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オイレとマルモア

挿絵(By みてみん)

「それに以前から気になっていたのだよ

『剛腕フェルゼン』と『戦闘姫せんとうきザフィーア』の営む店と言うのがね」


 わぁ〜お、またまた凄いパワーワードが飛び出したぞ!


 フェルゼンさんは以前冒険者だったみたいだからその時の通り名か?


「それでマルモアとは何処で?」

「ふむ、フェルゼン殿は数年前まで駐屯地に戦闘訓練教官として来て頂いていたのだ

 その時よくマルモアさんをお連れになっていたのさ

 年の近い同性という事で親しくさせてもらったよ

 色々相談に乗って頂いたりもしたのだ

 部隊を率いるのも初めてで不安や心配事だらけだったからね」

「え!その時から指揮官を?」

「私は13で初陣し14の時にここグローシュタッドへ地方守備隊の指揮官として着任した」

「そんな小さな頃から・・・」

「私は地方貴族の出でね、6人兄妹の末娘さ

 家督を継ぐ必要も無いし政略結婚のコマにされる事も無かった

 何にも縛られないのなら自分の生き方は自分で決めようと思ってね

 だから軍隊に志願した

 剣や魔法は好きで幼い頃から訓練していたので軍に実力を認められるのも早かったのさ」


 しかしいくら腕が有ったとしてもたかだか14の少女に一団を率いる事が出来るものだろうか?


「貴族の出という事で一応騎士の称号は貰っていた

 軍隊で騎士と言えば率いる者と相馬が決まっている

 一兵卒と同じという訳には行かないのさ

 なので部下に認められる様それ相応の努力はして来たつもりだ

 周りから老けて見られてもおかしく無い程度にはね」


 そう言いながら愉快そうに笑みを浮かべるオイレさん

 もしかしてちょっと根に持ってる?


「ちょいとオイレ

 その戦闘姫せんとうきってのはやめとくれよ

 アタイが姫ってガラかい?

 良いとこ戦闘鬼せんとうきさね」


 そう言って自嘲気味に笑うザフィーアさん


「ご謙遜を

 戦場で戦う貴方はとても美しかった

 それは正に戦場に咲く一輪の紅い薔薇

 猛々しくも華麗に戦場を駆け巡る貴方の姿に何度勇気付けられたか」


 返り血で真っ赤に染まるザフィーアさんか

 味方にはさぞ心強く見えただろう


「ザフィーアさんとは戦場で?」

「初陣の時同じ部隊の傭兵隊に居たのが彼女だ

 その時付いた渾名が戦闘姫、いや彼女曰く戦闘鬼かな?」

「やれやれ古い話をほじくり返して来るね〜」

「まあそんな感じでね

 マルモアさんは挫けそうな私の事を何度も励まし助けてくれたのさ

 まるで実の姉のようだったよ」


 大人社会の軍隊で年の近かったマルモアの存在はオイレさんにとってさぞ大きかったんだろう

 姉・・・姿や性格は妹だけどマルモアもなかなかやるもんだ


「俺も教官仕事が忙しくてな

 なかなかマルモアの相手も出来ない時だった

 オイレ嬢ちゃんの存在は有り難かったわい」

「『剛腕』は冒険者時代の通り名ですか?」

「おう、まあな

 自分で名乗った訳じゃねーが周りからはそう呼ばれてたみてーだな」


 通り名か・・・

 父さんも『英雄』って呼ばれてたみたいだし、ちょっと憧れる

 オレも冒険者として頑張ればそんな通り名で呼ばれる時が来たりするのかな?


「だがまあ名前が売れるってのは良い事ばかりとも限らねえんだぜ?

 変に悪目立ちしちまってチョイチョイ喧嘩を吹っ掛けられたもんだ

 そういやおめーさんの親父にも勝負を挑まれた事が有ったな」


 父さん何してんのー!


「勝負って言ってもお互い素手で相手を殺さない程度の殴り合いだったがな!

 後にも先にも戦いで負けたのはあん時だけだ」


 そう言いガハハと愉快そうに笑うフェルゼンさん


 父さんこの人に勝ったのか、すげーや!


「懐かしいね〜

 ほんとあんときゃ参ったよ

 まさか二人がかりで敵わないとは思いもしなかったからね」


 ええ!ザフィーアさんも参戦してたの!


「な、なぜそんな事に?」

「遺跡探索の最深部でたまたま同時に居合わせちまったんだ

 で、最後のお宝をどっちが取るかで揉めちまってな

 そんで殴り合いで話を付けたってとこよ」


 なにその肉体言語

 でもそれって・・・


「父さんが一方的に喧嘩を仕掛けて来た訳じゃ無いんですね?」

「まあそうだが、そうとも言い切れねーぜ?

 あいつ『剛腕とは一度勝負したいと思ってた!』なんて言ってたからな」


 あ〜そうなんだ

 父さんにもそう言う時代が有ったんだな〜


「父さんは一人だったんですか?」

「いや、おめーさんのお袋も居たぜ

 後ろで見てるだけだったがな」


 まあ殴り合いに参加する母さんとか想像できないけど


「それ以来何と無く気が合っちまってな

 何度か一緒に旅に出たりもしたんだが

 あいつめ急に引退するとか言い出してな

 そんときゃ丁度ザフィーアの妊娠がわかった頃で俺もどっかに腰落ち着けようと思ってたからよ

 丁度良かったんで俺もついでに引退しちまった」


 ついでって・・・そんな簡単に

 まあ良い切っ掛けになったって事か


「それっきり音沙汰もねーからとっくにくたばっちまったのかと思ってたとこにおめーさんがひょっこり現れたって訳だ

 生きてるって解って安心したぜ」

「そうだったんですか・・・」

「さあ昔話はこの辺にしとくか

 オイレはどうすんでい?

 もう時間も遅いが何なら泊まってくか?

 何せウチは宿屋だからな、部屋は貸す程余ってるぜ」

「ふむ、それも悪く無いですね」

「そうじゃ!それが良いのじゃ!

 オイレ泊まって行くのじゃ!」

「マルモアさんに言われては断れないですね」

「久しぶりに一緒に寝るのじゃ!」

「マ、マルモアさん!」

「一緒に寝た事有るんですか?」

「昔は良く人目に付かないところで泣きベソかいてたからな!

 その時はわたしがよしよしして一緒に寝てやってたのじゃ!」

「マルモアさん!

 その話しは内緒にと言って置いた筈ですよ!」


 オイレさんが顔赤くして照れてる!

 普段の冷静沈着な彼女からはちょっと想像出来ない表情だ


 この人も昔から完璧だった訳じゃ無い

 むしろ14歳の少女にはとてつも無い重圧だっただろう

 そんな時マルモアと言う救いが有ったからこそ今のオイレさんが居るのかもな


 マルモアは早速オイレさんを部屋に案内すると言って二階へ上がって行く

 楽しそうに話しながら階段を上る二人はさながら仲の良い姉妹に見えた


 翌朝、オイレさんは既に仕事へ行ったらしく泊まった部屋ではマルモアだけがベッドで大イビキをかいていた

 昨晩は結構遅くまで話し声が聞こえていたけどオイレさん大丈夫かな?

 まああの人の事だから多少の寝不足など物ともしなそうだけど


 さてオレもノンビリしてられない

 サッサと支度して店を開けなきゃ

 今日も一日頑張るか!

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