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やんごとなき方々の諸記憶  作者: ことそばらすか
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第8章『現代社会に存在するゆがみ ~梅図画~』へん

取り急ぎ、続編を投稿いたします。

やんごとなき方の付き人が、ひとりの女性をやんごとなき方の御前に招いた。


「陛下。紹介したいものがございます。」


やんごとなき方「…ふむ。見たところ、高貴なもののようであるが。」


「『西音寺さいおんじ たける』なるものが、是非にと。」


やんごとなき方「さやうであるか。…して。」


「陛下。この場所をご存じでしょうか。」


やんごとなき方の付き人は、一つのミニチュア版模型を持ち出した。


やんごとなき方「バカにするな。『景福宮』であろう。」


「左様にございます。」


それは、『大韓民国』にある『景福宮』の模型であった。


やんごとなき方「して、何用か?」


やんごとなき方がそのようにお尋ねになると、やんごとなき方の付き人が、一つの枝を持ちだした。


やんごとなき方「それは、『桜』ではないか?」


「左様でございます。」


やんごとなき方の付き人は、その『桜の枝』を、やんごとなき方に手渡した。


「陛下。大変恐縮ではございますが、その『桜の枝』、『景福宮』に刺すことは可能でしょうか?」


やんごとなき方は、その『桜の枝』を持ち、しばし『景福宮』のミニチュア版模型の方をご覧になって、こうお答えになった。


やんごとなき方「否。できぬようである。」


やんごとなき方がそうお答えになると、やんごとなき方の付き人が、その『桜の枝』を、やんごとなき方より受け取った。


やんごとなき方「して、何が言いたい?」


すると、やんごとなき方の付き人が、もう一つ、別の枝を持ち出した。


やんごとなき方「それは、『梅』ではないか?」


「左様でございます。」


そういうと、やんごとなき方の付き人は、招き入れた女性の方を見て、その女性が一礼したのを確認し、『梅の枝』を、陛下に手渡した。


すると、やんごとなき方は、ほとんど『反射的に』であろうか。とっさに、その『梅の枝』を、『景福宮』に突き刺した。


やんごとなき方「これは何と…。」


やんごとなき方は、その招き入れた女性の方を見た。


やんごとなき方「大変失礼であるが、どちら様であろうか?」


やんごとなき方の付き人が、その女性に代わってこう答えた。


「『星』の命を受けた者にございます。ご了承願います。」


やんごとなき方「『星』の命…左様であるか。」


「はい。」


やんごとなき方の付き人は、改めて、こう付け加えた。


「これが、現代に存する、歪みでございます。」


やんごとなき方「これが、何故たるか、答えよ。」


「さぁ、税金で巣食う者どもの使命と、わたくしは突きはねたく存じます。」


やんごとなき方「…おのれ…。」


やんごとなき方の付き人は、一言だけ、こう言った。


「よもや『宗廟』にするわけにも参らず、『景福宮』とさせていただきました。」


やんごとなき方「…同じやうであると考えておるのか?」


「左様でございます。」


やんごとなき方「…うーむ。」


やんごとなき方は、ただただ顔をしかめておられた。そして、その招き入れた女性を指してこうお尋ねになった。


やんごとなき方「その者、『大韓民国』の者か。」


「左様でございます。いわば『現代人』でございます。」


やんごとなき方「相分かった。」


「では、この者は、これにて。」


やんごとなき方「…うむ。」


そう、やんごとなき方がお答えになると、やんごとなき方の付き人は、『梅の枝』が『景福宮』のミニチュア版模型をそのままに、招き入れた女性を外へと送り出した。


ほどなく、やんごとなき方の付き人も、『梅の枝』を指した『景福宮』のミニチュア版模型を引き下げてよいと、やんごとなき方がお答えになった後、やんごとなき方に一礼し、その場を後にした。

引き続き、ご愛読の程、よろしくお願いいたします。


ことそばらすか。

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