自殺したら死神(美少女)に怒られた-1
目が覚めると何も無い白い空間にいた
「え〜と何処だここ、どうしてこんな所に?」
上半身を起こしてあぐらをかき辺りを見渡す
見渡す限りただの白、壁や天井や床が白い部屋って訳じゃ無い
空間自体が白いと言う感じ
今座っているこの床すら存在を疑ってしまう程とにかく何も無い空間だった
「やっと目を覚ました?待ちくたびれちゃったよ」
不意に背後から声が掛りびくりとし慌てて振り返る
さっきまで何も無かった空間に一人の女性?と言うにはちと若いか、年の頃は16、7と言った感じの少女が立っている
顔はまだ幼さを残しており綺麗と言うより可愛い、いやかなり可愛い
妹にして『お兄ちゃん!』とか呼ばれたい!
だが格好がイケてない何故か黒いダブダブのローブの様な衣装を着込んでいる
この白しかない空間にはいささか不釣り合い、と言うかハッキリ言って異質だ
「え〜と、名前は敷島拓郎。年齢37歳、死因は自殺による転落死。間違い無い?」
黒い少女が手に持つタブレットの様な物を見ながらオレに問いかける。
「あ、はい名前も年齢も合ってますが・・・え?死因!?」
今死因って言ったよ、何オレ死んだの!?しかも自殺って
「あ〜覚えてないか〜まあ一時的に記憶が飛んでるっぽいね、うん良くある事だから心配しないでね」
唖然とするオレを尻目に少女は更に話を続ける。
「両親は幼い頃に他界、その後親戚をたらい回しにされ高校卒業と共に一人暮らし。生きる為に就職したは良いけど、月休1日有るか無いか、残業代も出ているか怪しいドブラック会社。親しい友人も無く当然の様に彼女いない歴=年齢・・・うん、これは自殺しても仕方が無い程度には人生ハードモードね〜」
うわ、こいつ俺の37年の人生を一息で読み上げやがった
つーか喋り方馴れ馴れしいな!
声可愛いけど・・・
なんて事を考えてると段々記憶が蘇って来る
そうだ、やっと振られた仕事を終わらせてみれば既に終電も無くなった時間
今日も会社に泊まりかと職場の有る雑居ビルの屋上で1人タバコをふかしていたら突然何もかも嫌になって衝動的に飛び降りたんだっけか
うん、思い出した。オレ自殺したんだ
「お!記憶が蘇って来たね、良い傾向だよお〜」
え!?オレ口に出してた?
「いやー思考伝達って言ってね、話さなくても会話出来る便利機能だよ!」
にこやかにとんでも無い事を言っている、つまり考えた事筒抜けって事?
ナチュラルに人の思考読み取るの辞めて欲しいんですけど・・・
「それはさて置き」
サラッとさて置かれたぞ、割と大事な事だと思うんだが。
「困るんですよ、勝手に死なれちゃ」
えぇ〜・・・