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そう、聖女の息子は魔王様だったのです。  作者: 奥の脇道
そう、覚醒したのは魔王様だったのです。
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十話 母親?恋人?現れてた人物は……

初投稿です。

一章が終わるまでは一日二話投稿します。

午前7時と午後7時です。

一章は全十二話です。

よろしくお願いします

 騒がしいパティーが……騒がしいのは若干二名だが、帝国の向かって行くのを見送り、棚上げになっていたシューリンの問題に向き直ろうとリオンは心を引き締めた。


「シューリン。ああ、シューリ。俺は記憶がまだ安定していないんだ。現状のシューリを教えて欲しい」


≪そう、この男全てを記憶喪失という安直な手に出ていたっスよ≫


 一瞬泣きそうになったシューリンだが自分の名前が言い直されると天使のような微笑をし、リオンの言を最後まで聞くと顔を真っ赤にして両手で顔を塞いだ。


 そして意を決したのか、おもむろに服をモゾモゾと脱ぎ始めた。


「おい。いきなり何してる?」


 大慌てでリオンはシューリンが服を脱ぐのを止めた。


「え? 私の全てを教えるには裸になった方がよいかと?」


 シューリンは天使のような顔をコテリと傾けた。


 それは人類の半分が骨抜きになってしまうような仕草だった。


「いやいや。そうではなくて。どういった経緯で今の体になっていったかを聞きたいだけで現状の体を目視確認したい訳ではない」


 もっともリオンにはその仕草で特にダメージは受けていなかった。


≪母親が裸になろうとしてるのにはクリティカルを貰ってるっスよ≫


「そうなの?」とシューリンは残念そうに服をいそいそと着なおした。


「で、どうなんだ?」


「そうですね~」とシューリンは頬にお手々を当てて、リオンに事の経緯を語りだした。


≪あざとい。あざといっス。これは……ヒィィィィ……そうっス。主の母親にピッタリなのはシューリンちゃんしかいないっス。俺っちが保証するっス。もうコケコケっスよ≫


 リオンが封印される前シューリンの細胞を採取し、従者の一人であるパイの職業【死体造形師】のスピリト【死体造形】により彼女の身体を再現した。


 その死体とゲーム時代に課金アイテムとして手に入れたSSRの超レアアイテム【従者の卵 きらり星】を使用し、能力固定型ではなく成長型の従者の器を作成した。


 従者の器に死後のシューリンを素早くく転生させるため、赤ん坊の状態の器に従者の一人であるグーリの職業【魂魄師】のスピリト【魂魄分割】を使用し、彼女の魂の半分を器の身体に埋め込んだ。


 シューリンの死体を従者創造に使用したのは、彼女の魂との親和性を高めるためであった。


 後は只ひたすら魂を入れられた身体はリオンとの感動の再会を果たすため地獄の猛特訓をしていた。


≪感動の再開ってのがあのテンプレっスか。程度が低い……ヒィィィィ。俺っちのお尻がビショビショになってしまったっス。コ~ケ~≫


 ちなみに器であっても魂が半分入り込んでいるため、従者のシューリンの意識は完全に働いている。


 その特訓に付き合ったのがゴブ君とリンちゃんだったのだが。


 そして器を完全体にするには、本体のシューリンの残り半分の魂を移し替える必要があるが移し替えると本体は死んでしまう。


 なので彼女の本体はどこかの場面で死ななければならない。


 幼い息子のリオンを置いて直ぐに死にたくないし、子育てもしっかりと楽しみたい。しかし、従者達のガチガチの監視も堅苦しいが、従者たちのリオンの身体の安全が第一という考え方にも配慮しなければいけない。


 そこで思いついた苦肉の策が、従者二人の記憶を消して姉として側にいること、リオンが致命傷を負うことがあったら彼女自身が強制的に即死してリオンの記憶の覚醒と身体の回復を行う生贄魔法をリオンに施すことの二つであった。


 彼女の本体が死んで魂の移植も無事に終わった。


≪ちなみに主が死にかけた際に力が欲しいかって聞いたのは俺っちっスよ。ナイスな演出だったのに名前すら呼んでくれなかったスけど。もうコケコケっス≫


 夢にまでみた再会を最高にするために彼女が特訓の合間にリオンの国の図書館で学んだ知識をフル動員して行ったのが先のゴブリンイベントだった。


 ここで言っている図書館とは従者のみしか入れない現代日本の知識が沢山集められたゲーム時代に作られた場所となる。


 それを黙って聞いていたリオンだが、こうまで自分の理解と違う事が起こっていると自分がどれだけ状況把握のできないダメ上司なんだと心の中で溜息をついた。


 どこで狂っていたのかと十五年前の彼女との出会いを思い出そうとしたリオンだが、大した思い出もなかったので思い出すのを止めにした。


 もっとも大した思い出もないとシューリンが聞いたら、鼻水大洪水は確定であろうが。


≪駄目っスよ。彼女に言ったら俺っち焼き鳥にされちまうっス≫


「ちなみにシューリンのレベルはいくつだ?」


「今はレベル六十だよ。レベル百までカンストさせて、スピリト創造のため全てのレベルと一部のスピリト・魔法を犠牲にして新たなスピリトを取得しましたよ。本当にメイちゃんには感謝! 感謝!」


「え? レベル百と他のスピリト・魔法も犠牲にしてスピリトを創造したの? どんな凶悪なスピリトだよ。あっもしかして【処女懐胎】を復活させたのか?」


「違います~。私の初めては貴方に奪われたままです」と微笑を浮かべリオンに流し目を送った。


「え、あ、はい」


 自分の都合で彼女の初めてを奪ったことを責められているように感じたリオンは、思わず目をそらしてしまった。


 リオンの態度にプンプンの彼女は頬をプクーと膨らませ、地面に棒をツンツンしながらイジイジしだした。


「やり逃げて捨てられた。やり逃げて捨てられた。やり逃げて捨てられた。やり逃げて捨てられた。やり逃げて捨てられた」


≪怖いっス。ヤンデレっスよ≫


 彼女はブツブツと呟き、負のホーラを身体全体にまとっていた。


 これはヤバいと感じたリオンはフライング土下座を敢行し、浮気のばれた亭主のようにひたすら謝るのだった。


≪主の土下座もまだまだっスね。俺っちのを見習うといいっスよ。とう!必殺二回宙返り一回ひねり脱糞アタ~ック土下座。略して脱糞ムーンサルト土下座っス。どうっスか?九.九九は行ったんじゃないっスか?≫


 もちろん現在の大問題に対処していたリオンは、シューリンが取得したスピリトの凶悪さをすっかり忘れてしまっていた。


 従者の中で特殊スピリトに特化した原初の九人というゲーム初期から従っている者たちをも凌駕する凶悪さを持つスピリトにリオンはこの後戦慄するのであった。


≪主、ヤバいっスよ。シューリンちゃんのスピリトは凶悪っス。主は悪夢を見るっスよ。本当に気を付けるっスよ。あれ?俺っち珍しく主にアドバイスしてるっスね≫



◇◇◆コケ◇◆コケ◇◆◇コケ◆◇コケ◆◇


 小さな村まであと半日という場所にリオン達四人と一匹の姿があった。


「もうこれ以上は何も起こって欲しくないな」と呟くリオンだったが、自分の従者の中に特級フラグ建築士がいた事を思い出し、やってしまったと後悔した。


 原初の九人の中にフラグを立てる能力が特級品の従者がおり、立てたフラグを乗り越えるとレアなスピリトやアイテムが手に入ったりする。


 彼と一緒に行動していると、かなり強力なフラグを立てる。


 この恩恵でリオンは何度とレアアイテムやレアスピリトを手に入れたか分からない。


 だが、今は身体が弱体化しているので無用なトラブルは起こしたくないのだが、思わずと言ったところだろうかフラグを立ててしまうリオンであった。


≪フラグ立てたっスね。また変なのが現れるっスよ≫


 すると案の定、木の上に人影があり、こちらに杖のようなものを向けていた。


「わはははは!ついに見つけたわよ、シャックス!私に貴方の強さの秘密を教えなさ!」


≪あ~あ!勘違い系っスね。イケメンの名前呼んでるっスよ。イケメン死ねって奴っスね。


 変な魔法使いの衣装を着た女がビシッとキメポーズでリオン達に言い放った。


「貴方は誰?」


「それじゃ、さようなら」


≪さすが主!完全ノールックスルーっスね≫

 

 魔女っ子は首をコテッとしたが、ほだされるリオンではなかった。


「ちょっと、待ちなさいよ。こんな可愛い娘が話しかけてるのよ!」


≪自分で可愛い娘って言ってるっスよ≫


 慌ててリオンを引き留めようとした魔女っ娘だが、スイは背中に収めていた両手剣を抜いていた。


 両手剣は漆のように深い黒を体現しており、汚れのない黒というのが相応しいのだろう、じっと見つめていると魂が取り込まれてしまいそうだ。


「待て、ネル」とリオンは慌てて魔女っ娘への攻撃を止めさせた。


「安心して、峰打ちよ」とドヤ顔するスイだったが、プルプルさせていた両手剣はチャッカリ背中にしまった。


 自称剣士スイのプルプル剣術に合わせて、ネルが見えない剣裁きで攻撃を繰り出し魔女っ娘が立つ木の根元を切っていたのだ。


 カチャリと納刀さてた音と同時に魔女っ娘が立っていた木が根元から切り離され倒れ始めた。


「わああああ~」


 魔女っ娘は逃げる間もなく、大木と一緒に遠くへと旅立って行った。


「峰内だよな?」


「峰内の な。峰内でも切れてしまったの な。修行不足の な。鍛錬するの な」


「ちなみにスイ。両刃の剣で峰内はないと思うぞ」


「しまったのだ。次からは平打ちにするのだ。でもゴロが良くないのだ。どうするのだ?」


 ウンウンと悩んでいるスイだった。


≪スイちゃん。結果は変わらないんで峰内でいいんじゃないっスか?≫


「旅の無事を祈っています。それじゃ先を急ぎますので失礼します」


 魔女っ娘が旅立った方に手を合わせると、リオンはネルの頭を撫でながら歩き始めた。


≪主!さすがっス。ちょっとかわいい女の子だったすけど、トラブル臭がプンプンっスからね。強制フラグおりっスね。見事っス。もうコケコケコケと称賛するっスよ≫


 歩き始めたリオンの前を焼き鳥がお尻を右に左にプリプリしながらコケコケしていた。


 そんな少しピンクに染まったプリプリお尻を眺めながら、リオンは今後の方針をどうするかと考えていた。


 そんなリオンの視線に気付いた焼き鳥が、自分のお尻を短い羽で抑えてコケコケ吠えた。


「駄目っス。俺っちの尻は大切っス。いくら主でも許してあげないっス」


「てめ―の尻なんざ興味ねえよ。そもそもテメーは獣じゃないか。しかも雄……」


「酷いっス。俺っちはただの獣じゃないっス。神の獣と書いて神獣っス。それに主の言葉は信じられないっス。この前は子供のゴブリンと大人の階段上ってたっス」


「それは……」


 リオンが最後まで発言する前に、三人の化け物からドス黒い靄が立ち上っていた。


 それを見たリオンは若干の震えを感じただけだったが、焼き鳥は素早くリオンの頭に避難した後ガタガタと震えだした。


 焼き鳥もレベル五十は超える神獣である。


 それをオーラだけで震えさせるのだから三人は相当なものではあると他人事のように考えていたリオンだが、焼き鳥は恐怖のあまりプリプリとリオンの頭の上で脱糞を始めた。


「違うっス。俺っちは主と何もないっス。主が子供のゴブリンとブチューと接吻しているのを森で散歩している時に偶然見たっス。スクープっスよ。SNSに載せるっス」


 コケコケ言い訳を主張しながらも焼き鳥は、プレッシャーのあまりお腹が下ったのか水のような脱糞がシャーシャーと続いた。


 鳥の糞塗れになったリオンだったが、運までは付かなかったようだ。


 焼き鳥の発言により彼女達の標的はリオンへと変わっていた。


≪さすが俺っちっスね。俺っちのディベート能力は泣く子も黙るっスよ。コケコケコケコー≫


「いや。俺は無実だ。そこの糞鳥は嘘をついている」


 慌てて言い訳と始めるリオンだったが、良い言葉が思い浮かばず天秤はリオンの不利へと傾いていた。


「ママはね、リオンちゃんのことを信じているわ。でもね、ほんぽこちゃんのいう事も切って捨てる訳にはいかないの。リオンちゃんの大切な眷属だもの。分かってね」


 いや、その大切な眷属とやらの出任せいで生命の危機に瀕しているのだがと思うリオンだったが、ママモードになっているシューリンが怖くて答えることはできなかった。


 なんせ今のシューリンの顔を見たリオンは確実にパンツを少し濡らしてしまったのだから。


「だからママはリオンちゃんのために取得したスピリトを使うわ」


 シューリンの顔は慈愛のある優しさが溢れるような笑顔なのだが、今のリオンは恐怖しか感じず頷くしかなかった。


「スピリト【健全な肉体には健全な精神が宿る】発動! 申請書を三人の承諾者へ」


 彼女が宣言すると共に羊皮紙のような紙がスイ、ネルと焼き鳥の前に現れ文字が光りだした。


「この内容に同意するなら血判をしてくださいね」


 シューリンはビシッと立てた親指をナイフで切り、空中に血を掲げた。


 それを見ていた二人と一匹は同じように親指を切り、羊皮紙に血判した。


 焼き鳥はペンギンのような羽なので、どこが親指なのかわからないが。


 血判と共に羊皮紙は光と共に消えると、大地に巨大な立体の複数魔法陣が浮かび全員の体が一瞬で異空間に転移した。


≪ついに、ついに発動してしまったっスよ。シューリンのスピリトは強力すぎて発動条件にかなりの制約があるっスよ。それが発動してしまったっス。もうこの世は地獄っスね。まあ俺っちの無実は証明されたんで他人事っスけどね。コケコケ≫

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