第32章 『呼ばれし者とのかいわ』へん
取り急ぎ、続編を投稿申し上げます。
ある時、やんごとなき方は、やんごとなき方の付き人に、こう仰せになった。
やんごとなき方「おい、お前。」
「ははぁ。」
やんごとなき方「『呼んだ者』は、来るのか?」
「もうじき。到着すると聞いております。」
やんごとなき方「そうか。通せ。」
「ははぁ。…ところで、陛下。」
やんごとなき方「何だ?」
やんごとなき方の付き人は、やんごとなき方の耳元で何かを伝えた。やんごとなき方は、このやうにお答えになった。
やんごとなき方「相分かった。」
やんごとなき方の付き人は、やんごとなき方の御前に戻って一礼をした。
少し後、やんごとなき方の御前に、ひとりの男性が招かれた。体格のいい男性であった。
やんごとなき方の付き人は、その男性に向かって頭を垂れている。
招かれた者は、やんごとなき方の方を向いて頭を垂れている。
やんごとなき方「お前であればここに呼びうると聞いて呼んだ。」
招かれた者「ははぁ。」
やんごとなき方「おい、お前。お前に問う。」
招かれた者「何なりと。」
やんごとなき方「この部屋の出口なるわ、我が先か。それとも、お前の向く先か。」
招かれた者は何も言わず、頭を垂れたまま、苦虫をかみつぶしたような表情をしている。
やんごとなき方「…うむ。さうであらう。」
招かれた者は、一度深く頭を下げた。
やんごとなき方は、付き人に、こうお言葉を発せになった。
やんごとなき方「おい。お前。」
やんごとなき方の付き人は、一度深く、やんごとなき方の方を向いて、頭を下げた。
やんごとなき方「…さうか。」
招かれた者は、向く方向を違えず、苦虫をかみつぶしたやうな表情をしている。
やんごとなき方は、何を問うでもなく、しばし、招いたものを前に、そのまま立っていらっしゃったと云ふ。
やんごとなき方「この部屋の出口なるは、この者の向く先か、我が向く先か。」
言葉を発せになるとすれば、この言葉であった。
引き続き、ご愛読の程、よろしくお願いいたします。
ことそばらすか。




