その3
それから、彼女は時々コメントをくれるようになっていた。
ホントにごくたまに、だけどね。
彼女、いつもツアーで忙しいし、そんなにネットとか見てるわけじゃないみたいだし。
でも、絶妙のタイミングで、節目節目のいいとこで、いいコメントくれるんだな、これが。
うちが受験に合格した時。
学校を卒業した時。
成人した時。
ちゃんと、見てくれてるんだなーって。
愛を感じるよね、うん。
彼女は紛れもなく現実を生きてる。
ありきたりな言い方をすれば、リア充ってこと。
うちは、どっちかと言えばネット充だから。
でも、そんなうちのこと、彼女はまったくバカにすることもなく。
ちゃんと認めてくれて、感謝してくれて。
それが、何より嬉しいんだ。
ちょっと前から、気になってる男の子がいる。
会ったことないんだけど。
うちのページに、しょっちゅう遊びに来てる。うちに負けないくらい、彼女の大ファンで、他の人はそこまで掘り下げないよ!っていうような深い話とか、1時間でも2時間でもずーっとしてる。
彼、もともとパンクが好きで、そこから彼女のファンになったみたい。だから、うちの知らないこと、いっぱい知ってる。でも、自慢とかしない。
めっちゃ、いいやつ。
うちと違って、社会人なんだって。何してるのか知らないけど、時間に余裕があるみたい。昼でも夜でもしょっちゅう書き込みしてくれる。
そのうち、ページで二人だけで語ってるのが面倒になって、メッセくれてLINEのやり取りを始めた。
LINEでも、話してるのは彼女のことばっかりなんだけどね。
LINEでも語って、ページの方でもずーっと語ってる。
そんなうちらを見て、時々彼女がツッコミを入れてくれる。
そんな瞬間が、たまらなく愛おしいんだ。