乙女改造
いつの頃からだろうか。彼女は暇を見つけては「死」について考えるようになっていた。正確には、死と自分を結びつけて考えるようになった。
当然のことながら、時代や地域が異なれば、死に直面する確率というは大きく変化する。では、死は本来、どのくらい自分を支配しているのだろうか。彼女はそんなことばかり考えている。
彼女が死を意識する、大きなきっかけなどなかった。だから厄介なのだ。
彼女は元来、辛気臭い性分であった。それは幼い頃からだ。例えば、とある文学作品に村1番の美女が登場する。村の男たちは、その美女に目を奪われている。すると彼女は、美女以外の村の女たちに同情してしまう。そして、どうにもこうにも遣る瀬の無い気持ちになってしまうのだった。
また、八百屋で形の整った野菜と不格好な野菜が並んでいれば、なんとなく、気持ちがブルーになり、後者を手に取ってしまうのだった。
そんな彼女も次第に少女ではなくなり、大人になった。だから彼女は、そんな青さを卒業しなければならない。しかしどうだろう、彼女のそれは、一過性のものなどではない。そんなに簡単に手放せやしないのだ。おそらく、自分では気付いていないものの、彼女と死の接近はそれが原因のことだった。
彼女は現在、故郷を離れ、東京で暮らしている。東京は、なんでもあった。彼女の夢を除いては。
きっと、彼女の理想郷は、この世のどこにもない。故郷にも、東京にも、地球の裏にだって存在していないのだ。
しかし彼女は今夜も夢を抱いて眠る。いつか、本当に夢の底に沈むことを祈って。そして朝になれば、彼女は少女を卒業した振りをする。




