十一話 主人公はみっともない所を聞かれる
少し長めです。
二章完結までは一日一回投稿する予定です。
二章は全部で二十五話程度を予定しています。
更新時間は十九時です。
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ミア達二人は宿泊棟の裏庭の物陰に素早く隠れ、乱れた息を整えた。
「はあはあ。急いできたから息が乱れたね」
「そうなのですよ、お姉ちゃん。そこまで急ぐ必要ないのですよ」
「だよね。でも何となく急がないといけないって思っちゃって。ハハハ」
「もうなのです。それで息は整ったのです?」
「もうバッチリよ。早速、音を拾うね」
ミアはサムズアップした後、耳に魔力を集めて宿泊棟にいるであろう人物の音を拾っていった。
『貴方、服が汚れいますね。これではいけないわ。今着替えを用意しますね』
「おお。これは我が師匠の声ね。間違いない」
「師匠って事はカールラ様なのですよ。どんな様子なのです?」
「ちょっと待っててね。今何かしてるみたいだから。ちょっと集中するよ」
「分かった」
『はい貴方、着替えですよ。ついでですから全てお召し替えしましょう。もちろん私が貴方のお召し替えは全て行いますからね。ほら、まずは上着のボタンを外しますよ』
――来た来た来た―。ちょうどいいタイミングね。走って来たかいがあったわ。流石我が師匠。
≪舐めるなっスよ。俺っちも丁寧に上着の皮を剥がされたことくらいあるっスよ。コケコケコケ≫
『あら、お身体の方も少し汚れていますね。どうしようかしら。少し私が舐めて拭ってみますね』
――ええ!!身体の汚れを舐めて拭うの?それって舌で体を舐めるってことよね。え?え?どういう事?
≪舐めるなっすよ。俺っちも流しで丁寧い洗われたことくがらいあるっスよ≫
『ベチャリ。ねちょねちょ。ぺちゃ』
――ひいい!!私には理解できない。どうしよう……。そうだ、私にはメアリがいた。
≪舐めるなっㇲよ。俺っち包丁で肉をぺちゃりぺちゃり切られたことぐらいあるっスよ。コケ?俺っち食材にされてないっスか?コケコケココココっコ≫
「メアリ、大変よ。師匠が、師匠が……」
「急にどうしたのです?」
「それがね。師匠が彼氏の服を脱がして体を舐め始めたのよ」
「もしかしてそれって……子供を作っているのです?」
「え?子供を作る時って体を舐めるの?」
「そうなのですよ。他にも▲▲▲を◆◆◆◆◆で○○したり、××××したり、挙句に★★★★になったりと色々なのですよ」
≪駄目っスよ。メアリちゃん、それ以上はなろうの運営から苦情が来るっスよ。削除されるっス≫
「そんなぁ。私そんな事できない。結婚しても子供を作れないかもしれない……どうしよう」
「大丈夫なのですよ、お姉ちゃん。今、お姉ちゃんの師匠の技を盗めばいいのですよ。そうすればもうお姉ちゃんの勝ちなのですよ。人生の勝ち組なのですよ。お姉ちゃん運がいいのですよ」
「そう?そうね。私運がいいかも。こうなったら師匠の技をとことん盗んでやるわ。どれどれ」
やる気を取り戻したミアは再びカールラの部屋の音を拾った。
≪怖いっス。刻薄天使メリアちゃんが顕現したっスよ。お姉ちゃんを手玉に取ってるっスよ≫
『ううん。駄目ね。私が舐めるだけじゃあ汚れを取り切る事はできないわ。どうしましょう?貴方はどうしたい?』
『………………………………』
≪またカッコつけてるっス。寡黙な男が持てると思ってるっスか?残念だったっスね。時代はお笑いっス。俺っちのモテモテ黄金期っス≫
『新鮮な材料がこの村には沢山あるから、まず材料集めから始めましょう。材料さえ集まれば作るのは簡単ね。貴方の身体も見違えるように綺麗になるわ。ああ、どうしましょう。私、本当に楽しみになってきたわ。貴方もでしょ?でも今すぐには材料を取りに行けないわ。残念だわ。この疼きをどうやって時間まで沈めましょうか?貴方が沈めてくれるの?その汚れた体で?駄目よ、私は汚いのは嫌いなの。時間まで我慢してね。私もこの疼きを我慢するから。我慢すればするほど解放された時の喜びは最高になるわ。うふふふふ』
≪まさか、食材って俺っちの事っスか?俺っちは食べても美味しくないっスよ。美人のお姉さんでも諦めて欲しいっス≫
「あれ?何か終わっちゃった?あれ?」
「もう終わったのです?早くないのです?」
「あのね。彼氏の体が汚いからか師匠が嫌がって始まらなかったの。体の汚れを舐めたみたいなんだけど取れなかったみたいで。体の汚れを取る材料をこの後集めに行くみたい」
「石鹸を持ってないのです?材料から作るってことなのです?」
「そうだと思うよ。新鮮な材料がこの村には沢山あるみたいな事言ってたし」
「そうなのです?お姉ちゃん、残念なのですよ。折角の機会だったのですよ。夜に来たら勉強できるのですよ」
「そうだね」
しょんぼりとしていたミアだったが、メアリの言葉を聞いて夜こっそりと盗み聞ぎしようかと考えていた。
≪ミアちゃん、本当に堕ちたら駄目っスよ。人生は一度きりっスよ。性犯罪者で捕まったら母親が泣くっス≫
「じゃあ気を取り直して次行くね」
ミアは耳に魔力を集中すると、今度は男の声がミアの耳に響いた。
『そろそろベルティナ様にも儀式の事を知ってもらわないといけないな。明日、彼女に儀式の事を教えるかな。あ~あ、ストレスが溜まるね。あの兄妹にまた会いたいなぁ~。本当に。あっ!!そういえばこの村に仲良さげな姉妹のような娘がいたね。一人は森で傷の手当をした娘だったよね。そっちがお姉ちゃんかな?時間がある時に尋ねてみるかな。仲の良い二人の絆なんかを見ると、僕の神への信仰心もより強く感じるんだよね。僕の信仰心ってのも厄介なもんだよ。でもそれが僕の幸せでもあるからね」
≪こいつが殺人犯ス。言い訳を聞くまでもないっス。あのイケメン顔は犯罪者の顔っス。抹殺リストにも載ってるっスよ≫
――仲の良い姉妹って私とメアリの事よね?傷を治してもらったの私だし。優しいバルト様には私達の仲の良さが分かってしまうのね。しかも私達の仲を見ることによって信仰心が満足するなんて、もうこれは私とメアリで一緒にバルト様の妾になってしまえばいいのでは?玉の輿よ。玉の輿。
≪光源氏計画が発動っス。姉妹の危機っス。コケコケコケ≫
「どうしたのです、お姉ちゃん? 何か鼻息荒いのですよ。それに顔が気持ち悪いのですよ……」
「え゛?酷いよ、メアリ。私達は仲の良い姉妹なのよ」
「何言ってるのです?」
気持ち悪い顔をしながら変な発言をするミアにメアリは若干引き気味だった。
≪メアリちゃんの気持ちは俺っちにはよく分かるっスよ。主も時々俺っちのぷりちぃなお尻に怪し気な視線を絡めてくるっスよ。セクハラって奴っス≫
「ああ。いきなりじゃ分からないわよね。バルト様ってね、とっても優しい方なの。スラム街で死にかけの兄弟を助けて世話をしていたみたいで。今回儀式があって王都に帰れないから暫く会えないみたいなんだ」
「それとお姉ちゃんの気持ち悪い顔と何か繋がりがあるのです?」
「結論を急がないで。落ち着くのよ、メアリ」
メアリを落ち着かせようとするミアの発言だったが、その鼻息は未だに荒くむしろ自分が落ち着けよと心の中で叫ぶめメアリだった。
≪そうっス。主も鼻息荒く俺っちの尻を見ながら言い訳してたっス。ギルティって奴っス≫
「それでね。バルト様はそういった兄妹愛っていうのかな、そういうのを見ると自分の信仰心が満たされていくんだって。で、この村で王都の姉妹みたいに仲がいい私達を思い出して会いたくなったみたい。どうどう?」
「どうって言われても何とも言えないのですよ」
「何でよ。玉の輿じゃん。玉の輿」
「話が飛躍しすぎなのですよ。ただ仲のよい兄弟を見て和んでるだけなのです?私達が欲しいんじゃなくて王都にいる兄妹の代わりなのですよ。気持ち悪い顔してるお姉ちゃんには悪いけどこれっぽっちも可能性なんてないのですよ」
「そ、そんなぁ~」
興奮した変な顔から一転、ミアは泣きそうな顔になってしまった。
「大丈夫よ。お姉ちゃんは可愛いんだからいつか良い男がお姉ちゃんを迎えに来るのですよ」
≪メアリちゃん、俺っちの事を言ってるっスか?駄目っスよ。俺っちは皆のモノっス。一人の女性のモノにはなれないっス≫
うな垂れたままのミアに何とか仕事をさせるため、メアリは適当な言葉をはいた。
「そうだよね。こんな可愛い子を放っておく訳ないよね」
単純なミアはメアリの言葉にまんまと載せら得ていた。
「じゃあお姉ちゃん!次はベルティナ様の音を拾うのですよ」
「ええ!!私、あの赤毛釣り目嫌いなんだよね」
「駄目なのですよ。好き嫌いはいけないのですよ。じゃないといい男が来なくなるのですよ」
「え?それは不味い。直ぐに聴くね」
ミアはいつになく真剣に魔力を耳に集中し、ベルティナの部屋の音を拾っていた。
≪不味いっスね。メアリちゃんは俺っちを餌にしてるっス。俺っちは罪作りな雄鶏っスね≫
「あれ?赤毛釣り目の声が聞こえない。さっきまで気配を感じたのに……。部屋を出たのかな?。部屋の外の音も拾ってみるかな」
『ああ、ユリウス様は犯人捜しに行ってしまったのね。私も儀式を滞りなく行わなくては。予定通りに貧相な娘に話を聞きにいきましょう』
「え?昨日言ってた様に私に儀式の事を聞きに来るの?私、何も知らないのに……あの人と話するの嫌だな」
「お姉ちゃん、能力使ってる時に独り言が多くなるのですよ」
「ああ。仕方ないよ。嫌な事があると特にね」
「何があったのです?」
「あの赤毛釣り目が私に儀式の内容を聞きに来るらしいの」
「うん?お姉ちゃんは儀式の内容知ってるのです?」
「知らないわよ、そんなこと。でもあの女はバルト様と師匠が嫌いだから教えを乞うのが嫌みたい。そんな事で私を巻き込まないでほしいわ。まったく」
「じゃあ、今から逃げ……」
「どうしたの?急に言葉を止めて?」
「間に合わなかったみたいなのです……」
「え?」
≪お約束っス。出てくるっスよ≫
「あら?あなた達何でこんな所にいるの?教会の敷地に勝手に入って来るなんて家の程度が知れるような行動ね。まあいいわ。許してあげる」
――なっ!赤毛釣り目の奴って屋敷の外まで出てきてたの?もう最悪だ。逃げ損ねた。あ~あ、早速始まったよ。高飛車モードが……何とか誤魔化して逃げよう。
≪やっぱりっス。俺っちの推理力は最強っス≫
「ちょうど今、低能なあなた達に少し用事があったの。」
「いえ、私は今両親から用事を頼まれていまして少し忙しいのですが……」
「なに?あなた達程度の家の用事と私の用事、どちらが大切だと思っているの?」
要件を断ろうとしたミアをベルティナは眉を吊り上げ不機嫌に睨んだ。
≪何て横暴な人っスか。従者でもこんなにヒィィィィ……従者は皆・よ・い・ひ・と・っス。素晴らしい人達っス≫
「ええと、あの、その……」
ベルティナに威圧されたミアは気圧されてしまい、咄嗟の言い訳もできなくなっていた。
「自分の卑しさが分かったなら、さっさと私の要件を聞きなさい」
――もう!何よ、この人!?自分の身分をかさにきて。腹が立つ!!
≪俺っちもあったっス。上司にアレやコレとよくこき使われたっス≫
「私の要件は聖櫃の儀についてあなた達に質問しに来たの。答えなさい」
「あ、あの……」
≪ちなみい聖櫃ってのは箱の事っスよ。何スか?俺っちの適確なナレーションにビビってるっスか?≫
「何?私の質問に答えなさい」
――はぁ~。この人は人の話を聞く気がないみたい。
≪話を聞かない奴はどこにでもいるっス。むしろ話が【効かない】んじゃないかと思うっスよ≫
「さっさとしなさいよ。愚図なの?」
「そうではなくてですね。私共は聖櫃の儀とかいう儀式については何も知りません」
「……だったら、さっさとそう言いなさいよ!」
「あのう……バルト様に聞かれた方が……」
「あなた何言ってるの?下賤な者が私に話しかけるんじゃないわよ。本当に卑しい者は礼儀を知らない」
――何よ。あんたが話しかけて来たんじゃない!!私だって話なんてしたくないわよ。こんなのが聖職者なんて……
≪やっちうっスか?今なら誰も見てないっスよ。チャンスっス。俺っちはツンデレさんは好きっスけどツンツンさんは対象外っス≫
心の中で悪態をつくミアだったが、ベルティナは既にそこに姿はなかった。
「お姉ちゃん、ベルティナ様って凄いのですよ。お姉ちゃんが嫌うのも分かる気するがするのですよ」
「でしょ。あんなのが聖職者な……ガフガフ…」
「お姉ちゃん、それ以上はダメなのですよ!!教会批判になるのですよ。ダメダメなのですよ!!」
メアリは小さい手でミアの大きな口を塞ぎ、次の言葉が紡がれるのを防いだ。
≪今の世の中は教会批判ととらえられると問答無用で異端審問っすよ。しかも有罪確定っス。シューリンちゃんのスピリトも同じようコケコケコケコケコケコケコケコケコケコケコケコケ。自主規制って奴っス。けっして自分の身が可愛くて表現の自由を放棄した訳じゃ断じてないっス≫
「そだね。ごめんね。メアリまで巻き込んじゃうしね」
「私はいいのですよ!!お姉ちゃんが大変な事になったら私悲しいのですよ」
「メ、メアリ~」
ミアは天使のメアリに抱き着き、おいおいと泣いた。
どさくさに紛れてメアリの天使養分を堪能したのは言うまでもない。
≪変態が、ここにも変態がいるっス。衛兵さ~ん逮捕してください≫
「お姉ちゃん、これからどうする?もう一回ベルティナ様の様子を探ってみる?」
「いや~。赤毛釣り目はもういいかな。もう聞きたくないなぁ~」
「お姉ちゃんならそう言うよね。じゃあ一端家に帰る?」
「う~ん。あ!? そうだ。あの四人組の所に行ってみよう!!事件とは関係ないと思うけど何か好奇心が疼くし。ね?」
「そだね。じゃあ行こうか!!」
メアリはミアの手を取り、二人で彼女らが隠れているであろう倉庫を探しに行くのであった。
◇◆コケ◇◆コケ◇◆◇コケ◆◇コケ◆◇
村の共同の道具などをしまっている倉庫の側に二人の人影があった。
「倉庫にこっそりと泊めると言ってたから多分この辺に来ていると思うんだけど……」
「流石に食糧庫の方には見ず知らずの人を入れる訳ないと思うのですよ」
「だよね。じゃあちょっとここで耳を使ってみるね」
「はいなのですよ」
ミアは耳に魔力を集中させて周囲の音を拾っていった。
≪主気を付けるっスよ。主のヘタレがバルるっスよ≫
ミアの耳には風の音や昆虫の羽音、鳥の鳴き声などが響いていた。
その中に人の声が混じっているのを感じ取れた。
ミアがその声に注意を傾けていくと、その声は段々と大きくなり声質もはっきりとしたものとなってきた。
声は透き通るような響きがあり、少し高音で耳に聞き心地のよい音階であった。
『リオンちゃん、体は大丈夫?ママがハグしましょうか?』
『お~い?何で体の心配をしていてハグになるんだ?』
『だって~。ママの回復魔法は殴るか抱き着くかでしか発動しないの』
『え?何?』
『もしかして……殴る方がいいの……さすがにママもそれはちょっと……でもリオンちゃんがどうしてもって言うならママも新たな扉を開けるわ』
≪ヤバいっス。主がマゾになっちゃうっス。そんなことになったら俺っちにも色々と主が要求してくるっスよ≫
『待て待て。俺はそんな性癖には目覚めていない。殴られて快感を感じるなんて』
『でも文字通り私に殴られると回復魔術が発動するから快感を感じちゃうみたい。それで新たな自分に目覚めた人が何人かいたわ……』
≪悪夢のような能力っス。ハマるとヤバそうっス。俺っちは新たな扉は開かないっスよ≫
『それって……。その人達には心からの御悔やみを。でもある意味不幸……ではないのかな?俺はなりたくはないが…』
『それでリオンちゃんどうする?ハグ? そ・れ・と・も・殴る?ママとしてはリオンちゃんに新たな扉は開いて欲しくないんだけど……リオンちゃんが望むならオールOKよ。シュッ、シュッ、シュッ』
『いやいや!俺は目覚めたくない。シャドウボクシングは止めてくれ』
『じゃあハグで。わ~い!リオンちゃん。フンガフンガ』
『ぐわあぁぁぁ!!優しく!優しく!力をこめるな背骨が折れる!!ぎゃあぁぁぁぁぁ!傷が、回復する……。何だこの傷が回復する際の快感は……。ヤバイヤバイ。ぎゃあぁぁぁぁぁ。痛い!痛い!傷が回復する……』
≪コレって……主は新な世界に旅だったっスね。眷属として変態主はどうかと思うっス≫
『リオンちゃ~ん。グヘヘヘ』
『ズルいの な。ネルもハグするの な』
『待て。待ってくれ、ネル。いや、ねぇね』
『どうしたの な?ねぇねはリオンをハグするの な』
『それじゃあ駄目だ、ねぇね。弟からねぇねにハグする方が得点は高い!だから俺からねぇねにハグする。どうだ?』
『………………………………………のののののののの………………………………………………………………な!!!!!!』
≪主の適当な説得がネルちゃんに成功したっス。ネルちゃんにハグされたら多分胴体が真っ二つっスよ。興奮してたら猶更っスね。俺っちもお腹を握られてよく脱糞したっスよ≫
『分かったらそこで気を付けして真直ぐ立つ。じゃあ行くぞ!』
――何か小屋の中は変なことになってるわね。神官服の娘なのかな?なんかエッチィ感じがするけど……f
≪そうっスよ。新世界を体験中っス≫
「どうなのです?お姉ちゃん?」
「なんかね。エッチィ神官服の人がいたでしょ」
「うん。金髪の綺麗な人なのですよ」
「その人が神聖魔法を使えるみたいなの……」
「本当……。それって教会関係の人ってことなのです?」
「分からない。何でも痛みを与えて快感を与えて回復させるって言ってた」
「それって神聖魔法じゃなくて……大人の……別の世界を開いた人の……あぶない性癖……なのです。ミアお姉ちゃんにはまだ早い世界なのですよ」
「それってどういうこと??」
「そのままの意味なのですよ。あの綺麗なお姉さんに足で顔をグリグリ踏まれる男達が快感に悶えてしまうのですよ」
「え?何か気持ち悪い?」
「そうなのですよ。そういう人もいるのですよ。それが現実なのですよ」
「あ!じゃああの黒髪の女の子みたいな子も新しい世界に目覚めたのかな。現実って……過酷なのね……。」
「えええ!!そうなのです?あの歳で……凄いのですよ」
≪そうっスよ。もう主は気持ち悪い人になっちゃったっすよ。さらば、我が主。貴方の雄姿は忘れないっス≫
ミアとメアリはウンウンと唸っていたが、どうにかこうにか現実の世界に戻ってきて四人のいる倉庫の方に向かって行った。
もし感想があればお願いします。
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