着も脱ぎ、浴室に入った。シャワーヘッドを手に取り、ハンドルを全開にする。お湯になる前の冷水が噴き出してくるが、構わず頭から浴びた。氷のような冷たさに身も心も引き締まる。
徐々に温まっていくシャワーを浴びながら、私はぐっと奥歯を噛みしめた。
あの大男も、隣にいた銀髪も、必ず事件に関係しているのだ。
――次に会った時は、今度こそ絶対にとっ捕まえてやる……!
私は熱くなったシャワーに身を打たれながら両の拳を握り締め、固く決意したのだった。
†
しかし、そうは問屋が卸さない。
予想していたことが、しかし予想以上の大きさで襲いかかってきたのだ。
謹慎処分――
高城が何者かに襲われ、負傷したあの件である。
始末書で済むかと思っていたが、これが思った以上に炎上していた。
榊曰く、一時は『すわ懲戒免職か』というところまで燃え上がったという。
処分が決定するまでの詳しい経緯は知りようもないが、結果として、高城には療養という名目での待機命令、私には一週間の謹慎が言いつけられた。
単独行動を取ったのは問題だが、流石に不可抗力でもある、とブレーキがかかったらしい。
ともあれ、処分に合わせて、私と高城の二人は正式に事件の捜査メンバーから外された。
「どうしてこうなった……」
私は布団の上に腰掛け、壁に背をもたれさせながら、半ば呆然と独り言ちる。
浴室から出てきた直後、はかったように榊から電話がかかってきた。そこで先述の謹慎処分を言い渡されたのである。
ぶっちゃけ、昨晩よりもへこんでいるかもしれない。
クビを免れたのはいいが、まさか捜査から外されてしまうとは。先程の固めた決意はどこへ持って行けばいいのか。
「これじゃ、復帰してもやることないじゃん……」
否、やることは他にもある。一課が抱えている事案は〝狼男〟だけではない。他にもまだすべき捜査は沢山あるし、煩雑な事務処理だって仕事の内だ。だが。
私らしくもなく――自分でも言うのも何だが――ダラダラとした状態で、何気なく枕元へと視線を向けた。
そこにはいくつかの写真立てが置いてある。友人や同僚と一緒に撮った思い出深いものをケースに入れて飾っているのだ。
ちなみに両親のものは置いていない。写真そのものはあるのだが、二人の顔を見ても自分の親だという実感がまるで湧かず、他人としか思えないので、しまってあるのだ。
中学や高校の卒業式に撮ったもの、警察学校のみんなと旅行に行った時のもの、捜査一課に配属された日に榊と撮ったもの――どの写真の中でも、私は生真面目な表情をしている。意志の強そうな、悪く言えば頑固な瞳を、真っ直ぐに。
この時の私から見れば、今の私は唾棄すべき体たらくだろう、と思った。
――ダメだなぁ……意識が過去に向かう時って、大抵ろくでもない時だからなぁ……
今朝は夢見が酷かったのもあって、やけに心が後ろ向きだ。そんなところに強烈なパンチを喰らったものだから、流石の私もダメージが深いらしい――と客観的に自身のことを俯瞰、分析する。
「……寝よう」
敢えて声に出して言った。
疲れているのだ。だから暗いことばかり考えてしまうのだ。
せっかく降って湧いた休日である。謹慎だが。久々に二度寝して惰眠を貪ろう。そうしよう。
私はそのまま布団に)度に寝っ転がり、ふて寝した。
当然ながら、数時間後には目が覚めたわけだが。
結局、睡眠不足を解消した後は、丸一日かけて溜まりに溜まっていた家事を片付けた。忙しさにかまけて炊事洗濯が疎かになっていたところを、これ幸いとばかりに本腰を入れて取り組んだのだ。
ゴミを捨てて、出しっぱなしのものを収納して、掃除機をかけ、乾いた洗濯物にアイロンをかける――などなど。
が、計算違い。いくら溜めに溜めていたとはいえ、一人暮らしの狭い部屋だ。本気を出したら一日で全部終わってしまった。
ともかく部屋がすっきりして気持ちよくなったところで就寝して、翌日。
幸いなことに今度は悪夢も見ず、爽やかな目覚めを迎えた。
が、気分は暗いまま。畢竟、悩みの元は残ったままなのだ。さもありなん。
しかも、今度はするべき家事もない。もう全部終わらせてしまった。
振り出しに戻って、私は布団の上に座って呆然とするしかない。
「ダメだ、このままじゃ……」
気分転換をしよう。そう思って、ローテーブルに置いていた携帯端末を手に取る。テレビアプリを立ち上げると、ちょうど朝のニュースが流れていた。
『――狼男、またも殺人か。満月の夜に限って発生するこの事件ですが、今回もまた犯人は証拠を残さず現場を立ち去っており――』
原稿を読み上げるアナウンサーの声を、気もそぞろに聞き流す。チャンネルを変えるが、似たようなニュース番組ばかりで、やはり話題は狼男一色だった。
気が滅入る。
狼男説が嫌いなのもあるが――それ以上に捜査メンバーから外されて『外野』になった我が身を、どうしても省みてしまうのだ。
それにしても、まさかこんな形で事件から遠ざけられてしまうとは、夢にも思わなかった。
ぽっかりと、胸の中に大きな穴が空いたような気分。
「はぁぁぁ……」
ダメだ、まったくもって気分転換にならない。私はテレビを閉じて、布団から立ち上がる。このままネットサーフィンに移行しても、どうせ似たような情報ばかり転がっているのだろう。そして、それを目にする度に落ち込むことになるのだろう。まるで想像に難くなかった。
「どっかで朝ご飯たべるか……」
見ての通り殺風景な部屋だ。お察しの通り自炊はほとんどしない。冷蔵庫の中も冷凍食品ばかり。朝食はいつも出勤中にコンビニに寄って、そこで適当に済ませている。
昨日はありもので済ませたが、流石に今日もまた、冷凍食品を温めて食べる気分にはなれない。
気分転換も兼ねて、いつもは前を通り過ぎるだけのファミレスでモーニングでも食べるか――などと思案しつつ、服を着替えていた時だった。
携帯端末に着信。
画面を見ると、そこには『高城利之』の四文字。
少し意外な名前だった。この謹慎期間中に、彼から連絡が来るとは思いもしなかったのだ。
「――もしもし?」
電話に出ると、高城はいつもの明るい調子で、
『どうも、ご迷惑をおかけしております、あなたの高城利之です』
殊勝なのか、はたまた皮肉なのか、判断に困る挨拶である。
「いえ、それはこちらこそ……怪我の具合はどうですか、警部補?」
私が尋ねると、高城は電話口の向こうで、あは、と笑った。
『ええ、もう全然大丈夫ですよ。大したことはありません。頭の固い老人達が騒ぎすぎなんですよ。おかげで西尾さんにも多大な迷惑をかけてしまいました……本当に申し訳ありません』
頭を下げる気配。声音からして、本心だろう。彼にとっても私の謹慎処分は本意ではなく、不満に思ってくれているらしい。
「そんな、私の不注意だったのは事実ですから」
悪いのは高城ではない。私が言うのも何だが、過熱した上層部の一部がおかしいのだ。とはいえ、ここでそんなことを言っても詮無きことである。
「あの、ところで何かご用ですか? 私、今から出掛けるところでして」
『ああ、これはすみません。お急ぎですか?』
「いえ、ちょっと朝食をと思いまして」
ここで素直に答えた自分が迂闊だった。高城は途端に声を高めて、
『それはよかった。では、よろしければご一緒しませんか?』
私を誘ってきた。
しまった、と思った時にはもう後の祭りである。
「ご、ご一緒というと……?」
『実は僕も朝食がまだでして。西尾さんさえよろしければ、一緒にどこかでどうですか? 車で迎えに行きますので』
「いえ、でも私、謹慎中ですから……」
『それを言うなら、僕も待機命令を受けてますよ?』
あは、と高城は軽く笑う。
『どうせ連絡が来ることはないでしょうし、誰も見張ってませんから大丈夫ですよ。ずっと家にいるのも億劫じゃないですか。気分転換にもなりますよ?』
実際、気分転換がてら朝食を食べに出掛けようとしていただけに、高城の言葉には頷くことしかできない。しかし、だからと言って彼と一緒に外出するのは――
『それにほら、先日約束したじゃないですか』
「約束?」
『西尾さんのマフラーを弁償する件です』
ぐっ、と私は言葉に詰まる。そういえばそうだった。あの時は、出勤した後に適当な口実をつけて断ろうと思っていたのだが、謹慎処分を受けた今となっては逃げる理由がない。
『それに、少々お話があるんです。電話では言えない、とても大切な』
高城の声音が明確に変化した。芯に固い決意を感じる。どうやら朝食やマフラーの件はあくまで建前で、私を誘う意図は他にあるらしい。
そこまで言われたら、実際に謹慎中で暇な身としては否やを唱えるわけにはいかない。
「……わかりました。では、朝食だけなら」
言外にマフラーについてはお断りを入れる形で、私は承諾した。
電話の向こうで、高城が安堵の息を吐くのがわかった。
『ああ、よかった。では、マンションの前に着いたら連絡しますね。それでは、また後ほど』
そう言って、電話は切れた。
私は着替えの続きを――と思い、さっきまで着ようと思っていたコーデは流石に人と会う時にはキツいか、と考え直す。かといって、端から見てデートと思われるような格好もよくない。
結局、いつもと同じ動きやすい服装を選び、私は出掛ける準備を始めた。




